五島の地域社会
最近は五島の各地を回ってヒアリング活動をしてます。
日中は仕事に出ている人が多いので、私がお会いする方の多くは、年金暮らしの高齢者です。
そうした中で、よく聞くお話は
昔はこの辺りも子供が多かったんだけどねえ。。。
という声です。そして必ず、
こっちには仕事がないからねえ。。。
という話を聴きます。加速度的に進行する人口減少とインフラの老朽化・学校や病院といった施設の統廃合を巡っては、寂しい思いをされている方が多いという印象です。
ここは限界集落だから。。。
という声も少なくありません。そうした「地域の声」を反映し、
人口減少対策のための雇用(=働く場所)の創出
を一番の柱に据えている現在の市政は、「地域に活力を取り戻す方向性」としては、間違っていないのかもしれません。
しかし、雇用の場は少ない訳ではなく、有効求人倍率も高止まりし、人手不足も続いているという状態です。実体としては
働く場所はあるけど、都会ほどバリバリ儲からないから事業所の賃金水準は総じて低く、働き手は都会に流れる
というのが、五島の人口流出の基本的な構造だと感じます。
一方で、最近増えている「高齢者の人口流出」については、
介護・医療の心配が大きいから、島外に住む子供の所へ引き取られる
ケースが多いと感じます。人によっては、お墓ごと島外に持ち出す場合もあるそうです。
そうした中で、私は島に必要なのは
「雇用の場」ではなく、「未来への期待」
だと感じます。その具体的な中身は、このブログで度々紹介している先進的な技術や制度ですが、本日はその方法論の紹介です。
新しい制度の導入に向けて
近年は、変化の激しい時代です。にもかかわらず、戸籍制度や行政の仕組みは、依然として古いままです。
今後の人口構造の変化とライフスタイルの広がりから、新しい制度を真剣に考える必要があると感じます。例えば
- 同性婚やLGBTの婚姻を含めた幅広いパートナーシップ制度
- 戸籍制度を廃止したマイナンバー(的な電子管理)への移行
- シェアリングをベースとした遊休資産の活用法案
- 労働に依存しない、ベーシックインカム的な制度の導入
- 安楽死・尊厳死を考慮した新しい法制・ルール
- Maas社会を前提としたモビリティー関連の法整備
- SDGsの実現に向けたごみ排出の法整備
などなど。
そうした事を市町村が「いきなり」始めるのは困難です。
そこには現行の憲法の縛りがあるため、「自治体で出来る範囲」と「国が制度設計しないと出来ない部分」が存在するからです。
そのため、特区制度の活用も踏まえ、
自治体として実現可能なルール
を整理し、トライアンドエラーを前提に、小さい実験から始めていく事が必要です。
それに加え、資本主義経済の前提で商売を営む事業者との間では、少なからず軋轢が生じます。
例えば、行政主導で「働かなくてもある程度暮らせる社会」が実現したら、必然的に地域で循環するお金の量は減ってしまいます。
そうした経済改革も、事業者と消費者の双方にとって恩恵がある制度設計に向けた検討が必要です。
未来社会研究所の役割
これを市町村という「前例踏襲型」の組織が行うのは、非常に時間とコストがかかります。
そのため、「未来社会研究所」(仮称)を設立し、その運営を委託します。第3セクターとしての未来社会研究本部の役割は、
- 自治体として導入したい「新しい制度」の研究
- 「新しい制度」の開始に向けた法整理・関係者との調整
- 「新しい制度」の普及に向けた情報収集&発信
です。そうしたプロジェクトを同時並行的に立ち上げる事により、
技術の変化を踏まえた、制度的により良い社会
が構築される事への期待感が生まれ、人もお金も集まる好循環が生まれると考えます。