脱グローバリズム
アメリカのトランプ政権や英国のEU離脱(未遂に終わるかも)など、
時代は新たな局面を迎えています。
この流れをざっくりと説明すると、
「自由貿易という一部の大企業だけが儲かる」
仕組みに不満を持つ有権者からの支持を得た政治家が、
「脱グローバリズム」の流れを推進している状態です。
この新しい動き(不満層の政治的マジョリティー化)は、
フランスやスペインなど、他の国々も波及しています。
日本とドイツ
そうした大きな環境の変化の中で、日本とドイツは「自由貿易の推進役」として、反グローバリズムの流れを止めようとしています。
2月5日のNHKのラジオでは、日本とドイツの会談が紹介されています。
ラジオテーマ:日独首脳会談“自由貿易”と“国際協調”
https://www.nhk.or.jp/radio/player/ondemand.html?p=4774_02_23647
簡単に要約すると、
「日本とドイツが自由貿易の立場を貫く立場で強調」
という感じです。それは
「自由で開かれた経済」の方が、経済的に強いドイツにとって「全体的に有利」だという政治的な判断でしょう。
逆に、少なくとも半分以上の有権者が「自由貿易は自国に不利」と考える国では、それに反発する動きが強まっている形です。
五島では?
当然、日本の中の五島も、
ガッツリ「グローバルな市場原理」に席巻されています。
実際、福江島の中で最も来客数の多いお店は、シティーモールの「DAISO」です。
ダイソーはデフレ経済時の最強企業ではないでしょうか?10月の消費税増税も踏まえると、ますます消費者の倹約意識は高まるはずです。賃金水準の低い離島では、多くの方が100均のお世話になっています。
~
100均ダイソーを手掛ける「大創産業」の新規上場(IPO)は近い?! https://t.co/Jnn3aOucxu— 中西だいすけ (@wakuwaku230) 2019年3月23日
100円で売られる商品の半分以上(特にプラスチック製品)は、海外からの輸入品です。
それに加えて五島では、
- マツモトキヨシ、コスモス
- エレナ、キャンドゥ、オサダ
- ポプラ、ミスタードーナツ
という大型チェーンの店舗が進出しています。
穴の空いた経済
以前の記事で、五島の経済は「穴の空いたバケツ」と紹介しました。
https://nakanishidaisuke.com/2019/02/12/money-supply/
今、離島に対して与えられているボーナスのような補助金も、
島内のお金が増える=「島外流出」のお金も増える
という形になっています。まさにバケツのイメージです。
前回の記事では「資本主義からの脱却」というテーマでシェアリングやAIの導入のお話をしました。
本日の鎖国論は、その流れを作るための、いわば「下準備」に相当する話です。
今回はその方策として、3つほど紹介します。
①「移住税」の導入
「経済活動の島内循環率を高める」ために、まずは止血をする必要があります。
今でこそ、五島市は「人口減少対策」として、移住者に対する優遇措置を行っていますが、今後は「逆張り」路線が有効です。
https://nakanishidaisuke.com/2019/03/05/survival/
つまり、今までのように
移住者にお金を与えて住んでもらう
のではなく、
移住者が五島に住みたいならば、入島税を導入する
という方針です。
なぜなら、まだ沖縄のように、「過度なリゾート開発」が進んでいない五島では、
手つかずの素晴らしい自然が沢山存在する
からです。西海国立公園や国の重要文化的景観にも指定されている場所が多いので、
環境を汚す存在である人間が増える事は、地域の自然的景観を損なう要因となります。
五島は環境立国の秘島!
とテーマを掲げ、移住者に対する「入島税」をかけることで、自然的な価値の保全だけでなく、リゾート開発をしたがるグローバル企業に対するけん制もなります。
②「関税」の導入
人に対する規制の次は、「モノ」に対する規制です。
これは考え方として、国同士の関税と同様です。
「五島列島のモノ」と「そうでないモノ」を区別し、税金をかける事により、島の中でのサービス自給率を高めます。
難易度別に簡単な方から列挙すると、
- 食品:飲食物・嗜好品
- 加工品:建築資材・工業製品
- エネルギー:ガソリン・電気
という感じでしょうか。
まずは簡単なモノから初めて、徐々にステップアップする形で「島外への依存度」を減らすのが良いでしょう。
そのための手段として、域内のみで使える仮想通貨や、シェアリングエコノミーの概念が導入できれば面白いですね。
➂「データセンター」の導入
「第四次産業革命」ともいわれるように、21世紀はデータが価値の源泉となる時代です。
この核となる部分を、島外に掴まれることは、一番危険な状態となります。
例えば、島の中での一番大事なデータの管理を島外の企業に委ねた場合、シチュエーションとしては
「安全保障をめぐる日本とアメリカの構図」
に陥ってしまいます。(=核を持たない日本は立場が弱い)
データセンターで扱う情報は多岐に渡り、
- 鎖国政策の根幹となる「移住税」や「関税」のデータ
- 島内の経済循環率を高める「通貨量」や「居住地」のデータ
- 住民トラブルや行政サービス向上に役立つデータ
も、全てデータセンターに集約されます。
まとめ
現在、世界的に「反グローバリズム・自国第一主義」が流行っています。
日本やドイツは、輸出経済大国としての立場上、自由貿易推進の立場を取っていますが、都市と地方では温度差があります。
なぜなら日本の地方は、自由貿易推進の結果として、「穴の空いたバケツ」状態になっているからです。
人口流出と過疎化に歯止めがかからず、「地方創生」の掛け声もむなしく限界集落が同時多発的に発生しています。
そんな地方が生存するための戦略として、五島列島では「鎖国政策」を掲げ、島の中での経済自給率を高める作戦が可能です。
具体的には、「移住税」、「関税」、「データセンター」を導入し、先端的な技術を最大限に活用し、従来の「大企業が一人勝ちする」経済構造からの脱却(=自立的経済圏の創出)を図ります。