五島市介護の現状と人材確保に向けて①~金銭的なインセンティブは有効か?

2021年12月22日、五島市介護人材確保対策会議があったので、傍聴してきました。

五島市の現況と課題

  • 高齢人口(R3年8月末時点)・・・14,561人

高齢化率は40.78%であり、上昇傾向にある。

  • 介護職の勤務する事業所:130か所
  • 従事者数:970人

将来予測(2025年時点)

  • 必要な従事者数・・・1000人
  • 不足する職員数・・・300人

五島市のこれまでの対策

①県内自治体と一緒に進めた取組

(一部抜粋)

  • 基礎講座、職場体験事業
  • イメージアップ事業
  • 未経験者等の参入促進事業
  • 外国人介護職員の確保・定着支援
  • 離島サービス確保対策検討委員会

➁五島圏域介護人材育成確保対策地域連絡協議会の取組

(一部抜粋)

  • 福祉・介護事業所についての出前講座の開催
  • 短期アルバイトによる介護体験
  • 地域型介護人材バンク
  • 福祉フェスタの開催

③五島市の取組

  • 五島市企業フェスタによる介護事業所の出展
  • ばらかもん奨学金:介護Iターン者助成拡充
  • 認知症サポーター養成講座
  • 介護職員初任者研修受講料補助
  • 介護支援専門員更新研修経費補助

五島市が検討中の対策

今までの取組みに加えて、新たな取り組みを五島市が模索する中で、介護事業所に対して

こんな政策はどうですか?

という形でアンケートが行われたので、紹介します(現状、財政面においての実現は厳しい)

①介護事業職員就職奨励金(案)

初めて介護職として正規雇用された介護職員が1年間勤めあげた際に、奨励金を支給することで、その慰労に敬意をたたえ、

今後の就労を継続するための指揮を高める一助として、3年間を限度に奨励金を支給し、市内における介護人材、特に若手の担い手確保に繋げる。

この案に対しては、

  • 賛成:23
  • 反対:5
  • どちらともいえない:14

という事業所からの声が寄せられました。

主な賛成理由

  • 求人を探す際に惹かれる内容であり、魅力的な内容だと思う。
  • 少しでも介護職に就職する人が増えるのであればよいと考えるから。
  • 介護報酬の改定があったが、基本部分は非常に少ない。パート社員の雇用絵足りる場合でも、正社員でないと応募がなく、人件費の支出が年々増加している。

主な反対理由

  • 現職の職員との公平感が保てないため。既存の職員の事も考えてほしい。介護職全般に慰労機として金額は問わずに出してほしい。
  • 他の自治体や組織・団体での事例はどうだったのか。成功していれば横展開されているはず。
  • インセンティブ付与よりも、業界全体の風土改革が必要。

➁高齢就労雇用支援金(仮)

高齢化が急速に進む中、高齢者の生きがいづくりや健康の維持のためにいきいきと働け続ける社会を作ることが重要であり、

高齢者を介護職員として雇用した事業者に対し、雇用支援金(賃金の半額を支援、1人当たり5万円上限)を交付する。

  • 賛成:24
  • 反対:2
  • どちらともいえない:16

主な賛成理由

  • 高齢者が長く務めるモチベーションになると考える
  • 年金での生活が苦しくなっている中で、支援金があることで労働意欲の向上に繋がると思う
  • 高齢者の社会参画は健康寿命の延伸にとって必須であり、社会保障費の抑制にもつながると考えられる

主な反対理由

  • 新規雇用のみは反対。すでに継続雇用で頑張っている方もいるため、ほかの事業所に移ってしまう可能性がある
  • 求人を出して高齢者であっても応募があれば雇用している状況であるため、雇用支援金により就労支援の効果が上がるとは考えにくい
  • 事業所としては助かるが、今まで募集しても職員がいないので、変わらないと思う

私の意見

会議を傍聴した私(介護未経験者)の意見ですが、あまり良い対策ではないと考えます。その理由は大きく2点。

①制度の持続性

五島市の財政は自主財源が乏しく、余裕も少ない状況です。確かに介護事業は、人手不足で困っている状態と聞きますが、

お金で短期的に就労を促す発想は、財政的な面で持続性が乏しい

と考えます。島の中だけでの雇用は難しいので、当然ながら島外からのUIターンや外国人労働者の力も必要となります。

そうなったとき、五島市は財政的に厳しいため、ほかの自治体と比べて不利なレースとなります。

そのため、事業者様からの意見にもありましたが、

「介護職 × 島暮らし= 良い暮らし」

というパッケージでPRした方が効果的であると考えられます。

➁逆効果になる懸念

新規就労に対する金銭補助を付けることにより、

  1. 既存の職員との心理的な軋轢が生じ、
  2. かえって職場の心理的ストレスが増大し、
  3. 新規就労者の離職率が高くなる

という結果に陥ってしまうのではないでしょうか。

 

ただ、介護の分野だけに限らず、健康づくりという観点からの高齢者の雇用促進を行い、

人手不足の解消&医療費の削減

という形で一挙両得を狙う発想はありだと思います。

 

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