東日本大震災後の日本のエネルギー政策を振り返る

進む再エネ・退く原発

東日本大震災を契機として、日本の再生可能エネルギーは普及が促され、原子力発電は停滞しています。

ここ数年間で、徐々にその「反動」が顕著になってきた形です。

具体的には

  • 電気料金に占める「再エネ賦課金」の増加
  • 原発を維持するエネルギー計画と、実体との乖離
  • 化石燃料の輸入増加に伴う国富の流出

国民が思っていた以上に、再エネは「コストが高く、経済情勢に合わない」ということが、露見してきた形です。

なぜそうなってしまったのかを考えると、「エネルギーの全体像」について、あまりにも短絡的で、感情的な流れに沿ってエネルギー政策が進んでしまったからではないでしょうか。

再生エネ推進は「右へ倣え」

日本人は未だに、「進んだヨーロッパに習え!」という国民気質に支配されているように感じられます。

「環境先進国」として、ドイツやデンマークとの比較がされますが、単純にエネルギー構成の棒グラフを並べても意味がありません。

なぜならEU各国は、全体として電力の融通が可能だからです。ドイツやデンマークが再エネを推進できるのは、そのしわとり役を他の国に期待できるからです。

さらにドイツは、経済全体でユーロ安の恩恵を受けることができるので、国民負担の増加を補填することもできます。

ですので、日本と事情の異なる他国を比べることは、意味がありません。

実際、日本の場合は既に2兆円もの税金(再エネ賦課金)によって、クリーン電源が支えられています。

問題は、そうした「国民負担が徐々に増えていく」という事実を十分に知らされないまま、

「脱原発!クリーンエネルギーの推進!」

という聞こえの良い宣伝に乗っかって、ズルズルと進んでしまったことではないでしょうか。

「脱原発」が進む理由

福島の事故後は、原発の危険性が露呈して、多くの国民が(今もまだ)被害に苦しんでいます。

ただ、この事故の教訓を活かし、

世界で一番安全な原発を作りましょう

という機運があまり高まらなかったのは、不思議なことです。原発は

  • CO2削減によって環境負荷を減らし
  • 安定した電源となり
  • 発電コストも他の発電より低い

という形で、「エネルギー自給率が低く、他国からも電力を融通できない」日本の国情に合った電源です。

今一度、「再エネ」の特徴を見ると

  • CO2削減には影響せず
  • 不安定な電源であり
  • 発電コストも高い

ということが明らかとなってきました。

ここでの問題の本質は、国が

『原発を維持する方針を示さなかったこと』

ではなく、

エネルギーの情報を十分に整理しないまま感情論で走り出してしまったこと

ではないでしょうか。

2020年以降のエネルギーは?

「地産池消」や「再エネ促進」を謳う『新電力』が各地で乱立していますが、2020年以降は正念場です。

この年から「総括原価方式」が撤廃され、既存の大手電力会社が「格安営業攻勢」をかけてくると予想されます。

さらに、固定価格買取制度も終了し、「再エネ」は価格面での優位性が薄れていきます。

こうなってくると、「再エネ」の料金が高くなり、「原発」の料金は(相対的に)更に安く見えます。

そうすると、既存の『新電力』は、価格面で原発を有する大手電力会社に太刀打ちできません。

原発はキライだけど、安い電気は好き

という形で、利用者から見れば「ダブルスタンダード」による原発容認が広まるのではないでしょうか。