石炭火力の廃止を唱える前に知っておくべき事実

ねこ

石炭火力って、環境に悪いの?

日本は石炭火力を廃止した方が良いの?

こうした疑問に答えます。

確かに石炭火力は、多くのCO2を排出するイメージがあります。

しかし、最近の石炭火力は性能が著しく向上しています。

一例を挙げると、

横浜市にある磯子石炭火力発電所は、「クリーンコール技術」とよばれる技術を活用し、大気汚染物質の排出を大幅に削減しています。2002年のリプレース(建て替え)前に比べると、窒素酸化物(NOx)は92%、硫黄酸化物(Sox)は83%、粒子状物質(PM)は90%減っています。

とされています。

https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/qa_sekitankaryoku.html

日本は国際的環境NGO「気候行動ネットワーク」から2回も「化石賞」を授与されています。

同賞は地球温暖化対策に非協力的な国に贈られるCOPの名物行事とされています。

このように、脱炭素化に向けてエネルギーシフトが起きている世界から見ると、

火力発電を海外に売り出す日本は環境政策に対して後ろ向きであると見られています。

しかし、ちょっと待ってください。

  • 本当に火力は悪者でしょうか?
  • すぐに廃止が出来るのでしょうか?

この点について、「火力発電は必ずしも悪いモノとは言えない」という事実を紹介します。

石炭火力は世界の主流

主要国の一次エネルギー構成をみると一目瞭然です。

中国やインドといった、10億人以上の人口を抱える大国の主力電源は、石炭である事がわかります。

再エネの利用促進が進み、環境先進国と言われるドイツでも、火力は日本と同程度で22%を占めています。

今後10年、20年という時間軸で見れば、まだまだ化石燃料を必要とする火力発電が使われ続ける事は間違いないでしょう。

日本の石炭火力の熱効率は世界最高水準

下の図を見ると、日本の石炭火力の熱効効率は、世界と比較しても高い事が分かります。

https://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/energy_environment/jisedai_karyoku/pdf/005_02_00.pdf

日本(40%台で推移)は米国・中国・インドと比べて効率性が高く、北欧諸国と並んで世界トップクラスの熱効率を誇っています。

そのため、例えば中国やインドが日本と同じ程度の熱効率に置き換われば、それだけで大きなCO2削減効果が見込まれます。

求められる制度設計

しかしながら、日本の技術が海外で有用だとしても、すぐに日本の火力発電を世界に適用できる訳ではありません。

海外への技術移転を促進するために必要となる2つの制度についてご紹介です。

二国間クレジット(Joint Crediting Mechanism : JCM)

これは分かりやすく言うと、A国がB国に対して技術支援をした際に、

B国で削減できたCO2を、A国のCO2削減分として計上できる

仕組みの事です。

環境問題は一国だけの問題でなく、世界全体の問題です。

そのため、他国への技術支援も必要であり、京都議定書の際の枠組みよりも、融通が利く仕組みが取られています。

詳細はこちら(資源エネルギー庁)

https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/jcm.html

日本は、途上国とのJCMに関する協議を2011年からおこない、2019年6月時点で、17カ国とJCMを構築しています。

カーボンプライシング

こちらは分かりやすく言うと、「炭素に掛かる税」の事です。

厳密には「排出権取引」と「炭素税」に分かれますが、CO2を多く排出する事で、税の負担が重くなる仕組みです。

日本が海外移転を進めるためには、

CO2を排出する事=高コスト

であることが導入のインセンティブとなります。

結論

世界は脱炭素の方向性に向かう中、日本の石炭火力発電の輸出に非難が集まっています。

しかし、現実としてはまだまだ多くの国が火力発電に頼っています。

日本は他国と比べても高効率な火力発電を輸出する事で、地球規模でのCO2削減に向けた貢献ができる余地が大きいと言えます。

そのために必要とされるカーボンプライシングや二国間クレジットといった仕組みを活用する事が必要ではないでしょうか。

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