自治体DXの「推進本部」が果たす役割とは?

DX推進本部の設置

長崎県五島市にDX推進本部が出来たとの事だったので、早速内容を知るために役所に足を運びました。
情報推進課の担当者から説明をして頂き、五島市DXに関する理解を深めることが出来ました。

そもそも自治体DXって何?

FBでDX推進室の記事をシェアしたところ、
そもそもDXって何?
という質問を沢山頂きました。様々な定義がありますが、五島市長の答弁によると、

DX=ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でよい方向に変化させると言われておりますが、五島市にとっては大きな変革をもたらすと期待している。

人や物を物理的に移動させる事は出来ませんが、これまで海で隔てられて諦めてきたことが実現可能であると実感している。モノはドローンで運ぶ。想像がつかないくらいに代わる。成長産業が衰退産業に変り、衰退産業が成長産業に代わってしまうかもしれないと思っている。

という認識です。
で、何が変わるの??
という突っ込みを入れたくなりますが、五島市ではこの認識に基づいて進んでいくそうです。
良くも悪くも、ヨコ文字については住民の方が理解できる言葉で説明をしていくことが求められます。
私が現場の職員の方から聴いた限りでは、五島市のDXは
ボトムアップ型の業務改革
である印象を受けました。
〇課・・・×対応
△課・・・◇対応
☆課・・・★対応
みたいな感じです。
本来であれば、よりトップダウンでの意思決定が必要なプロジェクトだと感じますが、全国一律変わるという訳ではなさそうです。

自治体DXは不確定要素だらけ

自治体DXに関しては、9月に創設されるデジタル庁の動きや方針にも大きく左右されます。
そのため、「何ためにやっているか?」を見失い、国と地方自治体の方針がずれて迷走する恐れがあるとも感じています。
今のワクチン供給を巡る国と地方の混乱を見ていると、なおさらそのように感じます。
6月議会の一般質問でも触れましたが、自治体DXではビジョンの提示と共有が大事だと感じています。

DX後のビジョン

「DXで五島市はどう変わるのか?」
という質問に対して、市長は
「五島市にとっては大きな変革をもたらすと期待している。」
と答弁されましたが、もう少し具体的なビジョンが欲しいと感じました。
新聞記事では、DXの方針として「書かせない窓口」が示されましたが、こうした分かりやすさの提示は必要と思います。
その一方、交通課題が多い五島においては、窓口に行かずとも「在宅で完結する手続き」の方がメリットが大きいのではないかとも感じます。

DXで変わる事

また、DXの取り組み項目として「効率的な行政運営」としてRPAやAI議事録が掲げられています。
ですが、DXの恩恵として期待される「職員の負担軽減(労働時間の短縮化)」に向けた業務の見直しやKPIの設定がないと
「DXに追われて仕事が増える」という本末転倒な結果になってしまう恐れがあると感じました。
こうした不幸が起きないよう、DXに関する国や自治体の情報にアンテナを張り、市民サービスの向上と職員の負担軽減に繋がるような提案をしていきたいと思います。

業務改善か業務改革か

デジタル庁の基でDX推進が全国的に進むと考えられますが、私の印象としては、

地方自治体のDX=国主導で与えられた宿題の一つ

という認識でしかない自治体が大半ではないかと思っています。

現状でも役所の仕事が手一杯な場合、現場の仕事がさらに増えてしまう可能性が高いと感じます。

ボトムアップでの改革は、政治的な判断を伴う部分もあるため、

今ある組織業務の効率化・ICT化(業務改善)

に終わってしまう可能性があります。

結局は首長の意志次第

自治体DXには、
  1. 業務改善(住民の利便性向上)
  2. 組織改革(部署や体制の根本的な再編)
の2つの側面があります。「1」は現場の努力とリソース次第で成否が分かれますが、
「2」についてはそもそもトップである首長が判断をしなければ、何も動きません。
一般論として、人は今までのやり方を変える事に対する抵抗感を強く感じるので、
上からの意向がなければ、「改革」は起こらず「業務改善」に終わる可能性が高いでしょう。
組織改革については、首長が「選挙で選ばれた」という自負があるため、
長年トップであるリーダーの場合は「大胆な改革」を行うモチベーションは低く、
国の号令に基づき「やっている感」で終わってしまうケースが多いと考えられます。

そもそも、政治的な意思決定として、

なくすべき仕事・組織や部署・役割の再定義(業務改革)

が必要ですが、改革への機運が乏しい場合は単なるICT化で終わる可能性が高いと感じます。

逆に改革派の首長の場合は、DXを利用して、一気に仕事の在り方や組織の在り方に変革をもたらす事が出来ると考えられます。

 

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