五島市では、議事録が公表されるまでに数か月かかりますので、
3月9日に市長から公表された「施政方針」をご紹介します。
以下、「見出し」以外は原文通りとなります。
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3 安全・安心で住みやすさ日本一の“しま”をつくる
【避難所等における災害対策】
激甚化する災害に備え、避難所施設の指定を見直すとともに、窓ガラス の飛散防止、備蓄品及び備蓄倉庫の整備、蓄電池の整備、トイレの洋式化 など避難所の機能強化を図ります。 また、水害対策として各所に土のうを設置するほか、防災行政無線設定 システムの改修など、防災・減災のための取組を進めてまいります。
【地域コミュニティの維持・活性化】
市内13地区のまちづくり協議会において、これまで約250もの取 組が展開されており、買い物や移動支援、高齢者の暮らしを支える活動な ど、地域独自の取組も行われております。しかし、各地域で人口減少と超 高齢化が急激に進行し、担い手不足による地域コミュニティの低下が深 刻であると実感しています。
令和3年度は、地域づくりの拠点組織として各地区のまちづくり協議 会の主体性を育み、その地区の住民にとって必要な活動が円滑に実施で きるよう支援してまいります。そのほか地域が目指すまちづくりの姿を 明確にし、担い手の減少が危惧される10年後、20年後を見据えた体制 づくりを進めてまいります。
【健康長寿のしまづくり】
健康で長生きできるしまづくりのため、特定健診、重症化予防、がん検 診に取り組んでまいります。 13 特定健診については、国保連合会や各医療機関及びマーケティング専 門の民間事業所と連携を強化し受診率の向上に努めます。 重症化予防については、健診結果から重症化する可能性が高い方に対 して、個々に応じた具体的な保健指導を行い、市民の皆様が健康を維持で きるよう努めます。
がん検診については、五島中央病院や各医療機関とさらなる検討を重 ね、胃内視鏡検診の実施など受診しやすい環境整備に努めるとともに、市 民の皆様への受診を促し、対象者の確実な受診に結びつくよう個別指導 を行います。 また、適正な服薬指導の推進及び調剤情報の活用による健康増進を図 るため、調剤情報システムへの加入者数の拡大に取り組み、健康教室、健 康相談、訪問指導等を通して、市民の皆様の健康づくりに対する意識の向 上を図ってまいります。
カネミ油症について、国は被害者の子や孫への影響を調査する「次世代 調査」を行う方針を示しました。油症発生後に生まれた次世代被害者は、 現在の認定基準に当てはまらず、油症患者の認定を受けることが困難で あることから関係者の皆様が要望していたもので、次世代を対象とした 国の調査は初めてとなります。
市としても調査に全面的に協力するとともに、引き続き、「カネミ油症 被害者に対する支援行動計画」に基づき、被害者の健康状態の把握や相談 支援体制の強化に取り組んでまいります。
国は、令和元年9月、全国の公的病院のうち再編や統合の議論が必要で あるとして424の病院名を公表しましたが、その中に富江病院が含ま れております。 富江病院などの公的病院は、コロナの感染防止対策、感染症患者の受入 れ体制の確保や感染症患者以外の医療提供体制の確保などに全力で対応 していただいております。
市としては、国に対し、公的医療機関の再編や統合については、感染症 などの危機管理体制も十分考慮しながら、地域住民の不安や医療現場の 混乱を招かぬよう慎重かつ丁寧に議論するよう求めるなど、市民の皆様 が安心して医療を受けられる体制を確保してまいりたいと考えておりま す。
地域医療の核となる診療所については、医師や看護師等の医療人材の 確保、医療機器の更新などを行い、健康で安心して暮らせる医療提供体制14 の確保に努めてまいります。 今月3日、次世代オンライン遠隔医療システムの実用化に向け、県、長 崎大学、五島中央病院及び日本マイクロソフトと連携協定を締結しまし た。
