MICEとは?
あまり聞きなれない言葉ですが、一言で言うと、
ビジネスマンをどのように受け入れるか?
というテーマです。ビジネスっていうのは具体的に
会議、報酬旅行、国際会議、イベント
など、様々な目的が想定されています。詳細はこちら。今回は、
「日本MICEは国際競争にどう立ち向かうか?」
というタイトルで、講演を聴きました。
ちなみにMICEは「マイス」と発音します。(ミセじゃないですよ。)
MICEの現状①経済効果
MICEの現状として、2017年度のデータを簡単に紹介します。
外国人旅行者数:2869万人(前年度比19.3%)
となっており、内訳のトップ3カ国は
- 中国121万人(24.4%)
- 韓国92.3万人(18.6%)
- 台湾45.8万人(9.2%)
となっています。着目すべきは「消費額」でして、まだ2017年の数値は確定していないみたいですが、
- 旅行消費額:15.3万円
- ビジネス目的(推計):30万円弱
と紹介されていました。
個人客と比べると消費金額はほぼ倍と言うことで、外国人も法人と個人とでは、羽振りが違うことが伺えます。
「外国人観光客」と言うと、どうしてもBtoCの個人をイメージしがちですが、商売としてはBtoCの「法人」をターゲットにした方が、高い経済効果を得られると言えそうです。
MICEの現状②国際社会でのプレゼンス
次に、国際社会での日本のプレゼンスを見ていきます。
直近10年間で、世界の国際会議件数は緩やかに増加しています。
- 2007年:9,637件
- 2016年:12,227件
そうしたマクロな増加の中で、日本も国際会議の開催件数を伸ばしています。
- 1991年:131件
- 2016年:410件
にもかかわらず、アジア・太洋主要5カ国の開催件数に占める日本のシェアは
- 1991年:51%
- 2016年:28%
と、相対的に低下しています。
これは日本が低下したと言うよりも、他のアジア各国のプレゼンスが日本以上に高まった、ということでしょう。経済規模で見ても、もやは日本は中国に抜かれてますし。
アジアの高成長・日本の低成長という現状を見れば、日本のプレゼンスが相対的に低下するのは当然と言えば当然です。
MICEの今後①受け入れ体制の構築
観光庁の方では、プレゼンスの相対的な低下を受けて
- MICE目標の設定
- “都市の誘致力の強化”
- 幅広い業界と連携した誘致体制の強化
- MICE人材の育成強化
を柱として、2018年春に
「官民連携横断組織の構築」
を目指すとしています。
旧来から続く地方創生みたいに、「国の号令、都市(地方)の実施」とならないような体制作りが鍵と言えそうです。
会場では、
「それぞれの強みを活かしつつ、タイアップしていきたい」
という方針が述べられましたが、具体的な部分はまだ未定だそうです。
MICEの今後②国の方針
従来ではあまり考えられなかったことですが、政府も本腰で、
「文化財で稼ぐ」
というスタンスを示すつもりのようです。何しろ訪日観光客数を2020年までに4000万人とか打ち上げてますからね。
参考資料はこちら。
振り上げた旗は降ろせないから、受け入れ体制を構築することはもやは国策と言ってよいのかもしれません。
2020年代は、オリンピックをはじめとした追い風イベントも続きます。
観光庁MICE推進担当参事官の方は、「都市」と「地方」は分けて考えるべき(MICEは都市型に特化?)との意見でしたが、私は逆に、「地方」に魅力を感じたりしました。
それは、その土地ならではの価値、いわゆる「ユニークアベニュー」が、歴史の浅い都市よりも、地方に多く眠っているからです。
都市的な「キレイさ」や「快適さ」は、東京のそれとシンガポールを比較してどっちが上でしょうか?
豪華なホテルと贅沢な施設。有名デザイナーさんを呼べば、いかにも「それっぽい」会議場などが出来上がるのでしょう。
それは都市水準での競争が「お金をつぎ込んだほうが勝てる」構造の競争だからです。
そこで競争したとしても、いつまでも中国との高価格競争を続けなければプレゼンスを維持することはできません。
国家的に債務がヤバイ状況にある中で、「超高級な設備」を拵えることが、果たして有効でしょうか?
逆に「地方」が提供できる魅力は、地域の伝統に根付いたものであり、「お金をつぎ込んでも真似できない」価値です。
つまり「ユニークアベニュー」の本質とは、「容易に模倣できない魅力をいかに発信するか?」ということです。
従来のように、「都市(地方)にお金をかければOK」と言う発想では意味ナシ、むしろ維持費のかかる箱モノを残すと言う意味でマイナスです。
地方を「MICE特区」に指定して権限を与え、全国多拠点MICEで稼げるような仕組みを作ることが、結果的に「地方創生」に繋がるのではないでしょうか?