地域電力
五島市で「地域電力」の事業拡大に向けたシンポジウムに参加しました。
感想としては、「地域電力、採算取るの難しそうー」と思いました。
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本日は、その中身についてご紹介します。
上手く行っても収支はどっこい
一般的に
地域電力は儲からない
というのが、2018年末現在での日本の現状です。(参考事例:みやま市)
そうした中で、割と上手く行っている事例として、
地域新電力 森のエネルギー株式会社の紹介がされました。お話の中で印象的だったのは、
もともと、儲けのために行っている事業ではない。
という部分です。地方創生という文脈の中で、地域貢献を考えたメンバーの方々は、
- 少ない出資金(出資金200万円)を元手に
- 経費(運用コスト)を極力抑え
- 地域に恩恵を還元する
という事で継続されているらしく、現在は会社の収支がとんとんくらいで回っているとのことでした。
多くの「地域電力」が失敗し撤退している中では、そもそも「地域電力」という事業自体、儲けを出すのが難しく、上手く行っても収支がとんとん、というのが今の現実である気がしました。
外貨の流出が止まらない地域
そもそもどうして、「儲からない」事業に参入する自治体が多いのでしょうか?
その背景にあるのが、地域の抱える「電気代の域外流出」という構造的な課題です。
例えば五島市では、年間で30~40億円くらいが、電気代として島外に流出しているらしいです。全国的に見ても、電力は「大手の独占」となっていたこともあり、その課題を解消する起爆剤として、規制緩和(電力の自由化)がされました。
そうした背景もあり、五島でも地域で循環するお金の量を増やし、雇用の場を確保するために、地域電力の会社が発足したそうです。
五島市の支援は?
今後、五島市民電力が事業を継続的に運営していくためには、「市役所の後押し」が必要不可欠になると考えられます。具体的には、
- 市役所庁舎の電源を地域電力に切り替え
- 市役所のHPや広告で、地域電力を積極的にPR
など。こうした「五島のエネルギーのブランド化」には市役所の後押しが必要ですが、私の予想としては、中々及び腰ではないでしょうか。
その理由の一番は財政的な問題。
自主財源比率が恒常的に2割以下であり、且つ今後2年間で交付金の額が減らされる五島市にとっては、「いかに安く公費を抑えるか?」が最重要のテーマとなります。
そうした観点から、公費の増加に繋がる新電力への切り替えは、経済合理性がなく、市議会を始めとして反対が強くなるでしょう。
求められる政治判断
とは言っても、五島市の方針は基本的に国に倣えですので、自民党率いる上層部の政治的判断で、「再生可能エネルギーを使う事」に対する後押しがあれば、判断が変わる可能性が高いです。
例えば国の方で、FITに代わる補助的な政策として、
エコ電源を選ぶことに対するインセンティブ
が新たに導入されれば、風向きは変化します。逆に言うと、こうした政治的な支援がない限り、結局電力は安さ(経済合理性)で選ばれます。
そうでない限り、震災後の電力の自由化の帰結(2020年以降)は
資本力に勝る既存発電業者が勝利する
形になりそうです。