この協定に基づき、関節リウマチ患者を対象に、3D映像などの複合現 実(MR)技術を活用した国内初となる遠隔医療システムの実証実験が、 長崎大学病院と五島中央病院の間で開始されております。このシステム により患者は島にいながら専門医の診療を受けることができることにな ります。
障がい者福祉については、障害者基本法に基づく現行の「障がい者福祉 計画」が令和3年度で最終年度を迎えます。障がいのある方が住みなれた 地域で安心して生活することができるよう、これまでの取組の成果や課 題を検証し次期計画を策定します。
地域福祉の推進については、「第2期地域福祉計画」に基づき、引き続 き、地域における支え合いの福祉を推進するとともに、令和4年度から計 画期間が始まる「第3期地域福祉計画」を策定します。 今年4月から、包括的な福祉サービスを提供することを目的として、福 祉保健部の3つの課及び各支所窓口を、福祉や医療に関する相談にワン ストップで対応する「断らない窓口」とします。
併せて、長寿介護課内に 高齢、障害、児童福祉、生活困窮など複数の悩みを抱える方の相談支援を 行う「福祉の相談窓口」を設置する準備を進めております。 生涯スポーツの推進について、地方に住む人は、都市部の人と比べて歩 く機会が少ないため、運動不足になる傾向にあります。
運動不足は肥満や 生活習慣病のリスクを高めるため、その対策の一つとして五島市独自の スマートフォン用アプリを開発中であり、4月からの稼働を予定してお ります。 また、「スポレクフェスタごとう」など気軽に参加できるスポーツイベ ントやニュースポーツの出前講座の開催、各スポーツ関連団体への助成 など、スポーツに親しむ機会の増大と環境づくりに努めてまいります。
令和3年度から3か年を期間とする第8期の「五島市老人福祉計画・介 護保険事業計画」を策定しました。「高齢者が生きがいをもって充実して 暮らすことができるまちづくり」を基本理念とし、高齢者の自立支援・重15 度化防止に向けた保険者機能の強化や地域包括ケア及び地域共生社会の 体制構築などの各種施策を進めてまいります。
介護保険料については、介護報酬が0.7%引き上げられましたが、1 号被保険者が増加したことによる負担額の分散と介護給付費準備基金を 8,000万円投入し、保険料の基準月額を、現在の「6,760円」か ら100円減額となる「6,660円」に改定したいと考えております。
介護人材確保対策として、初任者研修等の受講料を補助する事業を実 施し、昨年は2名の受講でありましたが、本年度は介護職に就職を希望す る10名の受講がありました。 そのほか、本年度から、市内ケアマネジャーの資格更新時の研修に必要 な受講料や旅費などを補助する事業を開始し、15名の方に支給してお ります。これにより、今後の介護離職防止に資することを期待しておりま す。
地域ミニデイサービスについては、約240名の元気な高齢者ボラン ティアの皆様に支えられ、現在42か所で開設されております。 介護予防に大きく貢献するこの事業を継続するためにも、ボランティ アの育成及び確保に努めてまいります。
シルバー人材センターについては、高齢者が会員として活動し、積極的 に社会参加を行うことで、生きがいや介護予防につながるほか、需要が高 いワンコインサービスの利用促進により高齢者の生活支援を図るため、 なお一層の会員確保に努めてまいります。
また、介護予防の一つとして、 高齢者のスポーツ参加についても推奨し、健康寿命の延伸に努めてまい ります。 最近の特殊詐欺は、架空請求詐欺に加え、電子マネーを悪用した詐欺な ど、その手口はますます巧妙化しております。五島市おいては、昨年、架 空請求など2件、計16万4,000円の被害があり、県全体では1億円 を超える被害が報告されております。 被害防止策として、高齢者に対する自動通話録音装置の貸出事業を行 っており、令和3年度に50台を追加する予定としております。
今後も消費生活センターや関係機関及び地域の皆様と連携し、特殊詐 欺や悪質商法の被害を未然に防止できるよう、より一層啓発活動を強化 してまいります。
【インフラの整備】
市内の光情報通信網については、五島テレビにより令和3年度は主に 富江、三井楽地区の設備が更新される予定です。 また、光回線が敷設されていない奥浦、崎山、大浜、本山地区などにつ いては、同社が国の補助金を活用し、令和3年度末までに整備する予定と なっております。
