五島市の観光
前回は、五島市の観光の課題について紹介しました。
https://nakanishidaisuke.com/2019/07/12/gotoshi-sightseeing/
その中で多かったのが、
老朽化した設備に対する改修をどうするか?
です。宿泊施設・移送用の船・交通網・トイレなど、多額の設備投資が必要になります。
「ハードがピカピカ」の観光地はNG
行政として明らかに間違っているのは、
全てのハード設備を最新の状態に更新する事
です。現在は、補助金を使って色々な設備が更新されています。しかし、到底すべてのハードをピカピカに更新できる訳でもなく、財源の持続性という観点からも、続けられる見込みがありません。
観光客としても、わざわざ観光に来たのに、都会と同じような衛生水準を提供されても、そこに「差」がないから、価値が感じられません。
都会は無人化・省力化
全世界的な流れとして大きいのは、「AI活用によるロボット化」です。これは好むと好まざるとに関わらず、加速度的に進展していきます。
そうなった時、
人間らしさって何だっけ?
という部分がより一層大きな問題として立ちはだかります。
そこで、財源が都会ほどない田舎の自治体が高めるべきなのは、「人」の価値です。
これは必ずしも、金銭的な価値で置き換えられるモノではありませんが、だからこそ強みとなります。
「〇〇さんの案内」が主流になる
日本では、サービスの値段を決定するときに、供給者から値段を提示することが多いです。
「私のガイドは1時間〇〇円」というような形で。
ところがこれからの世界では、「道案内」というグーグルナビのような「機能」に意味はなくなるので、
○○さんに案内をしてもらう
というサービスが主流になっていきます。
そうなった時、ガイドのサービスの在り方とは、従来の
時間単位による金銭の提示
から、
濃度単位による価値の交換
となります。分かりやすく言うと、
「今度、あなたが東京に来た時に、ご飯を奢りますよ」
という感じです。
ご飯代としては数千円かもしれませんが、こうした約束の方が、はるかに金銭よりも価値が高くなります。
市民全員がガイド
極論を言えば、市民の全員がガイドになれば良いと思います。
そして基本的には、
ガイドは一切、「お金の設定」をしない
という事が肝心です。
ボランティアガイドとの違いは、ガイドをしてもらった方は、一方的なサービスの提供に終わらせない、という事です。
ガイドは基本的に無料。ただし、参加者は何かしらの「価値」を交換する事
を暗黙のルールとします。ここでは「寄付」という形でお金を渡すのもあり、という事です。
もしくは、お金という割り切った関係ではなく、持続的に今後も繋がる関係性を作れる可能性があります。
そうした形で、五島市は、
ハード面での価値ではなく、人の価値を最大化する
という方向性に、舵を切るべきだと考えます。
人との有機的な関係性の構築は、五島市が目指している健康寿命の増進にも寄与します。
その背景としては、
- AI技術の発達による「人とのかかわり」の価値の増大
- 新しい経済圏としての「価値経済」への転換
があります。