議員に当選してから2年半が経ちました。
この期間、定例議会では11回質問を行い、決算委員会は3回行いました。
決算委員会は毎年11月に行われ、私が住む五島市では各委員会に分かれて2日間で行われます。
決算審査は細かい数字が多すぎて、どこを見ればよいか分からない。
決算審査では何を指摘すればよいの?
と迷っている新人議員の参考情報になれば幸いです。実際、決算で提示されるデータの量は膨大です。
そこで本日は、私が決算審査の際に重視しているポ着眼点・ポイントの紹介です。
着眼点1.定量的なデータの経緯
定量的なデータは、決算報告書に詳しく記載されています。
が、自治体の規模・予算によって中身とその妥当性は千差万別です。
統一的な指標(財政力指数・実質交際費率など)はあるものの、自治体の経営診断はその自治体の規模によって様々です。
その中で、お住いの自治体の中で毎年必ず出てくる定量的なデータがあります。例えば
- 住民税(市民税・法人税)に代表される地方税の推移
- 自動車保有台数など市民生活に関わる数字の推移
- マイナンバーカードの交付枚数の推移
など。決算報告書はデータの宝庫です。五島市の場合、PDFデータからコピーするのが難しいので手入力となりますが、このデータは大変参考になります。例えば五島市の場合、ふるさと納税の金額とゴミの売り払い収入が、近年は大きく伸びています。
以下、資源ごみの売却単価の推移です。
上記のデータからは、アルミに代表される資源価格が高騰しているため、
- どうしてこれだけ高騰しているのか?
- 市民のリサイクル意識向上につなげることが出来ないか?
- リサイクルが進むと、幾らの税金の節減効果が生まれるのか?
- 資源価格の高騰に伴い、全国では「持ち帰り」が発生しているが、うちは大丈夫か?
など、質問事項が出てきます。
地道で時間のかかるデータ分析ですが、ご自身の担当する課で集計しているデータの経年推移を分析すると、必ず見えてくることがあります。
着眼点2.定性的なデータの経緯
定性的なデータとは、過去の議論の流れです。
新人議員の場合、過去の委員会でどのような指摘事項があったのかは、必ずチェックしておくことをお勧めします。
自治体の業務や各課の仕事の8割以上は「今までの事業の継続」であるため、長い目で見ていく必要があります。
一般的に、小さな自治体では委員会での議論は非公開が多いので、過去のデータは議会事務局に問い合わせてみましょう。
議事メモがあれば、議会で重要視されているポイントが分かり、現在の状況を把握する材料となります。
他の委員会の議事メモも、ある程度のレベルで公開されることが五島市の課題と感じています。
着眼点3.日常の課題からの提言
3点目は日常の課題からの提言です。
例えば私の場合、PCのトラブル対応の依頼を受けることが多いのですが、訪問するお宅のPCはどれも古く、動作が遅いです。
市民のPCが高齢化している
という現状に触れる機会が多いため、「極力ネットに繋がないように」と助言はしていますが、サポートの切れたOSやブラウザを使用することでセキュリティリスクが高まり、ウィルス被害にあうリスクも高まります。
市民向けの対策としては、電話の自動録音機能のサービスも提供していますが、PCの守備は非常に手薄だと感じます。
この辺りに関しても、市が提供しているサービスに加えて、PCの更新についても重要な市民の財産を守る方策ではないかと質問・提案しました。
まとめ
新人議員向けに、決算委員会で大事な着眼点を紹介させていただきました。
決算審査は、認定か不認定かを出すだけなので、地方自治への影響は低いと捉える事も出来ます。
しかし、自治体によっては決算の際に議会や委員会の総意を市政に示す事も出来ます。
一般質問も同じですが、決算委員会も準備の量で成果が決まると思います。
勿論、ただ質問をすれば良いという訳ではありません。
しかし、質問をする事を通じて市政の課題を見つけ出し、より良い提案に繋げていくことが出来ると思います。
中々市民には見えにくい、地道な作業ではありますが、こうした活動もしっかりと行う事で、お住いの自治体の改善につなげると思います。