中国の内政リスクと独裁政治

  • 2018年11月21日
  • 2018年11月26日
  • 書評

独裁国家、中国の実体

本日は中国についての考察です。GDPで日本を抜いて2位の経済大国になった中国ですが、歴史的に見ても非常に面白い政治・経済のシステムを採用しています。

それはアメリカや日本のように、「民主主義×資本主義」ではなく「独裁主義×資本主義」の国として発展してきたことです。

もともとは、アメリカや日本が

グローバル経済化すれば民主化するだろう!

と見込んで様々な経済援助や借款を中国に行ってきた経緯があります。しかし、予想外の展開になってしまった、というところでしょうか。

その経緯は、もともと中国という国が、「人民解放軍」という軍隊から生まれた国であり、経済の成長に合わせて軍隊の規模も大きくし、独裁体制を固める方向に動いてしまったからです。

そんな世界が注目する中国ですが、今後大きな問題になるであろう「内政上のリスク」を見ていきます。参考図書はこちら。

①戸籍の格差問題

中国では、農村と都市では戸籍が異なるため、社会保障をはじめとした公的サービスに格差が生まれています。

全体のおよそ 7割の農村戸籍が社会保証を受けられないという数値もあります。詳細は東洋経済の記事をご参照ください。

これまでは、農村で安い労働力として働きに来た人を活用することで、中国は経済発展の推進力という果実を得ることが出来ました。

しかし今後は、農村出身の彼らの不満が高まることが、政治的なリスク要因となりかねません。

②軍のマネジメント問題

中国の軍隊(人民解放軍)については、

  • 軍の幹部が地方の有力者と癒着・汚職
  • 本部の意向を無視して勝手に進出

など、マネジメント上の問題が指摘されています。

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そもそも、現在の人民軍の兵士は士気の低い人間しか集まらないという事情を考えれば、「軍隊としての質」はアメリカのそれとは比較にならないレベルだとも考えられます。

➂民主化への圧力

外資を導入し、資本主義経済を拡張させようとしている中国ですが、一方では非民主的な国として、内政をうまくコントロールしなければいけない圧力にさらされています。

どれだけ情報統制を敷いていたとしても、民主的な国々のビジネスマンから見たときに、中国政府は危険に映ります。具体的には

  • 情報統制(ITサービスの制限と監視)
  • 中国全土の張り巡らせた監視カメラ
  • 銀行決済の購買履歴の管理

こうした「独裁的な監視体制」に対して、民主化を望む外側からの圧力も加わります。

独裁の固定化は問題が多いから

こうした「問題点」を整理すると、

  • 中国の内側:戸籍を基にした格差問題
  • 中国の国境:軍のマネジメントが出来ない問題
  • 中国の外側:民主化に対する圧力への問題

という、様々な面での課題を抱えています。そうなったとき、これらの問題に向き合うためには「内政パワー」が必要になります。

そんな中国では、独裁国家の権力を強化するため、2018年に国家主席の任期を「2期10年」までとする規制を撤廃する憲法改正案を採択しました。(日経記事

これにより、無期限の政権運営が可能になったのですが、これも「継続性」という観点から見れば、怪しいと考えられます。