車社会は島にとって良い事なの?
車が嫌いな人は島で不便になるの?
こういった疑問に答えます。
結論から言うと、島の車社会は「一見便利に見えて、デメリットが大きい」です。
この記事を読むと、島の車社会のデメリットが見えてきます。
島の車屋さんから聞いた話
先日、あいさつ回りをしていると、車屋さんからこんな声を聴きました。
この島は車が多すぎる。車の数を減らした方が良い。
私はちょっと驚きましたが、確かにそういう面はあると思います。
島では1人1台、自動車を保有しています。
移動は基本、車です。
だからこそ私は毎朝、交通量の多い交差点に立って挨拶をしています。
手を振りながら考えるのは、
もしもこの島で車が走れなくなったら、どうなろうだろう?
という事です。間違いなく、多くの方が困るでしょう。
通勤・通学・運搬・通院
など、五島は生活を車に依存する社会構造となっています。
結論から言うと、私は五島で暮らす人が
車に対する依存度を少しずつ引き下げていく
方向が望ましいと思います。
以下、車社会が持つデメリットを5つご紹介します。
1. 維持負担が大きい
これは個人にとって、非常に大きな負担となります。
- 車検代
- 部品代(本土からの取り寄せも多い)
- 保険料
- ガソリン代(特に離島は高い)
- 駐車場代(特に街中は高い)
これらのコストを合計すると、中々バカになりません。
特に五島は、所得収入が総じて低いため、車出費が生活費に占める割合が高くなります。
https://nakanishidaisuke.com/2017/08/08/island-salary/
2. 健康にならない
高齢者が多い五島市の介護保険料は、年々増え続け、長崎県内でも高水準になっています。
https://nakanishidaisuke.com/2018/07/31/kaigohoken/
その理由の一つとして大きいのは、
わざかな移動でも車に頼ろうとする
事にあると感じています。私は五島の「歩こう会」に所属しています(平均年齢70歳くらい)が、皆様総じて健康的です。
やはり、歩く事と健康の関係性は大きいのでしょう。
その意味でも、車社会は「日本一健康な島づくり」の方針に沿わない構造であるといえます。
3. 郊外の一人勝ちになる
五島市は合併以来、一貫して人口が減り続け、中でも「旧五町」の疲弊は中心部である「旧福江市」よりも大きくなっています。
その原因の一つが車社会です。
旧5町のスーパーや飲食店は、その多くが「郊外の大型店舗」にお客さんを取られてしまいました。
これは商店街に関しても同じことが言えます。
商店街は駐車場が少なく(路上駐車が多い)、そのためお客さんが離れてしまう原因の一つにもなっています。
「商店街の活性化」
は、長く五島市の政治的テーマになっていますが、「車の移動が前提」になった場合、郡部と商店街は相対的に厳しい条件になります。
4. 島の経済にとってマイナス
もう少しマクロな視点で見ると、「車社会」は島の経済そのものにとってマイナスです。
車検工場やタイヤ販売店、車の販売代理店は存在しますが、肝心な「自動車の工場」は存在しません。
島を一つの国としてみた時、
- 自動車の完成品
- 自動車を動かすガソリン
は、島外からの輸入になります。島の中で自動車の重みが増えれば増えるほど、島外に流出する資金も大きくなってしまいます。
経済的な繁栄を目指すのであれば、
- 島で車と動力を生産し
- 島の外に車と燃料を輸出する
事が必要になります。
5. 高齢者に厳しい
高齢化率が4割に迫る五島市の中で大きな問題となっているのが、
高齢者の足の確保
です。
- 免許を返納する
- 歩ける距離で日用品が手に入らない
- 公的なバスや支援者が存在しない
状態は、生活そのものが維持できない事を意味します。
車社会のメリット
もちろん、車社会は悪い事ばかりではありません。
- 移動が自由で楽チン
- ストレスフリー
など、都会の満員電車とは対照的に、個人のストレス軽減に繋がる側面も大きいです。
特に大都会から移住した人にとって、信号の少ない海岸の景色をドライブする事は、とても清々しい気持ちになります。
富江~福江あたりで目にする大浜海岸は、通勤が観光みたいな感じです。
まとめ
五島の「車社会」がもたらすデメリットは
- 高齢者の負担が大きい
- 高齢者の健康に良くない
- 島民の財布に厳しい
- 島の経済にとってマイナス
- 郊外の一人勝ちになる
などが挙げられます。
島の経済循環率を高め、島民の生活コストを下げ、高齢者にとって優しい島を目指すのであれば、
「車がなくても持続可能なコミュニティー」
が必要です。
徒歩圏内に生活に必要な最低限度のモノが手に入る状態です。