PCR・抗原検査費用を自治体が全額助成するメリット・デメリット

11月26日の長崎新聞によると、

「五島市 県外と接点の高齢者ら対象 PRC検査費 全額助成」

という記事が出ました。まずは記事の要約です。

対象となる検査

  • PCR検査(保険適用検査を除く)
  • 抗原検査(保険適用検査を除く)

対象者

直近2週間に県外に出たり県外の人と接触した人のうち、

  • 65歳以上
  • 基礎疾患のある人
  • 介護・医療・障害福祉・保健施設などの従事者

その他の条件として

  • 市内の病院(五島中央病院除く)に入院する人

も含まれるそうです。保険適用を除くという事なので、今回は無症状の方が対象となりそうです。

検査の種類

厚労省が示す「病原体検査の指針」によると、検査の種類には大きく分けて以下の3種類があります。

  1. PRC検査(核酸検出検査)
  2. 抗原検査(定量)
  3. 抗原検査(定性)

https://www.mhlw.go.jp/content/000678570.pdf

このうち、抗原検査(定性)については、無症状者への適用が推奨されていない事から、今回の無料受診は抗原検査(定量)となりそうです。

検査の感度

検査でどれくらい正確に判定が出来るかを、「感度」と呼びます。

PCR検査には2種類あり、「リアルタイムPCR検査」と簡易的な「LAMP法」があります。

感度の順位については、以下のイメージです。

リアルタイムPCR > LAMP法 ≒ 抗原検査(定量)

【参考】

http://www.iph.osaka.jp/s007/020/020/014/001/20201019172000.html

しかしながら、PCR検査の感度は必ずしも高いとは言えないものです。日本疫学会の見解によると、

今回のコロナウイルス感染症については、実際に感染していることの把握が難しいことから、実際の感染者に対してPCR検査がどれほど正しく診断できているかについての正確性の計算がまだできていません。

とあります。

https://jeaweb.jp/covid/qa/index.html

仮に検査で「陽性判定」を受けても、現在はまだ有効な治療薬は存在しません。

そうした中で、無料検査を行うメリットとデメリットを紹介します。

無料検査のメリット~免罪符~

医療体制が乏しい島の中で、「県外へ行って戻ってくること」は、一種の罪悪感を伴います。

私も年末年始の帰省を見送りました。

そうした中で、無料で検査を受けられる事は、(検査の感度の問題はあるにせよ)一定の「免罪符」を与える効果が期待できるのではないでしょうか。

言い換えると、「島に帰ってきてからの不安」を幾分緩和する効果です。

島では色々な噂話が蔓延しやすいため、

〇〇さん、島外へ〇日間も言っていたみたいですよ。。。

という噂が広まりやすい傾向にあります。

こうした不安を一定程度抑えために、検査によって「職場や地域への安心感を与える効果」が期待されます。

無料検査のデメリット~医療負担の増大~

一方で、検査を増やす事のデメリットも発生します。

それは「医療機関への負担増大」です。この要因は二つあり、「コンビニ受診」と「偽陽性判定」です。

コンビニ受診

「コンビニ受診」のような感覚で多くの人が殺到すると、医療機関も混乱します。

  1. 検査の費用が無料になる
  2. 県外への往来が増え、検査数が増える
  3. 医療機関への負担が増大する

という流れです。更に、「高齢者の無料検査」が一般化する事により、

帰島後の検査に対する同調圧力

が働く可能性もあります。

「家に帰ったら手を洗う」のと同じ感覚で検査を受ける事が推奨されると、

益々医療機関に人が集まる事が懸念されます。

偽陽性判定

本当は感染していないのに、陽性判定されてしまうと、これまた医療機関への負担を増やす要因となります。

本当のリスクは「県外からの持ち込み」

しかし、基礎疾患があり感染リスクを恐れる人は、そもそも島外への渡航を控えるとも考えられます。

島の中でも、「今は出来る限り自粛しておこう」と考える人が多いのも事実です。

その意味では、本当に怖いのは「県外から持ち込まれるケース」です。

今回、島民を対象とした「無料検査」の費用は760万円を想定しているそうです。

しかし、島外の人を対象に、「島の防御力」を高める対策を、別途実施していく必要があるのではないでしょうか。