長崎県五島市のゴミ処理に関する課題を解説

「五島市ってゴミ処理に関することで何か課題があるのか?」という質問をいただきました。

結論から言うと、五島市のごみ問題は大きく分けて、次のような課題があります。

  1. 海岸に流れ着く「海ごみ」の問題
  2. 二次離島などで処理施設が稼働しておらず、福江や本土へ運ぶ必要がある問題
  3. 焼却施設・最終処分場などの維持管理コストの問題
  4. ごみ出しルール違反や町内会の負担
  5. 資源ごみのリサイクル率をどう高めるかという課題

以下、過去の私のブログ記事をもとに整理します。

1. 海岸に流れ着く「海ごみ」は大きな課題

五島市は美しい海に囲まれた離島ですが、その一方で、海岸に流れ着く「海ごみ」は地域にとって大きな課題です。

特に福江島では、高浜海岸や大瀬崎など観光資源として重要な海岸も多く、海ごみは単なる環境問題にとどまらず、観光や景観、地域の暮らしにも関わります。

五島市では、国や県の補助金を活用しながら海ごみ対策事業を行っていますが、予算には限りがあります。そのため、市内のすべての海岸に漂着しているごみを回収することは難しく、ごみの漂着が多い場所や観光スポットなど、比較的人目につきやすい場所を中心に回収場所が決められています。

また、町内会からは「年度当初に海ごみ回収の方法を文書で知らせてほしい」「海岸沿いの町内会には情報共有が必要」といった声も出ています。

関連ブログ記事:
海ごみ問題|五島市福江島で起きている問題

2. 島内に処理施設がない地域では、福江まで運ぶ必要がある

「五島市にはごみ処理施設が島内にないのか?」という点については、正確には少し整理が必要です。

福江島には五島市クリーンセンターや福江リサイクルセンターなどの施設があります。したがって、五島市全体として処理施設が全くないわけではありません。

一方で、奈留島のような二次離島では、現在ごみを焼却する施設が稼働していません。奈留島では、ごみを収集した後、清掃センターに運ばれ、最終的には車両を船に積んで福江まで運搬しています。

つまり、五島市のごみ処理の課題は「島内に処理施設が全くない」というよりも、「島ごとに処理機能が偏在しており、二次離島では福江などへ運搬する必要がある」という点にあります。

これは、離島自治体ならではの構造的な課題です。人が住み続ける限り、ごみやし尿は必ず発生します。その処理を日々担う事業者や行政の負担は、見えにくいですが非常に重要です。

関連ブログ記事:
〖奈留島〗葬祭場/衛生センター/清掃センターを行政調査

3. 漂着ごみや剪定枝など、島外に運び出すものもある

五島市の資源循環を考えるうえでは、富江クリーンセンターや福江リサイクルセンターの役割も重要です。

富江クリーンセンターでは、現在は焼却ごみではなく、剪定枝の破砕業務などが行われています。記事によると、剪定枝だけでなく漂着ごみも破砕して島外に運び出しているとのことです。

また、福江リサイクルセンターでは、燃やすごみを除く多くのごみが集められ、売却可能なものは種類ごとに分別され、売却されています。

つまり、五島市では「燃やす」「埋める」だけではなく、「破砕する」「分別する」「資源として売却する」「島外に運ぶ」といった複数の処理が組み合わされています。

関連ブログ記事:
五島市で資源循環型社会を実現するためには?

4. 廃車や資源ごみなど、本土への搬送が必要なものもある

ごみ・廃棄物の中には、五島市内だけで完結できないものもあります。

2026年3月議会のメモでは、貨物船「協徳丸」の廃止に伴い、島外へのごみ搬送に影響がないのかという質疑がありました。議論の中では、小型家電、資源ごみ、使用済み自動車、産業廃棄物などが挙げられています。

特に廃車については、島内に最終処分場がないため、本土への配送が不可欠です。こうしたものは、通常の家庭ごみとは違い、離島であることによる輸送コストや物流の制約を受けやすい分野です。

関連ブログ記事:
〖2026年3月五島市市議会メモ〗下山春雄議員

5. 焼却施設の維持管理費と処理能力の問題

五島市のごみ処理施設には、財政負担の課題もあります。

過去の記事では、旧福江市清掃センターについて、ダイオキシン対策などに対応した高性能な施設であった一方、維持管理費が年間約5億円かかっていたことが紹介されています。

