五島市総務水道委員会管内視察を終えて

7月30日に、総務水道委員会のメンバーで管内視察に行きました。

管内視察とは、市内の所管施設を実際に見に行き質問や提言を行う議会活動の一つです。

今回は

  • 福江衛生センター
  • 中央公園体育館
  • 五島市消防本部
  • 旧岐宿ごみ処理施設(解体予定)

を視察しました。

汚泥肥料の有効活用を

福江衛生センターについては、過去にも委員会で視察しています。

福江衛生センター

  • 住所:五島市野々切町2308番地1

  • 供用開始:昭和56年4月

  • 処理能力:118kℓ/日

  • 処理方式:標準脱窒密蓋方式

  • 管理方式:直営一部業務委託(職員4名、受託業者職員2名)


【施設の概要】

福江衛生センター(旧栄養町)が平成27年3月をもって、五島西部衛生センター(旧富江町、玉之浦町、三井楽町、岐宿町、旧崎山町)が平成28年3月をもって施設での処理を終了したため、現在は、市内唯一のし尿処理施設として稼働しています。


福江衛生センター処理実績(単位:kℓ)

年度生し尿浄化槽汚泥総処理量
4年度16,20525,52541,730
5年度15,82125,44941,270
6年度15,36925,76941,138

【令和6年度 福江衛生センター改修工事】

  • 工事期間:令和6年8月30日から令和7年3月31日

  • 契約金額:43,934,900円

  • 請負業者:株式会社 萩原組

  • 工事内容:福江衛生センター外壁改修、屋上防水改修

五島市で資源循環型社会を実現するためには?

汚泥肥料の有効活用については、現在施設を訪問した人に無償で配布されていますが、実際は作っても燃やすだけ、の場合もあるという事で、勿体ないと感じました。

汚泥肥料の無償配布自体、市民にはまだ知られていないようです。より一層の周知を行うとともに、支所や本庁でも無償配布をしてみたら良いのではないだろうか、と提言しました。

避難所物資のデジタル化

市内で最も収容力のある中央公園体育館にて、防災備蓄の保有状況や新たに導入した防災備品の確認を行いました。防災備品については、足の悪い高齢者のニーズを十分に考慮しないまま発注したベッドが多数あり、これまた十分に事前検討しなかった点が勿体ないと感じました。

上記のベッドは、高齢者にとって移動が困難であるため、長崎県の方で高さのあるベッドを注文してくれているという事でした。

そして更に勿体ないと感じたのは、備蓄している食事です。

市内には沢山の食料備蓄がありますが、中には賞味期限を超えてしまっている備品も少なくありませんでした。

担当課の方からの説明で「今年度に棚卸をする」という話がありましたが、そもそもの問題として、各避難施設の防災備品の情報がクラウド上に一元管理されていないため、賞味期限が近い食品から順番にローリングストックして消化する、というサイクルが確立されていませんでした。

防災DX、それよりも更に手前の情報管理が出来ていない点が問題と感じました。こうした当たり前の事をしっかりと行う事が、防災力の強化に繋がるようにも感じました。

消防本部にて

緊急時の初動対応の在り方や、中央指令室での応答現場を視察させて頂きました。

ふと目にしたモニター用のPCでサポートが切れたブラウザ(InternetExploler)が使用されており、こうした点についても更新していく必要がありそうだな、と感じました。

そして119番の応答をされるオペレーターの方が、要請者からの情報を手書きでメモを取っている事が気になりました。民間では大手を中心に機械的な自動応答が多く辟易する事が多いですが、そう遠くない未来に24時間AIが応答可能になるのだろうと感じます。

現状、人命に関わる大事な発信に対しては、人間が間違いのないように対応する方が良いと感じましたが、情報は手書きではなくPCで入力した方が情報伝達は早く、確実だろうと感じました。リアルタイムで録音・解析あたりから始めるのが良いと感じます。

岐宿ごみ処理施設

旧岐宿ごみ処理施設

  • 住所:五島市岐宿町楠原630番地1

  • 供用開始:平成2年4月

  • 処理能力:6t/日(6t/8h×1炉)

  • 処理方式:機械化バッチ式燃焼ストーカ炉

  • 管理方式:直営

  • 建設費:292,710,550円
     ※廃棄物処理施設整備費国庫補助金 69,633,000円活用

  • 運営費:不明(稼働時期:平成2年4月~平成12年3月休止)


【施設の概要】

平成2年4月より供用開始。平成12年1月15日に施行されたダイオキシン類対策特別措置法の適合基準に合わなくなることから工事が困難となることにより平成12年3月に施設の休止。平成26年12月に廃止している。(同岐宿のごみは三井楽清掃センターに搬入)

令和6年度に施設解体に伴う事前調査等業務を実施しており、令和7年度から令和9年度まで約18か月の予定で解体工事を実施する予定です。


【旧岐宿ごみ処理施設解体工事に係る経費】(単位:円)

年度事前調査等業務解体工事解体工事監理業務合計
令和6年度14,727,90014,727,900
令和7年度8,426,000495,0008,921,000
令和8年度252,757,00014,850,000267,607,000
令和9年度19,658,0001,600,00021,258,000
合計14,727,900280,841,00016,945,000312,068,900

【令和6年度 旧岐宿ごみ処理施設解体に伴う事前調査等業務】

  • 委託期間:令和6年7月1日から令和7年3月31日

  • 契約金額:14,727,900円

  • 請負業者:日本エヌ設計株式会社 長崎事務所

  • 業務内容:施設解体に係る事前調査、解体工事の設計資料の作成

平成2年3月に竣工された設備ですが、わずか10年でその役目を終えたとの説明がありました。当時はまだ五島市に合併しておらず、各市町が主体となってゴミ処理を担っていました。その後の合併を待たずして役割を終えた理由は、ダイオキシンに関する環境規制が厳しくなり、要件を満たせなくなったからだという説明でした。

こうした施設は五島市内の各地に存在し、今後はこうした大型の「負の遺産」を計画的に解体しなければいけません。そのための基金も独自に設置しているという事でしたが、市内に存在する全ての施設を解体するとなると、財源が足りるのかどうか心配です。

そして感じた事は、次の世代に対して、いかに負の遺産を減らすか、という事です。

人口減少社会ですので、これから大きなハコモノは沢山作られる予定はありませんが、大きな投資に対しては長期的な視点に立って検討しないと、将来にツケが残るという事を再認識しました。

まとめ

今回の管内視察の所管を一言でまとめると、「勿体ない」という言葉に尽きます。

  • 汚泥肥料がゴミとして焼却処分されている現状
  • 防災食糧が期限切れで廃棄されている現状
  • 大型のハコモノが10年足らずで負の遺産になってしまっている現状

こうした現状を目の当たりにして、議員としてより一層、資源やお金の有効活用について提言していく必要があると感じました。