【共産党公約検証】8時間働けばふつうにくらせる社会?

共産党の選挙公約

https://www.jcp.or.jp/web_policy/2019/06/2019-saninsen-seisaku.html

6月21日に、共産党のHPに公約が掲げられました。前回紹介した「れいわ新党」と方向性は似ていますが、数値的な根拠が示されている点では、マシかと思います。

https://nakanishidaisuke.com/2019/06/21/1500yen/

本日はその中で、気になる点の検証です。

まず一つ目の、「くらしと景気を壊す無謀な消費税10%への増税中止の審判を」については、個人的には賛成です。

色々な方が指摘していますが、増税は消費を減退させるだけなので、止めた方が良いです。

8時間働けばふつうにくらせる社会?

その次に、

「8時間働けばふつうにくらせる社会」

がテーマとして掲げられています。

この表現、何か違和感を感じませんか?

  • なんでそもそも8時間?
  • 8時間も働けない人は?
  • ふつうにくらせるって何?

などなど。いろいろと変な気がするので、その中身を掘り下げてみます。HPの情報によると、

最低賃金をただちに全国どこでも1000円に引き上げ、すみやかに1500円をめざします。

全国一律の最低賃金制度を創設します。中小企業の賃上げ支援予算を1千倍の7000億円に増額し、社会保険料の事業主負担分を減免するなどして賃上げを応援します。

とあります。「れいわ新選組」の掲げる1500円との違いは、

  • れいわ新選組:賃上げ分そのものを国が支援
  • 共産党:社会保険料の事業主負担分のみを国が支援

という感じです。

しかし、普通に考えれば分かりますが、事業主にとっては「社会保険料」よりも、「賃金」の負担の方が圧倒的に大きいです。

そこに対する補填のないまま「1500円に上げてください」となれば、韓国のように中小企業が倒産・失業率が上がる事は避けられません。

全国には約380万の中小企業があると言われていますので、平均すると1社あたりの予算は18万4千円。

1か月に換算すると、わずか1万5千円の額にしかなりません。

国が社会保障費用を毎月1万5千円分負担するからと言って、中小企業が大幅な賃金の上昇を受け入れられるでしょうか?

7000億円の予算規模では、国が介入できる影響は極めて小さいと言わざるを得ません。

保育・介護・障害福祉労働者の賃上げ

さらに同じ章では、

保育・介護・障害福祉労働者に国の責任で、ただちに月5万円賃上げし、一般労働者との格差をなくしていきます。

と明記されています。このための予算として、1兆円が組み込まれていますが、年間で1人当たり60万円を引き上げる必要がありますので、

1兆円 ÷ 60万円 = 16,666人

しか対応できません。「介護のニュース」サイトによると、

介護職員の需要は

  • 2020年度で216万494人
  • 2025年度で244万6562人

に増えるという。足下の2016年度の実績は189万8760人

https://news.joint-kaigo.com/article-7/pg707.html

さらに、保育士バンクの情報によると

2013年時点で保育所で働く保育士の数は約40万9000人。このうち32万人が常勤で勤務、8万9000人が非常勤で勤務しています。

ただし、保育所以外の社会福祉施設で働いている保育士を含めると約42万7000人。

とされています。

https://www.hoikushibank.com/column/post_1343

さらに、潜在保育士の数を含めると、100万人以上にもなると言われています。

つまり、1兆円の予算で毎月5万円の賃上げでは、

  • 支給可能な人数:約1万7千人
  • 介護・福祉の総数:約300万人規模

となるため、全体を賄いきれない事が分かります。

まとめ

共産党の経済政策では、

  • 多様化するライフスタイルの中で「ふつうのくらし」の定義が不明確

というそもそも論に加えて、

  • 最低賃金(時給1500円)にするための予算規模が不十分
  • 保育・介護・障害福祉労働者の賃上げ(毎月5万円)に必要な予算が不十分

であることが分かります。さらに共産党の公約では

労働者派遣法の抜本改正をはじめ、非正規労働者の正社員化をすすめます。

と記載されています。福利厚生の手厚い正社員が増える事により、今現在でも足りない「国の補償範囲」をさらに広げる事になるため、ますます公約の実現性が怪しくなります。

当たり前の話ですが、従業員が何時間働いたとしても、売上がなければ会社は潰れます。

会社が賃金を支払えるのは、売上に対する経費(設備の維持管理や広告費など)を払いながらも、なお利益を確保できると見込めるからです。

利益を圧迫する「人件費」が高騰すれば、当然ながら企業は倒産します。