その後、大浜地区の新しい焼却場に切り替えることで、維持管理費は年間約2億3千万円に抑えられる見込みとされていました。

ただし、新しい焼却場では処理能力が下がるという課題もあります。旧施設が1日58トン処理できたのに対し、新施設は1日41トンとされており、今までと同じ量のごみを出し続けると処理が追いつかなくなる可能性があります。

そのため、焼却ごみを減らし、リサイクルを進めることが重要になります。

関連ブログ記事:
五島市のゴミ問題と施設の有効活用

6. 最終処分場にも限界がある

ごみは燃やせば終わりではありません。焼却灰や不燃ごみなどは最終処分場に埋め立てられます。

2023年6月議会メモでは、五島市の最終処分場について、供用開始から23年が経過していること、正しいごみ分別によって当初想定より長く使えていることが示されています。

一方で、ごみの排出量を減らさなければ、いずれ新たな施設の検討が必要になります。最終処分場は地域住民にとって迷惑施設と受け止められやすく、建設には時間も調整も必要です。

だからこそ、日頃から分別・減量・資源化に取り組むことが、将来の財政負担や地域負担の軽減につながります。

関連ブログ記事:
〖2023.6/五島市市議会メモ〗江川議員

7. ごみ出しルール違反と町内会の負担

ごみ処理の課題は、施設や輸送だけではありません。身近な問題として、ごみ出しルール違反があります。

福江島では、町内会が管理するごみボックスに、地区外の人がごみを持ち込む問題や、分別されていないごみ・粗大ごみが長期間残される問題が町内会長会議で取り上げられました。

ごみボックスは町内会が地域の実情に応じて管理しているため、ルール違反が増えると町内会の負担が大きくなります。

また、誰が出したか分からないごみが残されると、地域の美観や衛生環境だけでなく、住民同士の信頼関係にも悪影響を及ぼします。

関連ブログ記事:
ゴミ出し問題|五島市福江島で起きている問題

関連ブログ記事:
減少する町内会の問題|五島市福江島で起きている問題

8. リサイクル率をどう高めるか

五島市では、資源ごみの売却収入が増えている一方で、資源化率や1人あたりのごみ排出量には大きな改善が見られていないという課題もあります。

過去記事では、令和4年度の資源化率は15.6%、年間ごみ排出量は13,015トン、1人1日あたりの排出量は1,032gと紹介されています。

また、資源ごみの売却収入は、令和2年度の約709万円から令和4年度には約2,980万円へと大きく増えています。特にアルミ缶などの資源価格の影響もありますが、資源ごみが貴重な財源になり得ることを示しています。

今後は、市民が分別やリサイクルに協力することで、その成果が市民生活に還元される仕組みを作れるかが重要です。

関連ブログ記事:
五島市のゴミのリサイクル状況と売却収入の推移

まとめ:五島市のごみ問題は「離島ならでは」の複合課題

五島市のごみ処理の課題は、単に「ごみ処理施設があるかないか」だけでは整理できません。

福江島には処理施設がありますが、奈留島などの二次離島ではごみを福江まで運ぶ必要があります。廃車や一部の資源ごみ・産業廃棄物などは、本土への搬送も必要になります。

また、海岸には漂着ごみがあり、すべてを回収するには予算や人手に限界があります。さらに、焼却施設や最終処分場には維持管理費や将来更新の課題があり、町内会単位ではごみ出しルール違反への対応も問題になっています。

五島市のごみ問題は、以下のように整理できます。

  • 海ごみの回収には予算と人手の限界がある
  • 二次離島では福江への運搬が必要になる
  • 廃車や一部廃棄物は本土搬送が不可欠
  • 焼却施設や最終処分場には維持管理費と将来更新の課題がある
  • ごみ出しルール違反が町内会の負担になっている
  • リサイクル率を高め、資源として活用する余地がある

つまり、五島市のごみ問題は「環境問題」であると同時に、「離島の物流問題」「財政問題」「地域コミュニティの問題」でもあります。

今後は、ごみを減らす取り組み、資源化を進める仕組み、海ごみ回収への支援、二次離島の運搬体制の維持、そして町内会任せにしすぎない行政の関与が必要だと感じます。