2021年2月の五島市議会選挙で当選し、約半年が経過しました。
本日は、率直な「議員の仕事に対する感想と今後の方向性」について、述べたいと思います。
少しでも政治や行政に関心がある方への参考情報になればと思います。
地方議員の仕事とは?
ググれば色々な仕事の中身や議員の権利が出てきますが、議員半年の感想を一言で表現すると
何をしても良いし、何もしなくても良い
が最も適切だと感じます。
これは仕事の働きに関係なく報酬が固定されている報酬制度に起因します。
議員は定例議会への出席が求められますが、それ以外の活動に関しては明確な規定がないため、
制限されずに自由な活動や提案ができる
点がメリットです。しかし悪く言えば
頑張るモチベーションが働かない
点もあります。
制度設計には一長一短がありますが、全体としてみた時、私はこれが悪い方向性に働いているように感じています。
そのため、市民からの評価を報酬体系に反映させるなど、議員が頑張らざるを得ない仕組みが必要ではないかとも思います。
地方議員の役割
これも私なりに、あえて一言で表現すると
執行部(行政)に対する「いざ」という時のブレーキ
だと思います。
多くの地方議会では、議会がブレーキとして働く機能するケースは少ないと感じています。
これも良く言えば、
行政の予算や条例がスムーズに執行される
というメリットがある一方で、
議会としてのブレーキ機能が果たせていない
というデメリットもあります。これは構造的に、行政サイド(首長側)と距離が近い議員が多数派に属している事が原因です。
ブレーキが機能する条件は「議会の過半数側にいる事」ですので、少数派の場合は議会としての機能を果たせません。
議員の大きな仕事~議会への出席~
多くの市民の方から、
議員の仕事は大変でしょ?
と言われることが多いですが、前述のとおり、決してそんなことはありません。
もちろん、頑張り次第では幾らでも大変になる事も出来ます。
そんな中、議員に求められる唯一の大仕事は「議会への出席」です。
議会には「定例議会」と「通年議会」の2種類がありますが、多くの議会は定例議会(年に4回)を採用しています。
それとて、1か月丸々拘束されるわけではなく、実質的な議論は7日~10日程度で終わります。
そんな議会をあえて批判的に表現すると、
中身よりも形式にこだわる儀式
だと感じます。形式に関しては様々な規則やルールがあり、冠婚葬祭的な雰囲気すら漂います。
その一方で、肝心の中身はというと、あまり白熱した議論やディベートはないように感じます。
むしろ高校生や大学生の授業の方が、真っ当で本質的な議論をしているのではないかとも思います。
もちろん、過去には議会や市民の間で意見が真っ向から対立する論争がありました。
(私が就任してからの半年は、そうした論争になるテーマがないだけかもしれません)
ただ、やはり「参加する事に意義がある」という感じが強く
会議自体が3分で終わってしまうケース
もあります。
議員の花舞台~一般質問~
議会の機能としては多数派でなければ実力を行使できない議員ですが、1議員として一番の見せ場が「一般質問」です。
与えられた時間の中で、行政の本音に対する質問や指摘・追及をする事が出来ます。
議員になる前は、
そんな質問をしてどーするの??
と思いながら一般質問を見る事が多かったですが、今はまさに同じ質問を、日々自問自答しながら過ごしています。
こうした中で、私なりに見つけた一つの答えが、
なんのための質問なのか?を議員が明確に意識する事が大事
という事です。
3月は、「若い人に議会への関心を持っていただく事」を目的に選定しました。
6月は、「台風と大雨のシーズンを前に、市民・行政への注意喚起」として質問を選定しました。
そして9月は、「市政の方向性について、市長と討論する事」をテーマに質問を考えています。
質問をする目的は人それぞれですが、個人的には質問のレベルを1mmでも高める事が議員の仕事だと思います。
委員会はブラックボックス
五島市議会では、本会議の様子がケーブルテレビとインターネットで放送されています。
しかしながら、委員会の中継は行われておらず、ここでの議論の中身はブラックボックスです。
先進的な自治体では、委員会も含めて情報発信をしていますが、残念ながら五島市ではまだ公開されていません。
そこで私は、委員会を公開する方向性で検証を試み、提案の準備をしています。
委員会を公開する事により、若い人が政治に関して興味を持つきっかけになればと思っています。
議員になって起きた変化
私の身の回りで起きた変化としては
- 知名度が上がり、声をかけられることが増えた
- 市民から要望を受ける事や、頼られることが増えた
- 対外的な信頼度が上がった
- 公人として、下手な言動がしづらくなった
といったことです。これらは全てプラスの側面ですが、マイナスの側面としては、「4」への息苦しさがあるかもしれません。
なぜ世代交代が起こりづらいのか
私の住む五島市もそうですが、農業や漁業を中心とする様々な分野で大きな世代交代が起きていません。
政治の分野も同じであり、「議員のなり手不足」が叫ばれています。
世代交代が起きない原因は両者にあり、高齢者の側とすれば
席を譲ろうとしない
事が大きな原因です。一方で、若者の側にも問題があり、
高齢者が居座る席をわざわざ獲りに行こうとしない(できない)
面もあります。
これは日本の伝統的な価値観や、教育にも原因があると感じます。
それに加え、前述の通り「仕事量に関係なく」安定した報酬が保障されるため、
一度なってしまえば、美味しい仕事
であるとも言えます。
ただ、同じ長崎県内では、この風潮も少しずつ変わる傾向にあり、2021年には
- 五島市:32歳議員当選
- 新上五島町:27歳、34歳議員の当選
- 西海市:32歳議員当選
- 壱岐市:37歳議員当選
と、少しずつ若い議員が誕生しています。
現在取り組んでいる事
議員の仕事は
何をしても良い、何もしなくても良い
自由度の高さが特徴です。
私は1期目の新人議員として、出来る限り新しい風を吹かせようと活動をしています。
【定期的】
・会派による課題研究会(周1)
・会派による議会報告会(月1)
・clubhouseでの政策研究会(週1)
【個別的】
・委員会の中継に向けた提案
・本会議、委員会のオンライン開催の提案
・一般質問に向けた情報収集
・お困り事調査(1軒1軒回る)
まとめ
私は今の日本社会を見た時に、
「変わった方が全体がうまく回りそうな領域」
として、政治があると感じています。そのため、
情報発信を通じて政治に関心を持つ若者を増やしたい
と思っています。
闇雲に世代間の対立を煽りたい訳でもありませんが、
同じ思いに共感してくれる人が1人でも居れば嬉しく思います。
最後まで記事を読んで頂き、ありがとうございました。