バラモンキングはどうあるべきか/大会存続のために「改善委員会」の設置を

6月の五島市議会一般質問で、五島長崎国際トライアスロン大会、通称「バラモンキング」の今後の開催方針について、市長の見解を問いました。

私自身、今年も選手として大会に出場しました。大会を支えてくださったボランティアスタッフの皆様、医療関係者、審判員、関係団体、沿道で応援してくださった市民の皆様には、改めて心から感謝申し上げます。

一方で、議会での答弁を聞く中で、私は強い違和感を覚えました。市長は「大会をするかどうかは、市長ではなく大会実行委員会の会長が決める」という趣旨の答弁を繰り返しました。

もちろん、形式上の意思決定機関が大会実行委員会であることは理解できます。しかし、五島市が毎年多額の予算を支出し、地域全体を巻き込む大きな大会である以上、市長にはもっと主体的に、大会の将来像を語ってほしかったというのが率直な思いです。

そこで今回は、バラモンキングが今後どうあるべきか、私なりの考えを整理して紹介します。

なお、6月一般質問のやり取りについては、以下の記事に議事メモとして整理しています。

2026年6月五島市議会メモ 中西大輔 議員

私の基本的な考え

結論から言えば、私はバラモンキングを可能な限り存続させたいと考えています。

トライアスロン大会は、五島市の自然、海、山、食、そして人の温かさを全国に発信できる貴重な機会です。選手として五島を訪れた方が、その後も何度も五島に足を運んでくださることもあります。単なる一日限りのスポーツイベントではなく、五島との継続的な関係人口を生み出す大切な入口にもなっています。

しかし同時に、現状の大会運営には課題が多いことも事実です。

「続けるべきか、やめるべきか」という単純な二択ではなく、どうすれば持続可能な大会にできるのか。そこを正面から議論する必要があります。

大会の課題

バラモンキングは魅力ある大会である一方、現在の運営には次のような課題があると感じています。

  • ボランティアスタッフの負担が大きい
  • 医療関係者や審判員の負担も大きい
  • 地元飲食店への経済波及効果が十分に見えにくい
  • 大会に直接関係しない市民にとって、恩恵が少ないと感じられている
  • 市の予算負担が毎年大きい

特に、ボランティアスタッフの負担は大きな論点です。大会当日は3000人もの市民の協力によって運営が成り立っています。選手にとっては感動的な大会であっても、支える側の負担が過大であれば、長期的な継続は難しくなります。

また、医療関係者や審判員の確保も重要です。トライアスロンはスイム、バイク、ランを長時間にわたって行う競技であり、安全管理には高い専門性と多くの人員が必要です。

さらに、経済効果についても丁寧な検証が必要です。宿泊業や観光関連事業者には一定の効果がある一方で、地元の飲食店や大会に関係しない市民にとって、どれだけ恩恵があるのかは見えにくい面があります。

市の運営補助金として1,730万円が計上されている以上、市民に対して「なぜこの大会を続けるのか」「どのような効果があるのか」を説明できる状態にしておく必要があります。

大会の魅力

一方で、バラモンキングには他の大会にはない大きな魅力があります。

  • アスリートの関係人口創出に寄与している
  • 宿泊業、交通、観光関連事業者に一定の経済効果がある
  • 毎年6月のイベントとして、五島市の知名度向上に貢献している
  • 全国のトライアスリートにとって、五島を知るきっかけになっている
  • 島全体で選手を迎える温かさが、大会の大きな価値になっている

五島の海を泳ぎ、島を自転車で走り、沿道の応援を受けながらフルマラソンを走る。この体験は、参加した選手にとって強く記憶に残ります。

私自身も選手として参加する中で、五島の自然の素晴らしさ、沿道の応援の温かさ、そして島全体で大会を支える力を何度も感じてきました。

だからこそ、私はこの大会を簡単に手放すべきではないと考えています。

必要なのは「改善委員会」の設置

私が提案したいのは、バラモンキングの今後を検討するための「改善委員会」を立ち上げることです。

現在の課題を曖昧なままにせず、関係者の声を集め、構造的に整理し、改善策を具体化する場が必要です。

大会を存続させたい人も、負担が大きいと感じている人も、経済効果に疑問を持っている人も、それぞれの立場から意見を出し合うことが重要です。

そのうえで、単に「従来どおり続ける」のではなく、より持続可能で、より魅力的な大会へと進化させる必要があります。

具体的な手順

改善委員会では、次のような手順で議論を進めるべきだと考えます。

  1. 改善委員会を立ち上げる
  2. ボランティアスタッフ、医療関係者、審判員、宿泊事業者、飲食店、交通事業者、選手、市民など、幅広い関係者にアンケートを実施する
  3. アンケート結果を集計し、課題を見える化する
  4. 負担が大きい部分、経済効果が届いていない部分、市民理解が不足している部分を構造的に把握する
  5. 大会規模、コース、開催方式、ボランティア体制、経済波及策などについて改善案を検討する
  6. 全国のトライアスロン大会やスポーツイベントの事例を参考にしながら、五島らしい大会の魅力向上プランを作成する
  7. 改善方針を市民に分かりやすく公表する

特に重要なのは、関係者アンケートです。

選手がなぜ参加するのか、あるいはなぜ参加をためらうのか。ボランティアスタッフはどこに負担を感じているのか。宿泊業や飲食店にはどのような効果があるのか。大会に関係しない市民はどう感じているのか。

こうした声を集めなければ、本当の課題は見えてきません。

「存続ありき」でも「中止ありき」でもない議論を

大切なのは、「大会を続けるべきだ」という結論ありきで進めることでも、「負担が大きいから中止すべきだ」と決めつけることでもありません。

必要なのは、事実に基づく議論です。

どの部分に負担が集中しているのか。どの部分に経済効果があるのか。市民にとってどのような価値があるのか。予算に見合う効果があるのか。改善すれば継続可能なのか。

こうした点を一つ一つ検証したうえで、五島市としての判断を行うべきです。

市長には主体的なメッセージを求めたい

大会実行委員会が意思決定機関であることは理解できます。

しかし、バラモンキングは五島市にとって大きな意味を持つ大会です。市の予算も投入され、多くの市民が関わり、五島の知名度向上にもつながっています。

だからこそ、市長には「実行委員会が決める」という説明にとどまらず、五島市としてこの大会をどう位置づけるのか、どのような大会にしていきたいのか、主体的なメッセージを発信してほしいと感じます。

市長の思いが見えなければ、市民も関係者も、今後の方向性に不安を抱いたままになってしまいます。

まとめ

バラモンキングは、五島市にとって大きな可能性を持つ大会です。

アスリートの関係人口創出、観光関連事業者への経済効果、五島の知名度向上という点で、今後も大切にすべき価値があります。

一方で、ボランティアスタッフ、医療関係者、審判員、市民、事業者に負担や不満があるならば、それを放置したまま継続することはできません。

だからこそ、私は「改善委員会」を立ち上げ、幅広い関係者の声を集め、課題を整理し、持続可能で魅力ある大会へと進化させるべきだと考えます。

バラモンキングを守るために必要なのは、現状維持ではありません。

課題を直視し、改善し、五島らしい魅力をさらに高めることです。

大会を支える人、参加する人、応援する人、そして五島に暮らす市民にとって、より良い大会となるよう、今後も議会の場で提案を続けていきます。