【書評】未来の年表 人口減少社会でこれから起こること

人口年表

日本の人口は減り続ける

というのは最早、りんごが木から落ちるのと同じくらいの「一般常識」となっています。

だけど実際、「じゃあ社会はどうなるの?」っていう部分の具体的な部分は、よく分かっていない人が多いのではないでしょうか。

人口減少の最先端を突っ走る五島に住んでいれば、それは肌身の感覚として伝わってきます。

60年間の五島市の人口推移

そして日本全体としても人口減少社会が続くため、この傾向はそのまま続いていきます。

この本では、時系列に沿って「どのようなことが起きるのか?」を紹介しています。

2020年. 女性の2人に1人が50歳以上

合計特殊出生率、と言う言葉があります。

これは人口統計上の指標で、一人の女性が出産可能とされる15歳から49歳までに産む子供の数の平均を示すものです。

2020年には、その指標から外れる女性が、社会の半分以上になるということです。

ちなみに、合計特殊出生率が過去最低だった年は2005年で1.26。それが直近の2016年には1.44と改善されています。

しかしながら、合計特殊出生率の向上とは裏腹に、実数としての「年間出生数」では8万5551人も減少しています。

これはつまり、合計特殊出生率の母数となる女性の数が着実に減っていることを意味します。

つまり、人口維持のためには、母数の減少を補うレベルで合計特殊出生率を向上させる必要があるということです。

2025年.東京も人口減少社会に

2017年現在の人口動態は、「東京一極集中」と言えます。

2016年人口移動報告によると、東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)の転入超過は11万人を超え、21年連続で転入超過となっています。

一方で、大阪圏と名古屋圏は4年連続の転出超過となっています。

東京の一人勝ちと言うことで、首都機能の移転なども提言されていますが、実際のところはまだまだ東京のパワーが日本の経済的な心臓部であることが分かります。

そんな中で、激減する若者の代わりに東京に押し寄せるのは地方の一人暮らしの高齢者であると予想されています。

介護と医療の整備がおぼつかない東京では、押し寄せる高齢者を受け入れられるのか?という点で多くの問題が懸念されます。

筆者は「東京一極集中」が危険であると指摘していますが、今後は割と自然にその状態が解消されるのはないでしょうか、と個人的には思います。

東京にいなくてもお金は回る世の中ですし、「場所に囚われない仕事」への流れは、技術革新と共に加速度的に強まるからです。

2033年.全国の住宅の3戸に1戸が空き家になる

人口減少すれば当然、空き家の数も増えていきます。例えば五島では、一歩郊外に足を伸ばせば半分以上は空き家です。

いや、集落全体が空き家となっているような地区さえちらほらありします。

筆者は、日本は圧倒的に「供給過剰」であり、中古物件の流通に関する法整備も不十分であると指摘しています。

確かに日本人の意識には、

「夢のマイホーム」=「人生ゲームの到達地点」

みたいな刷り込みがありますからね。家なんて持つべきものではないという感覚の方が、まだまだマイナーな感じだからこそ、新築住宅は都心でバンバン売れるのでしょう。

地方自治体はどこを目指すべきか?

今まで見てきたように、人口は日本全体で減り続ける訳ですから、それぞれの自治体が「○ヵ年計画」の中で掲げている「移住促進」対策は、パイの奪い合いになります。

どうしてそこまで必死に「人口」を確保しなければいけないのかというと、住民税を徴収することが自治体の財源に繋がるからです。

しかしながら、結局皆が同じ土俵で勝負をしていれば、不毛な競争にしかなりません。

自治体の財源として「住民税」の割合は大きいですが、限られた人間を巡って不毛な競争に力を裂くのではなく、「法人税」を獲得するための企業誘致に力を入れたほうが良いのではないでしょうか?

それに加え、筆者も著書の中で紹介している通り、

交流人口としてのセカンド市民

が、今後はより一層大事になってくるのではないでしょうか。物理的な移動に関するコストは間違いなく下がり続ける傾向にありますから、場所に囚われないライフスタイルは今後拡大が見込まれます。

中途半端な定住人口増よりも、「ファン人口」の多い地方こそ生き残る。

という主張は正しいと思います。五島市が全国の自治体に先駆けて始めた国境離島新法でも、

「交流人口の拡大」

が重点政策として掲げられています。

2017年広報ごとう5月号より抜粋