新人議員研修
新人議員研修にて、こちらを受講しました。
https://www.jiam.jp/workshop/doc/2021/21603/a7998ea084a0ade29679617a6c559ec68446b831.pdf
その中で、「これからのスマート農業」についてお話があったので、感想の紹介です。
時代の流れ
省力化・無人化は世界的な流れですので、「農業のスマート化」は避けられないと思いました。
金融サービスから一次産業まで、この大きな波に抗うことは出来なそうです。
農業への転用?
ただ、徹底的に効率性を重視した「管理型農業」については疑問を感じました。
https://smartagri-jp.com/smartagri/969
1. 利用者の疑問
従来、「人力+農家のカン」で行っていた農業をロボットに置き換えると、大量の「スマート器具」が必要となります。
農家を始める人にとってまず大きいのが「機械の初期導入費用」です。
従来の農業に比べて、スマート農業では周辺機器も含み、大量のIoTデバイスが必要になります。
公演の中では、「シェアリングサービス」という形態が紹介されましたが、採算が合う形となるには、一定程度の「契約者数」が必要です。
現在はNTTや大学をはじめ、ネームバリューのある主体がスマート実証実験を行っているので、成り立っています。
しかし、税金の補助がなければ「スマート器具のリース代」はかなりの総額になりそうです。
実証実験が終了した後、果たして「スマート器具」の利用者がどれだけいるのか、疑問に感じました。
2. ランニングコストの疑問
農家を悩ませる大きなテーマは、言うまでもなく「自然災害」です。
作物だけでなく、ハウスや農機具も災害の影響をもろに受けます。
従来は5つの器具だけで成り立っていた農業が、スマート化によって機械の数が20になったとします。
そうなると、自然災害でダメージを受けるリスクは4倍となります。
大規模化する自然災害だけでなく、農作物への昆虫の被害や病気の変異などを考えると、
「スマート器具のランニングコスト」
はこれからも確実に増加するのではないでしょうか。
3. 市場競争での疑問
当然ですが、スマート農業で育てられた作物も、市場で消費者に選んで貰わなければ持続できません。
スマート農業の大きな売りは、「徹底した品質管理」による安定的な生産物です。
そのため、生育が遅かったり、形が不揃いな作物は、AIのアルゴリズムで弾かれてしまいます。
こうした生産方法は大量生産には向いていますが、小規模で特徴的な商品は生み出しづらいのではないでしょうか。
それに、AIで生産できる農作物は、容易にその製造方法がコピー可能となります。
消費者のニーズが多様化する中で、「画一的なスマート農産物」が市場で差別化できるのか、今一つ疑問です。
差別化という観点では、「人の手が入らない」商品は付加価値を発揮しづらいと感じます。
差別化して高付加価値となる農作物は、
「生産者の顔が見えない農作物」
よりも、
「生産者の顔や、生産にかける情熱量が見える商品」
ではないでしょうか。
何のためのスマート化?
そもそもですが、スマート農業には
「何のために?」
という思想が今一つ希薄であるように感じました。
農家の労働力不足を解消するため
と言えばそれっぽいですが、果たしてICTの利活用の専門家ではない農家さんが、スマート化を望んでいるでしょうか。
私はむしろ、「スマート農業」は、AI化される社会全体における「一つの領域」に過ぎないと感じています。
主導権は地域や農家ではなく、「スマート器具」を開発するメーカーにあり、価値の源泉となる「データ」は全てメーカーに搾取されていきます。
結論
農業だけでなく、「スマート〇〇」については、
SDGsとかsociety5.0とか様々なステッカーが張られていますが、
結局は「地元や個人が良くなる仕組み」ではなく、
大手企業がデータを収集し、成長するための口実
ではないかと感じています。