離島振興法の課題と改正のポイントを分かりやすく解説

離島振興法とは?

離島振興法は、1953年(昭和28年)に議員立法により制定されました。

法制定当時の離島は、本土との隔絶性に起因する生活環境等の後進性が問題となっていました。

離島振興法の仕組みや改正への動きを分かりやすく解説!

今でもまだ、本土と離島には様々な差がありますが、こうしたあらゆる差を埋めるための法律です。

離島を有する地方公共団体等では、これらの後進性の排除や島民生活の向上等を目的とした法律の制定に対する要望が高まり、離島振興法の制定が実現しました。

この法律は、10年間の限時法として制定され、以降10年ごとに議員立法により改正されてきました。

現在の離島振興法は、平成24年6月27日に公布、一部施行され、平成25年4月1日に全面施行されたものです。

今までの経緯は?

離島振興法は、これまでに5回改正されています。その変遷を振り返ってみます。

第一次離島振興法の延長(1963年~)

離島振興法は10年間の時限立法として発足しましたが,10年間の短期間では離島の後進性は除去できなかったとされています。

日本は高度経済成長期でしたので、都市部と離島の格差は逆に高まる傾向だったと考えられます。

それに加え、多くの離島はその恩恵に浴する期間も短い上,指定基準の改正による離島の一部地域指定の検討もなされているなどの課題もありました。

このため,昭和37年度の期限切れ到来を前に,法律の恒久化や政府提案等の議論もなされたましたが,

結局議員提案として,10年間の期限延長のみを記した法案となりました。

第二次離島振興法の延長(1973年~)

第2回目の法律延長にあたっては,産業振興を軸として,生活環境の整備,自然環境の保全,離島医療の確保などが特にとられるべきであるとの主張がなされました。

「医療の確保」の明文化に加え,水道,ごみ・し尿処理施設,港湾・漁港・海岸の局部改良事業の補助率引き上げ並びに港湾・漁港・空港の一部事業の補助率引き下げを主な内容としています。こうした事を受け

①離島の医療確保について国及び県の責任を明示

②補助率の嵩上げを対象とする事業の追加

を盛り込む改正がされました。

第三次離島振興法の延長(1983年~)

離島振興法は二度に渡り延長されましたが、昭和56年の第2次臨時行政調査会答申において,

「終期到来時には廃止を含め抜本的な見直しを行う」

と目された法律の一つだったそうです。

そうした中にあって、行財政改革中という厳しい環境のなか,10年間の単純延長の法律が昭和57年4月28日に成立し,同年5月7日公布されました。

第四次離島振興法の延長(1993年~)

従来の法律の内容は,交通基盤,産業基盤,生活環境,国土保全等の整備を強力に推進することが中心でした。

このため,各種公共施設の整備は著しく進みましたが,若者を中心とした人口流出による過疎化や高齢化の進行に加え,所得水準や生活環境も全国水準に比し,低位にあるなど離島は極めて憂慮すべき事態となりました。

そうした事を受け、従来からのハード事業の強力な整備の継続とともに,産業の税制上の支援措置,本土との交通確保,高齢者福祉の増進,医療の確保などソフト面の対策も強く求められました

改正内容として

①法の目的に離島の国民的役割を明示

②通信体系、教育の充実、交通確保の特段の配慮。

③税制上の優遇並びに地方税の課税免除等に伴う交付税措置の規定を創設。

などが挙げられます。

第五次離島振興法の延長(2003年~)

これまでの法律の内容は,「国土の均衡ある発展」という観点から,「後進性の除去」を振興の目的としましたが、5回目の改正では、

  • 離島の地理的・自然的特性を生かした振興
  • 地域の創意工夫による自立的発展の促進

という大きな振興の方向性が示されました。

https://www.pref.kagoshima.jp/ac07/pr/shima/seika/documents/ritou-seika1-2.pdf

これを受け、

  • 医療の確保等、農林水産業の振興、地域間交流の促進等に関する規定の整備
  • 離島振興計画に基づく事業に対する国の補助を政令で定めること

が盛り込まれました。

第六次離島振興法の延長(2013年~)

第六次改正では、離島振興に対する国の責務規定などが盛り込まれ、従来のハード整備支援に加えて、各種ソフト支援施策の大幅拡充が図られることとなりました。

法律の目的条項には、

  • 「航路や航空路の高額な運賃の低廉化」
  • 「無人島の増加や人口の大幅減少の防止」
  • 「定住の促進」

などが明記されています。それに加え、

[1]目的規定への「居住する者のない離島の増加及び離島における人口の著しい減少の防止並びに離島における定住の促進」の追記
[2]様々なソフト施策等に関する配慮規定の追加
[3]ソフト施策等を総合的かつ着実に推進するための離島活性化交付金等事業計画の創設
[4]関連施策の充実を図るための主務大臣の追加

条項が盛り込まれています。

https://ci.nii.ac.jp/naid/130005489834

現状の離島振興法の課題は?

このように、10年に1度の離島振興法が改正されてきましたが、離島を取りまく環境は依然として厳しい状態です。

一言で言えば、様々な対策を講じているものの、目に見える数字が改善しない事です。

https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001408601.pdf

令和5年の離島振興法の改正は?

離島振興法改正検討会議から、「持続可能な施策の展開に向けて」の見出し部分を抜粋です。

https://www.nijinet.or.jp/Portals/0/pdf/publishing/shima/268/shima_268_01.pdf

改正離島振興法に求められるもの(総論)

  • 国家的役割、国民的役割の明確化
  • 国の責務としての離島振興の必要性
  • 離島振興の 「基本法」 としての位置づけの明確化 →10年単位の改正ではなく恒久法に
  • 国の新しい政策に応じた離島振興施策の導入

改正離島振興法に盛り込むべき事項(各論)

  • 住民、自治体が主体となる離島振興
  • 産業の基礎条件の改善

①交通・通信の確保による国土の連続性の具現化

②第一次産業の振興

③雇用機会の拡充、高付加価値化・販路拡大への支援

④観光業の振興

  • 定住環境の整備

①離島居住の不利性を除去するためのライフライン確保

②医療・保健医療サービスの確保

③介護サービス・高齢者福祉の確保

④教育の確保

⑤高度情報通信基盤の整備

⑥住宅の確保

  • 先進的な取組みの実証と住民生活への実装
  • 「関係人口」 の積極的な創出
  • 財政措置の拡充、効果的な交付金制度の設計

まとめ

従来、資本主義の枠組みの中で、離島は不利な立場に立たされ、人口流出と高齢化に歯止めが掛かりませんでした。

国は離島振興法によりハード面・ソフト面の対策で振興を図ってきましたが、未だに人口流出は止まらず、限界集落も増えています。

そして今般、離島振興法の改正・延長を巡っては、東アジアの軍事的な緊張が高まる中で、従来以上に国家的な役割の強化が見直されると考えられます。

ライフスタイルの変化、デジタル化・グリーン化の促進を踏まえると、

従来言われていた「離島の地理的ハンデ」が逆に解消される可能性が高いのではないでしょうか。