全国初の罰則規定?
東京新聞によると、
東京都議会最大会派・都民ファーストの会は24日、新型コロナウイルス感染症対策として検討中の都民への罰則付き条例案について、一部を修正した上で、既存の都新型コロナ対策条例を改正する条例案として30日開会の都議会定例会に提出すると発表した。
とあります。本日は、この条例により「東京からの人口流出が加速する」背景と理由を解説していきます。
罰則の狙いは?
同会派の伊藤悠都議は
「検査に応じない人がいて保健所業務が必要以上に増えていることが背景にある。既存の都条例の実効性を高め、蔓延まんえんを防ぎたい」
としています。建前としては、「保健所業務を減らす事」が背景にありそうですが、本当でしょうか?
保健所の業務を減らすためには、
- 業務を効率化する予算を付ける
- 業務の一部をアウトソーシングする
- 人員増加の予算を付ける
など、他の方法も考えられるはずです。あえて罰則規定を盛り込んだのは、他の理由がありそうです。
目的はオリンピック?
第三波の感染拡大が止まらない東京都からすれば、
一刻も早くコロナを終息させて経済活動を再開し、東京オリンピックに繋げたい
という思惑がありそうです。
(このままの状況が続けば、オリンピックの開催も危ぶまれる。。。)
オリンピックまでの道筋をつけるためには、蔓延を防止するための検査が必要となります。
しかしながら、強権的な措置を発動する以上、「東京でオリンピックをしたいから」という本音を出すのは得策ではなさそうです。
そこであくまで、「保健所の負担を減らしたい」という建前を持ってきたのではないでしょうか。
都民ファーストの狙いとしては、
罰則を設ける→濃厚接触者が保健所の指示に従って検査を受ける→感染拡大が抑制される
というシナリオだと考えられます。
しかしそもそも、現在の保健所の指示に従わない人がいるのも、理由があります。
保健所の指示に従わない理由
濃厚接触者が保健所からの検査要請に従わない理由として
- 会社からの指示(業務に支障が出るため)
- 経済的な理由(検査所までの移動が実費、働かないと収入が減る)
- 心理的な理由(感染者と断定されるのが怖い)
- 家庭的な理由(旅行の予定がなくなる、子供の世話ができない)
などが挙げられます。
一般論として、罰則が強化されることにより、保健所からの要請に従う人は増えるはずです。
しかしながら、東京圏の人口は、東京都以外の首都圏を含む形で形成されているため、他の市町村との温度差が出てきます。
全体主義化する「都市」
強権的な罰則の規定に伴い、当然ながら「補償」の話が出てきます。
東京都では時短要請に伴う協力金を支給する方針ですが、これが出来るのは財政が比較的に豊かな自治体(東京や福岡)だけです。
他の自治体では、東京都ほど財政的な余裕がないため、
罰則を伴う条例の保障が出来ない
状態になるため、同じ条例は市町村レベルで出来ないと考えられます。
そうなると、東京都に住む人は、
- 営業活動への自由が損なわれる
- 罰則の導入による「住みづらさ」
を他の自治体よりも強く感じる事となります。
言い換えると、一見自由度の高い東京都は、緊急事態において「全体主義的な傾向の強い」装置に変わります。
- リモートワークの普及
- 本社機能の郊外への移転
と言ったコロナでの変化に加え、
- 強権的な都市部の住みづらさ(罰則規定)
が誕生する事により、益々都市から地方への人の流れが加速すると考えられます。