2023年6月議会の補正予算の内容に関してです。
↓7月3日に公開された動画
上記動画に関する見解
買い物支援ドローン事業
事業概要
現在、嵯峨島及び久賀島において、買い物困難地域における買い物の手段として、長距離配送が可
能な固定翼ドローンを用いた日用品・食品の配送が実施されている。他の二次離島や福江島内の遠隔
地へ横展開を図るため、事業に要する経費14,577千円を計上する。
事業内容
① 取組内容
(1) ドローン物流、買い物代行及び個宅配送サービスを組み合わせた日用品・食品の配送
(2) 注文の都度、配送が可能なオンデマンド配送体制の実装
② 取組方法
(1) ドローン配送先の拡充
(2) 買い物代行サービスの実装
(3) 個宅配送の実装
(4) レベル4飛行(有人地帯上空目視外飛行)に向けた型式認証、ライセンス取得対応
③ 実施地域(予定)
奈留島、久賀島、嵯峨島、椛島、黄島、赤島
福江島(戸岐、大宝、荒川、中須、小浦、幾久山、貝津、高崎、泊 柏) ※泊じゃなくて柏の間違いとの説明がありました
④ 実施期間
令和5年度~令和6年度
⑤ 実施主体
そらいいな株式会社
⑥ 事業費、負担割合 (単位は千円)
ドローン事業に対する意見
今年度で五島市から728万円、来年度は1658万円の補助という事で、補助金頼みの事業です。
果たして本当に、買い物支援にこれだけの予算が必要でしょうか?
ドローンでなければもっと経費を抑えることができます。
当然ですが、空路よりも陸路で運搬する方が経済合理性があります。
五島市は移動販売の買い物支援に対して予算を計上していますが、R3年度の決算では市の負担で25万円です。
今回のドローン事業の額と比べると、約30倍もの差があります。
単純に、移動販売支援にもっと力を入れるべきではないでしょうか?
ドローンの採算性
交通インフラが整備されていない山間部への物量では、確かにドローンの果たす役割が大きそうです。
が、今回の対象地域は、陸上交通と船舶のインフラが整備されています。
ましてや、五島市では同じく海上交通の維持に多額の経費を計上しています。
そこにわざわざドローンで物資(重さは1.65kg以下)を運ぶよりは、集落の注文情報を集約し、オンデマンドの車両で一括配送する方が、経済合理性が高いと考えられます。
補助金終了→利用は激減
紹介動画によると、2023年3月までは補助金があり配送料は無料でしたが、有料になった途端に注文は激減。
二次離島在住者は段ボール3~4箱まとめ買いするため、500円でも高いという声が紹介されました。
物量の制約
動画の中では、
せめて10㎏くらい持って来てくれれば。値段と量がマッチすれば久賀の人は使うのではないか。
との声が紹介されました。
不透明な事業計画
委員会で気になる点を幾つか質問しましたが、事業の具体的な部分に関する方針は未確定要素が多かったです。
7月3日の委員会審査(一部メモ)
地域づくりの観点から
そもそもの問題は、人口減少に伴い集落で買い物ができる場所がない(必ず赤字になる)事です。
マクロで言えば、過疎地域に対する人口減少対策が弱く、学校も統廃合の予定であり、地域の力を衰退させる方向に向かっています。
2021年9月議会では、地域間格差を是正するために、市職員のリモートワーク(分散型オフィス)を提案しましたが、前向きな回答ではありませんでした。
結論
今回のドローン配送事業は、「買い物支援」という名目で「ドローン飛ばしたい」という感が否めません(手段と目的の倒錯)。
一見すると先進的な方法に見えますが、採算性が悪いため、維持管理の税負担の重さが問題です。
市長は「最小の経費で最大の成果を」と度々言っています。
買い物支援であれば、既存の移動販売支援や買い物代行サービス、交通費の補助など別の方法が幾らでもありますし、予算的には安く抑えることが可能です。
最も合理的なのは、集落の注文を代行でまとめ、定期的に既存の交通インフラで一括配送する方法ではないでしょうか。
こうした代替手段の検討に加えて、そもそも人口減少により無人島になりかねない二次離島の未来をどうしていくのか、考えていくべきと感じます。
私は大企業に多額の補助金を渡し、DX的な名目で課題の解決を期待するのは、間違いだと考えています。