都会の暮らしに違和感を感じる
田舎暮らしで「自給的な暮らし」をしてみたい
環境問題に関心があり、何か行動を始めたい
そんな方向けに、おススメの本を紹介します。
農業は大変?
私は2016年に千葉から五島に移住してきました。
最初の頃は、地元の方から「どうして移住して来たのか?」を聞かれ、
もし君が農業研修生だったら、(続かないから)「帰った方が良い」という所だったよ。
とお言葉を頂きました。農業は高齢化と後継者不足が叫ばれ、大変厳しい状況です。
- 機材の導入に掛かる費用
- 台風や自然災害に関するリスク
- 独自の販売先・チャンネルの確保
これらを考えると、現代の農業は、素人がすぐに成功できるほど簡単ではなさそうです。
従来と真逆の「自然農法」
しかし、この本を読んで、「農業」に関する常識が一変しました。
これは農業の専門書ではなく、どちらかというと「現代の哲学書」です。
これからの社会・経済の方向性を示す書籍であるとも言えます。
内容は厚いのですが、その中でもいくつか引用して紹介します。
食糧危機と「減らす」発想
世界中で人口が爆増する中で、食糧危機も叫ばれています。そうした中、福岡氏は、徹底的に
何を積み重ねるか?
よりも
何を減らしていくか?
をスタンスにしています。
危機になるもならんも、人間が何を好むか何を取るかっていう方針一つ。
遠方のものを食べれば7倍忙しくなる。
こうした事から、自然農法では
という手法を導入しています。同書では
どのようにすれば自然の力を最大限に発揮して、人間の労力を最小限にすることができるか、という研究をしなければいけない
とも述べられています。
食糧生産と科学の限界
日本では農家の担い手不足が深刻視されています。
(農家の)数を減らして少数のものに作らせるアメリカ式が現在。
生産性を高めるためには、機械化・省力化が必要となるため、当然ながら農家の数は減っていきます。
日本でも現在、この方向性に国や県の予算がつぎ込まれていて、「スマート農業」が促進されています。そんな農業に対しては、
日本の農業はチッソ、リン酸、カリを合成した加工品。鶏にしても合成飼料と農薬の加工品に過ぎない。
と看破しています。農業が「生産の拡大」を目的としている以上、科学的な知見で農薬や肥料が使われます。
しかし、福岡氏の考えに依れば、
人間が知れる事なんて存在しない。人間が「知っているという」幻想を捨てるべき。
という形で、現代の科学の限界を指摘しています。
物の充実から精神の充実へ
同書の中では
小よりは大でいいとう観念が、根本的に反省されなきゃいけない時期にきている。
物欲は犠牲にしても、求心的に、精神的な向上、発達というものを目指す、時期に入ってきている。
と紹介されています。そして驚きなのは、農業生産が近代化する事により、人々の余暇に対する時間はむしろ減っていったという事です。
普通だったら、「機械化によって楽になった」となるべきですが、逆に仕事は増えています。その証拠に
昔の五反百姓は、正月が3か月あったが、今はせいぜい3日まで
とも紹介されています。
自然農法の可能性
地球環境の持続性を考えると、
- エネルギーの使い方
- モノの消費とゴミの処理方法
- 食糧の生産体制
という生活の全てを見直す必要があります。
ある意味、「根本的な価値観を改める時期」に来ているのではないでしょうか。
その点、「自然を人間の上位に置く」福岡氏の哲学は示唆に富んでいます。
まとめると、
自然の力を最大限に活かし、人間の傲慢を最小化する
自然農法の第一人者・佐伯康人さんの五島市での講演