「プレミアム商品券」は百害あって一利なし

消費税増税

政府では現在、消費税の増税に伴い、

2万円で2万5千円のプレミアム付き商品券

を配布する案が出ています。

この方針については、

制度設計に掛かるコストの割に、経済効果は小さすぎる

ことが問題です。所得の制限もあることから、役所の手続きも煩雑になりそうです。

実際、過去においても「商品券」の経済効果は、費用の半分以下であったことが紹介されています(日経新聞)。

プレミアム商品券は2014年4月に消費税率を5%から8%に上げた時に出した。

内閣府は当時の実質的な消費喚起効果は1019億円だったと試算。

政府が組んだ14年度補正予算では財源として2500億円を計上したが、経済効果はその半分以下にとどまった計算になる。

そもそも、キャッシュレスに対してインセンティブを検討する前に、役所のペーパーレス化・脱判子化を推進するのが先ではないでしょうか。

問題1. 導入コストが高い

コストについては、低所得者向けの対策をするためのコストがかかります。少なくとも、以下のコストがかかります。

  1. 制度設計を行う役人のコスト
  2. 世帯年収の審査を役所で行うコスト
  3. 商品券が使えるお店を選定するコスト
  4. 商品券を発行するコスト
  5. 商品券をお店から回収するコスト
  6. 商品券分の金額をお店に支払うコスト

全ての世帯に現金をバラまくならば話は簡単です。しかしながら、世帯収入の査定やキャッシュレスのポイント付与など、制度設計が複雑になればなるほど、これらの導入コストは高まります。

そしてその負担は、私たちの税金を原資に動く役人・官僚だけではなく、一般の商店にも及びます。

(そもそも、この記事を書いていること自体、私にとってはコストですが)

問題2.    効果が限定的

消費者が「プレミアム商品券」を利用するかどうか、これも制度設計の複雑さに依存します。

複雑であればあるほど、

面倒だからやらなくてもいっか!

という合理的な選択を消費者はします。では、どういった消費者がこの制度を利用するでしょうか?

  • 1回の買い物で使い切る形ではなく
  • 恒常的に買い物をする場所で
  • 頻繁にそこで買い物をするのは

ずばり高齢者です。

そうした点を踏まえると、お金がない人に更にお金を使わせようとするのも、発想としては間違っています。

本来であれば、高額な資産を持つ人が気軽にお金を使えるような導線を整備すべきですが、政府の発想は全く逆です。

福祉対策であるならば、いっそのこと「低所得者カード」みたいなものを作って、増税分を割引させる制度にした方がましです。

さらに言えば、キャッシュレスを奨励する一方で、キャッシュ以下の「商品券」ってどうなんでしょうか。

まとめ

政府が検討している「プレミアム商品券」は、過去の実績が示す通り、「費用対効果の低いばらまき対策」となりそうです。

それはコストが莫大にかかる一方で、対象となるのが「経済弱者」である以上、効果が低く、景気刺激にならないからです。