【五島市観光】R7年度は20万人割れ。コロナ前の水準まで復活できるのか?

5月29日に五島市観光協会の総会に出席した際、来賓として出席した出口市長から、

  • 五島市の令和7年度の入り込み観光客数が、20万人を下回った(詳細は未公表)

  • 6月補正予算で対策を講じたい(内容は未発表)

と報告されました。

令和元年には25万人を超えていた五島市の観光客数は、コロナ禍を経て大きく落ち込み、その後も完全には回復していません。令和6年の観光入込客数は200,384人であり、令和7年度に20万人を下回ったということは、五島市観光が依然として厳しい局面にあることを示しています。

では、令和8年度の五島市観光は復活できるのでしょうか。

結論から言えば、全国的な観光需要は決して弱くありません。

しかし、五島市の場合は「遠方離島」という条件があるため、物価高、燃料費、円安、交通費の上昇といった要因の影響を強く受けます。そのため、令和8年度の観光需要は、楽観的に見ても急回復ではなく、20万人前後での横ばいから小幅回復が現実的な見通しだと考えられます。

令和8年度の観光客数見通し

現時点での五島市の令和8年度観光入込客数は、次のようなレンジで見るのが妥当です。

シナリオ観光入込客数の見通し想定される状況
悲観18.0万〜19.2万人燃料費・交通費の上昇、物価高による旅行控えが続く場合
標準19.5万〜20.5万人全国需要は底堅いが、五島への来島転換が伸び悩む場合
楽観20.5万〜21.5万人夏季需要、自然体験、団体旅行、インバウンドが上振れする場合

中心的な予測としては、令和8年度の五島市観光入込客数は19.8万〜20.2万人前後と見るのが現実的です。

つまり、20万人台を回復する可能性はありますが、令和元年の25万人規模まで戻るには、まだ力不足です。

全国の観光需要は弱くない

まず前提として、国内旅行需要そのものが大きく落ち込んでいるわけではありません。

観光庁の調査では、近年の国内旅行消費額はコロナ前を上回る水準まで回復しています。旅行者数についても、全国的には一定の回復傾向が見られます。

一方で、旅行の中身には変化があります。物価高の影響により、旅行者は「近場」「短期」「節約型」の旅行を選びやすくなっています。宿泊日数を短くしたり、交通費の高い地域を避けたりする動きも見られます。

この傾向は、五島市にとって大きな課題です。五島は船や飛行機を使わなければ訪問できないため、移動費が旅行全体のハードルになります。全国的に観光需要が回復していても、その需要がそのまま五島市に流れ込むとは限りません。

五島市は全国平均より回復が遅れている

五島市の観光入込客数は、令和元年に252,657人でした。しかし、令和6年は200,384人にとどまっています。令和元年比で見ると、約8割の水準です。

令和7年度に20万人を下回ったということは、コロナ後の回復が頭打ちになっている可能性があります。

全国の国内旅行需要が一定程度回復していることを踏まえると、五島市の観光低迷は「国内観光客そのものが減ったから」という説明だけでは不十分です。

むしろ、五島市の場合は、観光地としての関心は残っているものの、実際の来島や宿泊に結びつける力が弱くなっていることが課題だと考えられます。

イラン情勢によるエネルギー不安は逆風

令和8年度の観光需要を考える上で、イラン情勢など中東情勢によるエネルギー不安は重要な要素です。

原油価格が上昇すれば、船舶や航空機の燃料費に影響します。五島市の場合、観光客の多くは船または飛行機で来島するため、燃料費の上昇は交通費の上昇につながりやすい構造にあります。

特に、家族旅行や若年層の旅行では、交通費の上昇が旅行先選びに大きく影響します。「五島に行きたい」という気持ちがあっても、交通費や宿泊費を含めた総額が高くなれば、より近場の旅行先に変更される可能性があります。

その意味で、エネルギー価格の上昇は、五島市観光にとって明確な下押し要因です。

円安は追い風と逆風の両面がある

円安は、訪日外国人観光客にとっては追い風です。日本旅行の割安感が高まり、全国的にはインバウンド需要の増加につながっています。

しかし、五島市にとって円安の効果は限定的です。五島市でも外国人宿泊客は増加傾向にありますが、全体の観光入込客数から見ると、まだ規模は大きくありません。

先日私は香港から9年ぶりに巡礼で来られたお客様をご案内しましたが、まだまだ外国人は少ない印象です。

そのため、円安によってインバウンドが伸びたとしても、それだけで20万人割れを大きく反転させるほどの効果は見込みにくい状況です。

一方で、円安は国内の物価高を通じて、日本人観光客の旅行費用を押し上げる要因にもなります。海外旅行を控えて国内旅行を選ぶ層が増える可能性はありますが、同時に、国内旅行でも費用を抑えようとする動きが強まります。

つまり円安は、五島市にとって「国内回帰」という追い風である一方、「旅行費用の上昇」という逆風でもあります。

五島観光の課題は「需要不足」より「来島転換」

五島市観光の問題は、単純に「五島に魅力がなくなった」ということではありません。

五島列島は、海、教会群、自然景観、食、歴史文化など、観光資源そのものは豊富です。離島観光や自然志向の旅行先としての関心も一定程度あります。

しかし、課題はその関心を実際の予約、来島、宿泊、周遊に変える導線が弱いことです。

例えば、五島旅行では次のような不安が生じやすくなります。

  • 船や飛行機の移動が分かりにくい(情報サイト制作しました)
  • 天候による欠航リスクがある(台風や強風)
  • 島内移動の手段が限られる(特に夏は予約必須)
  • 交通費・宿泊費を含めた総額が高くなりやすい

これらの不安が残る限り、五島に興味を持つ人がいても、実際の来島にはつながりにくくなります。

令和8年度に重視すべき観光政策

AIで最もらしい回答が出ましたが、あえて割愛です。

最終評価

コロナ後のV字回復を目指していた五島市ですが、ドラマやロケの宣伝効果も効果も薄れつつあり、観光客数は緩やかに減少しています。

令和8年度の五島市観光は、全国的な観光需要の回復や自然志向の高まりを考えれば、一定の追い風があります。

しかし、イラン情勢によるエネルギー不安、円安による物価高、交通費の上昇は、五島市のような遠方離島にとって大きな逆風です。

そのため、令和8年度の観光入込客数は、自然回復だけでは大幅な増加は見込みにくく、標準的には19.5万〜20.5万人程度と見るのが妥当です。

20万人台を回復できるかどうかは、五島への関心を実際の予約・宿泊・周遊に変えられるかにかかっています。

五島市観光の課題は、魅力そのものの不足ではありません。課題は、魅力を「行きやすさ」「分かりやすさ」「予約しやすさ」に変える仕組みです。

令和8年度は、五島市観光が単なるコロナ後の回復局面を超えて、持続的に選ばれる観光地へ転換できるかどうかの重要な分岐点になると考えられます。

参考データ

  • 五島市「令和6年 五島市観光統計」
  • 観光庁「旅行・観光消費動向調査」
  • 観光庁「宿泊旅行統計調査」
  • 日本政府観光局(JNTO)訪日外客数
  • 長崎県観光連盟 観光動向レポート