人口減少が続く小規模な自治体にとって、死活的な問題は「自主財源が乏しい事」です。
本日は、自主財源を増やすための方法をご紹介します。
① 税財源の拡充強化
これは国と地方における税金の配分割合を調整するモノです。
国から地方への税源移譲(三位一体の改革)がその代表です。
これを更に強化する場合、国に対する働きかけと、地方間での連携が必要となるため、実現のハードルは高そうです。
② 市税
市税の主な内訳は以下の通りです。
- 市民税
- 固定資産税
- 軽自動車税
- 市たばこ税
- 鉱産税
- 入島税
- 宿泊税
- 都市計画税
更に具体的な方法を紹介します。
例えば五島市では、財源が不足しているから給食費の無償化は無理!という声を聞きますが、
宿泊税を導入して観光客1名から100円を徴収するだけで、年間20万人の観光客が来れば2000万円の財源を生むことが可能です。
税源を増やす
働く人が増えたり、地方法人税を納める企業が増えれば、税収は増えます。
ただし、本社が市町村外にある場合は、地方に税収(法人事業税、法人住民税)は入ってきません。
本社機能を移転する事により、税源も移譲される事になります。
五島市を含む国境離島地域では「雇用拡充支援事業」の中で、仕事の場を増やそうとしています。
税率を高める
税率を高める事で徴収額は増えますが、
市民への増税となるので、自治体としては避けたいところです。
(たばこ税は近年、値上げされています)
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/d09.htm
収納率を高める
市税を適切に徴収する事は、公平な税の在り方から考えれば当然ですので、収納率を向上させる事が大切です。
五島市では、公平な負担による収納率を高めるために債権管理条例が施行されました。
https://www.city.goto.nagasaki.jp/s011/020/080/040/20221227.html
➂ 市税以外
市税以外の税源としては、以下の税源があります。
- 分担金及び負担金
- 使用料及び手数料
- 財産収入
- 寄付金(ふるさと納税等)
- 繰入金(他の会計から)
- 繰越金(余ったお金)
- 諸収入
この中で、自治体として実効性の高い項目を紹介します。
ふるさと納税
近年ふるさと納税による自主財源獲得はどの自治体にとっても検討すべきテーマです。
しかしこれは人口減少対策と同様に、「限られたパイの奪い合い」になりがちです。
そのため、過度な返礼品競争が問題視され、総務省も改善の指示を出していました。
私が住む五島市では、「朝ドラ効果」もあり、ふるさと納税が倍以上になりました。
https://nordot.app/990792029834461184
今後はこのブームを一過性で終わらせず、高い水準を維持する事が求められます。
五島市では、
返礼品とドラマでの知名度向上の相乗効果と考えており、さらに(返礼品の)魅力を高めるよう努めたい
と紹介されています。
財産収入(土地や建物の貸付・売却)
土地や建物という資産を活用する事で、税収を増やす事が出来ます。
五島市では保有資産(公共施設)を計画的に管理するための計画を立てています。
https://www.city.goto.nagasaki.jp/s011/020/010/010/010/zenpage.pdf
現状ではまだまだ多くの遊休資産が存在するので、より積極的に活用方法を模索する必要があると感じます。
ネーミングライツ
市の所有する施設などに会社名やブランド名を付与する権利(命名権:ネーミングライツ)を販売することにより、新たな自主財源が確保できます。
野球場の〇〇スタジアムが典型的です。
離島の石垣市でも、空港に導入して年間1千万近くの税収をあげています。
https://www.city.ishigaki.okinawa.jp/soshiki/kowan/yugurenaisigakikouritoutaminaru/368.html
広告収入
市のホームページ上のバナー広告や封筒、印刷物等への広告などを募り、広告収入を確保できます。
どこの自治体でも少なからず取り組みがある項目です。
まとめ
国を巻き込んだ税制改革としては「税財源の拡充」がありますが、自治体独自で出来る取り組みとして
- 市税を増やす(主に企業誘致)
- 市税外の収入(主に自治体資源の販売)
がスタンダードな方法です。
しかし、日本は人口減少しており土地の広さにも限りがあるため、地方全体で同時に税収を高める事は難しく、奪い合いの構図になりがちです。
税源の新規開拓や交流拡大を求め、仮想空間(メタバースやNFT)に進出する自治体が現れ始めています。
https://coincheck.com/ja/article/516#i6-1-9
この動きも今後は加速すると考えられます。
他にも有効な方法がありましたら、教えてください。