薄れる「日本人」意識と既得権益

日本のパスポートは世界一?

日本にいるとあまり意識されませんが、海外旅行に行くとき、ビザを申請するのは国籍によって難易度が変わってきます。

2018年11月時点では、日本がシンガポールを上回り190か国に渡航可能となっています。

つまり、世界で一番信用力のあるパスポートです。

参考:https://www.henleypassportindex.com/passport-index

そんな日本に対する海外からの評価は抜群に高く、海外の人からは

日本人っていいよね

という感想を持たれることが多いです。

移民の受け入れ

昨日のNHKの番組でも紹介されていましたが、労働力不足を背景とした移民の受け入れが全国各地で進んでいます。

就労目的で渡航してきた彼らの在留資格や権利を巡っては、今後も様々な議論が巻き起こるでしょう。

一方で、海外の人が多く日本の生活に取り込まれていくにつれて、日本人との軋轢も生じてきます。

海外の人から見たら「日本人」は「既得権益」です。

それは江戸時代でいえば「武士」であり、平安時代でいえば「貴族」という身分でした。

本質的に同じことは、「生まれ」によって権利が規定されているという点であり、インドでは今でもその文化が残っている地域があります。

インドを例に考える

インドは特に、IT技術の先進国として知られています。その背景にある要因として、「カースト社会」からの脱却意欲も大きいと思います。

つまり、従来の社会でいえば

  • 〇〇の部落に生まれた→人生が決まる

だった世界が、

  • 〇〇の学校を卒業した→年収が決まる

という形で、より生まれや身分に捕らわれない、成果主義的な生き方が選択可能となりました。

能力か身分か

これから先、日本での移民受け入れについては、

  • どこまでを日本人の既得権とするか
  • どこからを海外の移民の成果報酬とするか

という点が大きなテーマとなり、前者を肯定する立場に対しては、「既得権益の保護だ!」というレッテルが張られる機会が多くなると考えられます。

その理由は、「社会の構造」そのものが、「人手」を必要とし、移民の受け入れを拡大する圧力が強まるからです。

その筆頭は、安い労働力を武器に世界でビジネスを展開するグローバル企業です。

「である」よりも「する」ことへ

歴史的に見れば、富や権利は見えるところから奪われてきています。

そうである以上、日本に労働力として出稼ぎに来る海外の方が、日本人と同等の権利を主張し、社会の中で勢力を拡大していくのは、必然的な流れであると言えるでしょう。

そうなったとき、「日本人」という生まれの場所だけに拘る従来の意識は権威付けが弱まり、

日本の社会にどんな貢献が出来るのか?

という部分で、よりシビアな競争原理が持ち出されることも、必然的な流れです。

まとめると、今までは「日本人」という既得権益の上で胡坐をかいていた人たちが、海外の人からの要求によって権利を奪われ、競争の渦に飲まれていく、ということです。