全国的に、地方議員の「なり手不足」が深刻視されています。
特に地方ほど、人材の不足は慢性的になり、「地元の高齢男性」がその大多数を占めています。
多様性・共生社会が謳われる中で、地方議会も変革が求められています。
そこで本日は、地方議会がどう変わるべきなのか?
こちらの本を参考に紹介します。
66の改革項目と事例でつかむ 議会改革実践マニュアル
https://booklog.jp/item/1/4474065182
何のための改革か?
地方議会は、今やその存在意義が問われています。
議会不要論の背景にあるのは、議員の活動が見えづらく、首長の追認機関になりやすいためです。
そこで全国の議会では、住民への情報発信・働きかけを含めて様々な改革を行っています。
私が住む五島市の「改革度ランキング」の結果(早稲田大学マニュフェスト研究所)は、以下の通りです(黄色部分)。
概要としては、
全体比較
長崎県の中での順位:20団体中20位(回答した自治体の中の最下位)
全国の中での順位:1433団体中1271位(最下位に近い)
個別順位
- 情報共有:1433団体中1078位
- 住民参画:1433団体中1332位
- 機能強化:1433団体中1132位
という形です。こうした結果は、ある意味で「伸びしろが大きい自治体」であるとも言えます。
ここから具体的に、66項目の中で、具体的に何をしていくべきか、私なりの意見です。
情報共有
動画公開と資料の関連付け
五島市の場合、会議録はインターネットで閲覧できます。(ただし時間がかかる)
しかし、閲覧できるのは本会議・一般質問だけです。それ以外の委員会の審議も動画公開し、資料と関連付ける事により、意思決定の過程が見える化されます。
それだけでなく、賛否結果に対する理由も公開する事により、市民の納得も得られやすくなります。
広報戦略
五島市の場合、現在は紙面で「議会だより」が発行されていますが、発刊が議会閉会後数か月後となり、議題は既に新鮮さを失っています。
紙媒体はご高齢の方に優しいですが、若い人の情報源は殆どスマホです。
議会として、誰にどんな情報を伝えたいのか? 明確に戦略を建てSNSやYouTubeを活用する事が求められます。(私自身もですが)
住民参画
広報戦略を明確化する事により、住民参画の窓口を広げる事が出来ます。
価値観が多様化し、限られた財源の中で財政運営を強いられる地方自治。
そこで求められるのは、
住民との対話の場
です。現在の五島市は、「トップダウン型」の政策が多く、市民の意見が十分に反映されているとは言えません。
- 議会が対話の場を設置し
- 多様な年代・地区の方から意見を集約し
- 意見を政策に反映させる事を通じて
- 「ボトムアップ型」の政策への転換
が必要です。
機能強化
遠隔会議
コロナの終息が見通せない中、議会もリモート化を真剣に検討すべきです。もちろん、紙の書類は全て廃止し、電子化する事も必要です。
全国の自治体の中には、まじめに検討をしている議会もあります。
茨城県取手市
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2009/08/news106.html
通年議会・災害時の行動指針
自然災害やコロナの突発的な流行に備え、議会の会期も通年に変更し、有事の際は議論を尽くせる体制に変更すべきです。
議会改革の検討組織・実行計画を立てる必要があります。
まとめ
五島市の議会は、全国の議会と比べても改革が遅れ、特に「住民参加」が著しく低い状態です。
市民の議会に対する理解や関心も、決して高いとは言えません。
それは「平成の大合併」による「中心部への一極集中」を皮切りに、徐々に「市民」と「政治」の距離が開いてしまったからです。
今後、価値観が多様化する中で、
トップダウン型の政治からボトムアップ型の政治に切り替える事
が、重要なテーマとなるでしょう。
そのためには、住民参画を促す議会改革を行い、デジタル技術も最大限に活用すべきです。
それこそが、真の意味での「スマートアイランド構想」ではないでしょうか。