ホノルルマラソンに出た話 その1

2013年12月8日ホノルルマラソン

朝、予定通り3時に目を覚まし、おにぎりを食べてシャワーを浴びる。布団の上で入念にストレッチをしながら心を奮い立たせる音楽に耳を傾ける。約半年に渡って準備してきた成果を発揮する日である。

仕事が終わってからも2時間集中して走った多摩川を思い出すと、「やってやる」という気持ちになる。

戦で手柄を狙う武将のような気持ちである。会場に行ってみて、人の多さに圧倒される。

まさかのアクシデント

前日までにゼッケンをもらうべきであると、朝になって気がついた。

私と一緒に行った会社の同期は、それでも一応交渉をしてみることにした。回答は一点張りであった。

「当日にゼッケンはお渡しできません」

無慈悲に告げられて、大分テンションが下がった。ICチップを内蔵したゼッケンがないと、タイム計測ができないのである。

しかし一応、参加すること自体は自由であると知り、一安心する。スタート地点も非常な混み具合だったので、見込み3時間~4時間の人たちが集まるところに身を置き、出発の号砲を待つ。

お祭りスタート

スタート前には花火が打ち上げられたりと、お祭り気分を味わいながら、我々は至極ゆっくりとスタートを切る。最初のうちは、群衆のペースに身を任せる形となり、ほぼ1キロ6分くらいののんびりとしたペースで走る。

私は最後に踏ん張る”足”を残しておきたかったので、最初はゆっくりでいいだろうという算段である。飛ばしすぎて最後に力尽きるのが、一番残念な恰好である。

走っているというよりは、景色を楽しむ電車に乗っているような気持ちである。全然つらいということはないし、いい意味でリラックスしながら沿道の人たちに見送られている感じがする。

沿道の人たちも、朝早くからランナーを応援してくれていて、タッチをしたり手を振ったりするのが楽しい。

10キロ経過

手元の時計ではおよそ1時間が経過していた。大分体もあったまってきた感じだが、このままのペースではあまりにも遅すぎる。少しずつペースを上げようと思い、スイスイと群衆をかき分ける。

1キロ以上にも及ぶ上り坂が若干辛かったが、それを超えてからは少し楽になった。私は他のランナーを脇目に、少しずつ順位を上げていく。海岸はまだ暗くて、日の出までは時間がかかりそうである。

カーブを抜けてハイウェイに出ると、長い直線が続き、折り返してきたトップの黒人選手とは、どれほどの差があるのかなと思った。私は戒めの言葉として自信に語りかける。

ハーフを過ぎてからが本当の勝負

とはいえ直線が長いので、なかなか走る心を維持するのがしんどいのも事実。沿道の人からエナジーチューブや柑橘類を恵んでもらい、栄養補給の糧とする。

半分を超えて

ようやく日も出てきた。手元の時計では1時間50分程度だった気がするが、正確な数字は計測されていない。半分を過ぎると疲れが出始めてきて、自分を叱咤する声も

「あと何キロだぞ」

という激励になってくる。決して飛ばし始めたというのでもないけれど、25キロを超えたあたりから結構苦しくなってくる。終盤戦へ体力を残すには少しペースを落とすしかないが、私は30キロ付近で急にお腹が痛くなる。

ここでぶちまけたら一貫の終わりだ

その危機感を抱き、どこか立ち寄れる場所はないかと周囲を探す。数キロ走ると簡易便所があったので入り、便器にまたがる。そこで太ももが

ビキビキッ

と、絶望的な悲鳴を上げた。