デジタル田園都市国家構想推進交付金を削除した修正提案を予算委員会でしました。
結果は起立少数(5名)で修正案が否決されました。
以下、内容です。
当初予算に対する反対理由を述べさせていだたきます。今回の予算に反対する理由は、支所・本庁間遠隔窓口設置事業、992万6千円の予算を削るためです。
本事業は、各支所にテレビ会議システムを活用したデジタル窓口を設置し、支所窓口で即時の対応が困難な手続・相談に訪れた市民に本庁職員がオンラインで対応する環境を構築することで、住民の利便性向上や業務の効率化を図るものです。
なぜこの予算を削るのか。その理由は「費用対効果の検証が不十分」だからです。言い換えると、わざわざ1千万円近くの予算を投じなくても、課題の解消が十分に可能だと考えられるという事です。主な理由を4点述べさせて頂きます。
① 代替手段について
今回は5つの支所にシステムを導入するという事でしたので、岐宿・三井楽・玉之浦・冨江の支所を回り、現地調査を致しました。確かに支所の窓口業務は年金・介護・医療・納税など幅広いものであり、対応する職員の人数も少ないため、稀に発生する難しい問い合わせが来た時、気軽に本庁に繋ぐことが出来れば、便利であるという声を聴きました。しかしながら、その解決手段として、必ずしも今回のような高額なシステムやサーバーを導入する必要はなく、寧ろ既に導入実績がある既存ツールを活用する事で、解決可能であると考えられます。
例えばオンライン会議でよく使われる有料版Zoomの活用する方法があります。千葉県市川市では、自宅のPCからZoomを使って移住・定住相談、市民生活相談、健康相談ができるという事です。今回の導入では相談業務だけでなく申請業務も含まれるとの事でしたが、今現在でも対応はできている。知識共有ツールを活用することもできる。チャットボットの活用も進んでいる。
② 支所の業務負担
窓口業務の負担軽減という観点から見た時、大事な点はどのようなシステムを導入するかではなく、いかに窓口業務のピーク時の負荷を分散させるか、という点であると考えます。例えば令和3年度の決算報告書によれば、冨江支所への戸籍関係の証明書の問合せ件数1173件であり、玉之浦は167件と、約7倍の開きがあります。そのため、住民の利便性を向上させるためには、支所に一律で同じシステムを導入する方法ではなく、支所の窓口対応の強化や業務負荷の分散など、別のアプローチが必要であるようと考えています。
➂ 保守・運用の観点
システム管理の観点で、私は五島市において、今回の案件で自前のサーバーやネットワークを構築する、いわゆるオンプレミスの形態が適しているとは考えていません。セキュリティレベルを常に最新の状態に保っておくためには、適切な運用が出来る知見を備えた人材の配置が必要です。サーバーダウンやネットワーク障害が発生した場合に備え、高度な技術と知識を有する人材を常時確保しておかねばなりません。こうした事から、私は五島市において、導入するのであれば極力クラウド型のサービスを利用する運用にすべきと考えます。
④ 維持管理費の検討
そしてこれが最も致命的な事ですが、モバイルクリニックと同様に、今回もデジタル田園都市国家構想交付金により導入経費の半分が国から補填される事業ではありますが、その必要性や代替手段の検討が不十分なまま、安易に導入する事や避けるべきと考えます。なぜならば、モバイルクリニックの時もそうでしたが、維持管理の費用は自治体の負担となり、それが利用実績に関わらず、経常的な財政負担となるからです。
私はDXの推進にはむしろ積極的な立場ですが、ただ単に新しい製品を導入すれば良い訳ではないと考えます。本当に解決したい課題は何なのか、そのために必要な手段はどうあるべききか。初期費用だけでなく、維持費や導入後の利用見込みも考慮しながら正確なデータに基づき意思決定をすべきと考えます。
以上の理由から今回は、修正提案をさせて頂きます。