これにより、市内のほぼ全域で光のインターネットサー ビスが利用できる見込みであり、通信速度が向上するなど、インターネッ ト環境が改善されます。 陸上交通については、五島市地域公共交通再編実施計画に基づき、交通 空白地域を中心に、路線バスの再編や乗合タクシーの導入を図ってまい りました。
この計画が今年9月末に期限を迎えることから、次期公共交通 計画を策定し、効率的で利便性の高い持続可能な公共交通ネットワーク の再構築に向け取り組んでまいります。
また、昨年10月から富江地区で試験運行している電話予約制乗合タ クシー「チョイソコごとう」が、会員アンケートの結果や利用実績から従 来の定時定路線型よりも利便性が高く、利用者が多いことが確認された ため、4月から本格運行したいと考えております。
また、岐宿地区におい ても試験運行を予定しており、今後は路線バスの再編を見据え、令和3年 度中に福江島内において、必要とする地域への導入拡大を図ってまいり ます。 航路・航空路については、市民生活の安定や島外からの観光・ビジネス による経済活動の推進など、地域の維持・活性化に必要不可欠な公共交通 機関として、極めて重要な役割を担っております。
コロナにより大きな影響を受けた五島自動車、九州商船及びORC(オ リエンタルエアブリッジ)への事業継続支援策について、県及び関係市と 協調して支援したいと考えております。 航路については、五島旅客船により若松―福江間を運航する「フェリー オーシャン」が新たに建造され、3月22日に就航する予定であります。 富江-黒島航路については、現在の市営交通船によるデマンド運航か ら海上タクシー利用補助に転換することで、利便性の向上と効率的な運 航を図り、市の財政負担を軽減するとともに、住民の生活に必要な移動手 段を維持してまいりたいと考えております。
黄島海運が使用している船舶「おうしま」については、平成8年3月の 就航以来24年が経過し老朽化しているため、現在、関係者等で新船建造 に向けた協議を行っています。安全性はもとより、省エネ型船舶の導入に17 よる経営改善とバリアフリー化など船内環境の改善を図り、生活航路と して安定した運航となるよう支援してまいります。
航空路については、コロナの影響により、ORCやANAの減便が続き ました。市民の皆様の安全と利便性を確保するためにも、今後も引き続き、 航空事業者の動きに注視し、市議会と一体となって路線の維持・存続を図 ってまいります。
市役所本庁舎の整備については、昨年2月の新本館棟完成後、9月に既 存庁舎の改修工事が完了しております。現在、旧本館棟の解体工事を行い、 新本館棟玄関及び外構等の整備工事に向けた準備を行っているところで すが、駐車場については来庁者の駐車スペースを確保しながら工事箇所 を分割し順次整備したいと考えており、最終的な完成は来年3月を予定 しております。
世界遺産ガイダンス施設との合築により整備している奈留支所庁舎に ついては、昨年10月の着手後、順調に進捗し、現在は基礎工事から躯体 工事に取り掛かる段階となっており、今年9月の完成を予定しておりま す。 また、令和3年度は、公民館と合築して整備する予定である富江支所庁 舎について、既存の議会棟及び公民館の解体工事を実施するほか、富江支 所新庁舎の建設と三井楽支所及び岐宿支所の改修工事に向けた実施設計 業務等を行いたいと考えております。
本庁及び支所庁舎の整備に当たっては、工事期間中の市民サービスの 低下を招くことがないよう取り組んでまいります。 水道事業については、老朽化に伴う施設の更新や人口減少などに伴う 料金収入の減少が見込まれることから、さらなる業務の効率化を図りま す。
また、簡易水道・飲料水供給施設については、令和2年度から上水道と 会計を一本化しており、財務諸表による経営状況・資産状況の正確な把握 に努め、中長期的な視点に立った計画的な経営を行ってまいります。 今後も引き続き、市民の皆様へ安全で良質な水の安定供給に努めてま いります。
(続く)