荒川温泉と五島市議会①社会福祉協議会が取得した際の論点

  • 2025年11月20日
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社会福祉協議会による荒川温泉取得に関する論点整理

本記事は、過去の議会議事録( 平成22年 12月 定例会  12月06日)の内容を基に、AIに論点を整理して頂きました。

https://ssp.kaigiroku.net/tenant/goto/SpMinuteView.html?council_id=45&schedule_id=6&minute_id=7&is_search=true

本議事録は、社協による「豆谷旅館(荒川温泉の中核施設)」落札に関する、市議会での問題点指摘と市長答弁を中心に構成されている。
政策的には、大きく以下の論点が浮かび上がる。


Ⅰ. 落札プロセスの不透明性・手続き上の問題

1. 社協による“先に落札・後で予算化”という手続き矛盾

  • 社協は9月16日に旅館を落札。

  • しかし必要な購入予算1億2200万円は、翌日の9月17日に評議員会へ提案

  • つまり、多額の予算措置(供託金979万円)を、
    評議員会の議決前に既に執行していたという構造的矛盾。

議会側はこれを
「評議員会軽視」「手続きの順序が逆」
と強く問題視している。

2. 理事会での議論や市への報告の不十分さ

  • 9月10日の理事会で購入議題が出たにもかかわらず、市長へ報告なし。

  • 市長は議会で
     「宿泊施設として民間活用を期待している」
    と答弁した“その日”に社協が旅館を落札していた。

市長の答弁と実際の動きが乖離し、市内部の連携不足が露呈。


Ⅱ. 市長答弁と行政意図との乖離

1. 市長は一貫して「宿泊施設としての観光活用」を期待

議事録内で市長は複数回、

  • 「荒川活性化には旅館としての再生が必須」

  • 「温泉の権利と旅館の維持は観光の柱」

  • 「社会福祉目的活用は想定外だった」

と述べている。

市長の政策方針と社協の取得目的が明確に不一致。

2. 市長と社協間で目的の共有が不十分

  • 市長は「会話はあったが“了解”を与えた認識はない」と説明。

  • しかし社協側は「市に相談した」と認識していた(報道あり)。

政策目的の擦り合わせが行われないまま落札・購入に至った。


Ⅲ. 財政面の重大な論点

1. 社協は4億7千万円もの基金を保有

  • 市への補助金は約1億円/年。

  • その一方で、4億7千万円の積立基金を保有しており、
    「赤字運営のため支援が必要」という建前と矛盾。

議員側の指摘:
「そんな豊富な基金を持つ団体に本当に1億円の補助金が必要なのか?」

2. 市の財政損失

社協が落札したことで、市には以下の損失が生じる可能性:

  • 民間が落札していれば得られたはずの**固定資産税(年間300〜400万円)**が消失
     ※社協が福祉施設転用後は非課税となるため

  • 社協が退去することで、市の賃貸料年間314万円が消失

概算すると、
年間600〜700万円規模の市歳入が減る試算

市長は「結果としてそうなる」としつつ、事前には十分な想定をしていなかった。


Ⅳ. 地域政策面の課題(荒川温泉活性化への影響)

1. 観光・合宿施設としての活用機会が失われた

市長も議員も一致して指摘:

  • 豆谷旅館は荒川温泉のシンボル

  • 大型宿泊施設として地域活性化の中心になるはずだった

  • 民間から複数の宿泊事業者が取得検討していた

→ 社協の福祉転用で観光拠点としての再生可能性が大幅に縮小

2. 民間デイサービスとの競合リスク

  • 既に荒川地区には新しい民間デイサービス(たちばな荘)が再開済。

  • 社協のデイサービスは赤字(年間200〜400万円の赤字続き)。

“二つのデイサービスが乱立し、共倒れリスク”
と議員が指摘。


Ⅴ. 公共性の二重構造問題(社協は民間か、公的か)

議事録全体を通じ、議員が強く問題視している点:

  • 社協は形式上「民間社会福祉法人」

  • しかし実態は「市から1億円補助 → 準公的組織」

  • にもかかわらず 大規模投資(1.2億円)を独自判断で決定

  • 市長は「別組織だから口出しできない」と答弁

→ しかし議員側は
「補助金1億円を受ける団体に自治体が全く関与しないのは不適切」
と問題提起。


Ⅵ. 規制・ガバナンス上の問題

1. 社協の意思決定プロセスの妥当性

  • 評議員会(総会に相当)軽視

  • 供託金979万円の使用が無議決で進行

  • 財政規模に見合わぬ大規模投資判断

→ ガバナンス上の重大懸念

2. 市の監督機能の弱さ

  • 市長・市職員は社協理事会に出席していたが、
    入口段階の「購入方針」に対して異議を唱えず、追認した形。


Ⅶ. まとめ(政策的核心)

社協による荒川温泉取得には、次の構造的課題がある:

① 取得プロセスの不透明性・手続きの不備

(評議員会前の事実上の予算執行)

② 市長方針(観光活性化)との矛盾

(福祉目的転用で地域振興の軸が消える)

③ 財政面で市に大きな損失が生じる構造

(固定資産税・賃貸料の喪失)

④ 社協ガバナンスの問題(基金の使途・意思決定)

⑤ 市の監督不全と連携不足

⑥ 地域活性化戦略に逆行する結果を招く可能性