条件付きで給付すると、どんな混乱が生じるの?
貰える人と、貰えない人で、不公平感が生まれないの?
そんな現金給付の質問に答えます。
日経新聞の記事を基に、そこから生まれる「不公平感」について紹介します。
私は政治家を目指した活動をしています。
かねてから、経済対策として最適解は、
- 消費減税
- 国民一人一人に対する無条件給付
だと述べてきました。
https://nakanishidaisuke.com/2020/03/17/most-impact/
結論から先に言うと、今回の対応によって
国民間での様々な不公平感が、政治への怒りを生む
事が予想されます。そのため、野党にとっては追い風と言えるでしょう。
具体的に、「5つの不公平感」について解説していきます。
1. 世界との不公平感
日本の現金給付では、「20%の世帯しか救済しない」方針です。
しかし、先進国の経済対策を見ると、幅広く個人を救済する国が殆どです。
アメリカ:現金給付(一定の所得制限のもと1人1200ドル、子供は1人500ドル)
ドイツ:個人の生活維持のために100億ユーロ(約1兆2000億円)を支援
イギリス:フリーランスを含む個人向けが2000万ポンド(約27億円、1人当たり最大2500ポンド=約34万円)
【参考】
https://bijutsutecho.com/magazine/news/headline/21598
こうした世界との比較から、国民の間での不公平感が高まると予想されます。
2. 対象者の不公平感
日経新聞の記事によると、
対象世帯は全国5300万世帯のうち、約1000万世帯を想定する。30万円を給付すれば、現金の支給総額は3兆円規模となる。
とあります。つまり、約5人に1人がお金を貰える一方で、5人に4人はお金を貰えない計算です。
そのため、80%以上の国民からすれば、
「不公平感を生む種」を支給されたようなものです。
この種は、次の選挙にも大きな影響を与えると予想されます。
3. 世帯での不公平感
今回は受給対象が「個人」ではなく、「世帯」ですので、
5人の世帯でも、1人の世帯でも、金額は同じです。
人数が多ければ多いほど、実質的に貰える金額が減るため、これも不公平感を助長します。
日経新聞の記事によると、
生活資金がかさむ子育て世帯は子供の人数に応じて基準を緩め、生活資金が少なくても暮らせる単身の場合は厳しくする。
とありますが、これは金額ではなく基準の部分です。
4. 審査基準への不公平感
今回の「自己申告制度」も問題です。日経新聞の記事によると、
行政が対象者全員をいったん洗い出す作業はせず、住民が市町村の窓口に自ら申告する制度とする。収入減少を証明する書類を提出すれば原則支給を認める方向だ。
現時点では、どの程度厳格に審査が行われるか、基準は不明確です。しかしながら、
(ダメもとで)とりあえず出しておく
人が増える事が予想されます。
金額が大きいだけに、虚偽の申請も想定されます。
そうなった時、本当に自治体側で虚偽の申請を見抜けるでしょうか。国民の間では、
どうしてあの人だけ貰えて、私は貰えないの・・・?
という不公平感が生まれる事は避けられません。
5. 自治体間の不平等感
今回の対応は、市町村の自治体ごとの対応です。
当然、各自治体では職員に対する人口比や、業務の効率性にバラツキがありますので、
自治体ごとに差が生まれてしまう
事が予想されます。そのため、自治体間で
- 基準が緩く、4割が受給できる自治体
- 基準が厳しく、1割しか受給できない自治体
の発生にも繋がるのではないでしょうか。
同様に、例えば今回の処理を、RPAで処理できる自治体は、スムーズに受給まで処理が可能です。
- 効率的でスムーズな「申請~給付」が可能な自治体
- 非効率でスムーズな「申請~給付」が不可能な自治体
と、濃淡が生まれる事が予想されます。
まとめ
今回の「対象を限定した、世帯への現金給付」は、多くの点で、国民の不公平感を生みと予想されます。
- 世界の対応と比べた時の「不公平感」
- 対象者の範囲を巡る「不公平感」
- 世帯の人数に関する「不公平感」
- 審査の基準に関する「不公平感」
- 自治体間の対応を巡る「不公平感」
こうした対応を行う政府に対しては、
失望・怒り・恨み・復讐心
がジワジワと醸成されていくのではないでしょうか。
政府は今回、
全員に対する幅広い救済
ではなく、
20%に対するお金と、80%に対する「不信の種」
をばら撒きました。(直前で一律10万円に修正)
1人1人がおかしい!と声を上げれば政治を変える事が出来ます。
不公平な制度に繋がらないように、しっかりと声をあげていきましょう。
社会が分断されないように。