有名観光地と五島列島のシーズン別観光客数を比較してみた

観光にはシーズンがある

「外国人向け」のビジネスを考える上で、やはりシーズンは見逃せないポイントですよね。

  • 閑散期はどのくらい人が減るのか?
  • 繁忙期は普段と比べてどのくらい人が入るのか?
  • 観光地によって傾向の違いはあるのか?

その辺りが気になったので、調べてみました。

今回は、もっぱら夏場に観光のシーズンを迎える「五島列島」の五島市と、冬場も強い有力観光地(ニセコ、長野県白馬村)を比較してみました。

まずは、比較する上でキーポイントとなる単語を整理しておきましょう。

「夏型観光地」と「冬型観光地」

日本国内での夏型観光地というと、西日本をイメージしてもられば良いかと思います。典型的なのは沖縄ですかね。

綺麗な海で泳ぎたい!

「夏型観光地」はピッタリの場所ですので、夏休みやお盆のシーズンは人が殺到します。逆にいうと、冬場はあまり人が訪れない、という特徴があります。

対象的に、「冬型観光地」は、冬場にスキー場などで人気が高まる場所のことです。

今回は以下のように定義します。

  • 夏型観光地・・・「海のレジャー」を強みとする西日本の観光地(今回は五島列島が対象)
  • 冬型観光地・・・「雪のレジャー」を強みとする日本の観光地

まず、五島市の観光客数推移(平成27年度)を見ながら、その特徴を見ていきましょう。

五島市の年間観光客数推移

はい。

夏場に強く、冬場に弱いことが一目瞭然ですね。年間を通じて大きな変動があるのが8月だけ、というのが特長です。(特に8月は、年間平均と比較して2.3倍もの観光客数となっています)

1月〜2月は閑散期となっていますが、年間平均と比較すると0.6倍程度です。

「有名な観光地」はどうなのか?

まずは日本で一番有名なニセコ(平成27年度)からみていきましょう。(数自体は比較にならないので、あくまで「傾向」にご注目)

ニセコの年間観光客数推移

注目すべきなのは、波の頂点となる「繁忙期」が冬場だけではなく、夏場にも訪れるという部分でしょう。

夏休みも冬休みも、人がたくさん入る、ということですね。

一方、11月は年間平均観光客の半分を下回るような、「底」の状態となっています。

波のピークが高い分、落差が著しい月があるということですね。

この傾向がより顕著なのが、白馬(平成27年度)です。

こちらをご覧ください。

白馬村の年間観光客数推移

白馬は夏場のピークが五島市と同じく、年間平均と比べると2倍以上です。

そして冬もガッツリと人が訪れてます。

しかし繁忙期が終わった後の減少数はニセコ以上に顕著であり、しかもその期間が比較的長い、というのが特長です。

言葉の説明をしておきますと、

  • 繁忙期・・・観光客数が年間平均を上回る月
  • 底・・・客数が年間平均の半分以下に落ち込む月
  • 閑散期・・・半分以下ではないが、比較的少ない月

となっています。

ニセコ、白馬は冬だけではなく夏も(避暑地として)人気が高いことから、「冬型観光地」というよりは、「二毛作型観光地」と言えるでしょう。

ポートフォリオを比較すると、鮮明にそれがわかります。

ニセコと白馬は、夏場&冬場だけで年間の7割以上の人が集まっているのに対して、五島は冬が圧倒的に力不足ですね。

結論

いかがでしょうか。3つの観光地を比較すると、

  • 「夏型観光地」の五島列島は、冬場の観光客数が少ない。
  • 有名どころの観光地は、夏と冬を合わせた「二毛作型」。
  • 「二毛作型」の観光地は、年間を通じた客数の落差が大きい。(特に白馬が顕著)

と言えることから、五島市は今後、

「夏型観光地」から「二毛作(あるいはそれ以上)」の観光地化

に向けて戦略を立てるのが良いのではないでしょうか。

これは雪という観光資源に乏しく、これと言って「わざわざ寒い時に行く」魅力に乏しいと言える、西日本全体に共通するテーマかもしれません。

参考資料