自治体DX推進計画における6つの論点

本日のテーマはこちらです。

自治体デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進計画

https://www.soumu.go.jp/main_content/000726905.pdf

これが果たして無事に進むのか、元SEの市議会議員として、気になる点を列挙してみました。

私の考えるDX

DXは目的ではなく手段

  • 今までの資料をタブレットに変えました!
  • 今まで保管していた文書をクラウドに移しました!

これらは一見するとDXっぽいですが、本質ではありません。

DXは便利なツールを導入する事が目的ではなく、仕事の在り方を抜本的に変える手段です。

そのため、総務省の示す文書は一つですが、

自治体DXの答えは千差万別であるというのが私の見解です。

私の考える自治体DXとは、

住民の課題解決のサポーターになる行政職員を増やす事

です。

DXで何が変わるか?

勿論すべてではありませんが、多くの職員は、「役所でPCの事務作業」が殆どです。

これを180度変える手段がDXです。

具体的には、「住民のそばで課題解決のサポート」が主な仕事になります。

仕事場と目線主な仕事
DX前役所でPC事務的作業
DX後住民の課題課題解決に向けたサポート

仕事場と目線を変える手段が「テレワーク」となり、

従来の事務的作業を減らす手段が「オンライン手続き」や「BPR/AI/RPA」となります。

それを実現する下地が「セキュリティ対策」であり、「マイナンバーカードの普及」です。

例えば行政職員は、出来るだけ多くの住民がデジタル化の利便性を享受できるように、

デジタルデバイド対策として、住民の傍で課題解決を担う事が期待されます。

 

以下、具体的な論点を示していきます。

①自治体DXにおける首長の目的意識

一番大事な事は、「首長の目的意識」です。自治体DX推進計画によると、

DX の推進に当たっては、仕事の仕方、組織・人事の仕組み、組織文化・風土そのものの変革も必要となる中、首長自らがこれらの変革に強いコミットメントを持って取り組む。

と記載されています。1700ある自治体によって、首長の気持ち次第で大きな差が生まれそうです。

ビジョンの共有

DXを自治体がビジョンなしに進める事は、国から支持された「作業」を生むだけになります。

DX後にどういった地域社会になっているのか?

共有する事から始めてみましょう。もしも不明である場合は、議員を通じて質問をさせましょう。

市長一人で決められない場合は、市長に対して

DX後の地域をみんなで考える機会を作ってはどうでしょうか?

と提案するのも良いかもしれません。

②DXの推進体制の構築

「推進体制の構築=専門人材の確保」こそが、最初にして最大の山場ではないでしょうか。

1700ある自治体が、それぞれ同じゴールに向かって走り出します。

当然、システムの専門分野の職員がいる自治体とそうでない自治体があるため、

IT人材の奪い合い

が激しくなるでしょう。専門分野の知見がない場合、DXは失敗する可能性が高くなります。

【参考記事】

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00139/022200076/

➂自治体の情報システムの標準化・共通化

DXの実務面で、これが最もハードルの高い仕事のように思えます。

従来のシステムは自治体ごとにバラバラでしたが、これを国のシステムに統一します。

当然、データの移行も含めて検討すべき事は山のように存在します。

ベンダー側との調整や既存システムから移行する際の懸念点など、洗い出しが必要となります。

しっかりとプロジェクトをマネジメント出来る組織体制を確保できるかが鍵です。

④マイナンバーカードの普及

オンライン手続きの前提となるマイナンバーカードの普及は、

国としても予算措置を講じるとの事ですが、

自治体の創意工夫によりどこまで普及できるかも差が生まれそうです。

様々な自治体クーポンを付与する事により、普及が広がる可能性もありますが、

逆に行政に対する信頼が薄い自治体では、カードの普及が広がらない可能性もあります。

➄セキュリティ対策の徹底

DX推進によって、情報漏洩の影響が大きくなっては本末転倒です。

セキュリティ対策に関しては、令和2年12月に

「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」

が改定されています。これは238ページにも及ぶ膨大な資料ですが、別枠で検討する余地があります。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000726079.pdf

ガイドラインを踏まえ、各自治体が適切に情報セキュリティポリシーの見直しを行っているか、チェックが必要です。

⑥テレワーク推進

同じく計画書では

テレワークは、ICT を活用して時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方であり、職員一人ひとりのライフステージに合った多様な働き方を実現できる「働き方改革」の切り札でもある。

特にテレワーク導⼊に向けた⾸⻑の強⼒なリーダーシップ、変⾰への意欲は重要です

と記載があります。この事から、テレワークを巡っては、首長のやる気次第で

「推進が普及する自治体」と「推進が普及しない自治体」

との間に差が生まれそうです。

まとめ

DX推進で一番大事な要素は、「DX後の首長のビジョン」です。

高いビジョンを掲げる首長であれば、

  1. 専門的な人材を早期から確保しチーム編成を行い
  2. あるべき姿の実現に向けた実行計画を作成し
  3. 行政だけでなく住民も巻き込みながら変革を実現していく

でしょう。逆に、ビジョンを持たずに国からの「指示待ち」の自治体では

  1. 「検討すべき作業」の洗い出しが遅れ、人材獲得ができず
  2. 不毛な作業で現場の職員が疲弊し
  3. 小手先だけの「ツール導入」で組織改革が進まない

という形になるでしょう。

 

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