高齢化率の高い離島の地方議会選挙でネットやSNSはどれだけ効果があったのか?

五島市議会議員選挙が終了しました。昨今、「SNSの影響力が高まっている、選挙に与えるインパクトがデカい。」等と言われますが、高齢化率が4割を超える長崎県の離島において、2025年2月9日に投開票された五島市議会議員選挙における票への影響を分析してみます。

ネットを駆使した候補者の数は?

本記事では、「ネット」はHP、SNS、YouTubeという情報媒体を総称する事に致します(TikTokはおそらく誰もやってない)。

今回、22名の候補者が立候補しましたが、ネットを利用していたのは以下の方々です。

票数名前年齢HPInsta/FBXYouTube
1,596木口 利光70××××
1,429荒尾 正登62×××
1,426田口 勇67××××
1,160古里 賢一47××××
1,110中西 大輔35
1,039柳田 靖夫61××××
936谷川 等71××××
898川口 哲也55××××
879出口 浩一64××××
855草野 久幸70××
820片峰 亨64××××
762山崎 早苗51××
668松本 晃54××××
558野茂 勇司臣67××××
556下山 春雄69××××
555網本 定信77××××
543山田 洋子52×××
540勝本 政裕55××
534丸田 敬章56
452元村 進65××××
373宗 清仁55××××
351野澤 努58××
  • 選挙ドットコムの情報と筆者独自の調査を基に記載しています。
  • アカウントは存在するけど長期間更新されていない情報源は「×」にしています。

上記の結果では、全く何もネット情報発信されていない方が13名います。しかも上位の当選者ほど、その傾向が高いという事が分かります。

「ネットを使っていないから選挙に勝てない」という現象は全く生じておらず、寧ろ「使わないのがまだ当たり前」くらいの状態です。その意味では、やはり地縁血縁・職場関係を中心とした人との濃いつながりが、集票に与える影響が圧倒的に大きいと言えます。

ネットを使った候補者の集票

私は告示前から、定期的に候補者の発信を見るようにしていました。

割と頻繁に更新される方や、投稿の閲覧数なんかもチェックしてみると、

コンテンツのPV数が集票に与える影響は極めて限定的

だと結論付ける事が出来ます。言い換えると、ネット発信の質・量と獲得票数には相関関係がないと考えられます。

実際、私のYouTubeの登録者数やInstagramのフォロワー数は4年前と比較すると200~300は増えています。

登録者数やフォロワーが増えたため、昨年8月の市長選挙と比較しても、投稿の閲覧数も増えてはいます。

しかしながら、私が今回得た票数は前回と比較するとー13%でした。

人口減少と投票率の減少があるため単純比較は出来ませんが、「ネット発信で大いに票数を伸ばす事が出来た」とは言えない結果です。以下、私のInstagramとYouTubeの数値的な実績です。

YouTube分析

選挙が始まってから視聴回数が増えています。日々五島市政に関して「話すネタ」をあれこれ考えて投稿していましたが、自衛隊の話が一番多いのは意外でした。

今まで関心がなかった人も見てくれる数が増えています。

チャンネル未登録の方もそれなりに見てくれていました。

Instagram分析

若者だけかと思いきや、高齢世帯の方が一番多いのが印象的でした。見ていない訳ではないんですね。私の知人の高齢世帯でも、結構Instagram使っている人が多い印象有ります。

五島市からのアクセスが一番多かったです。硬い政治の話よりも、スポーツ大会や地域行事の再生数が多いのが印象的です。

リール動画の閲覧が一番多かったようなので、縦長のショート動画を重点的に発信しました。

フォロワー以外の人も4割見てくれていました。

やはりリール動画が閲覧数多い。

選挙期間中は毎日、19:15~19:45に「こたつトーク」と称してライブ動画配信しましたが、インタラクションはそれなりの数がある事が分かりました。

ネット選挙総括

もちろん、ネット発信が全く無駄だったという訳ではなく、インスタライブや投稿を通じて、知らない方からDMを貰ったりすることもあったので、新規の人に対する認知度を高める効果は少なからずありました。他の多くの候補者がネット投稿をしない分、戦い方の差別化もできたのだとは思います。

ただ、発信の効果を評価する際、票数に与えた影響は限定的で、いわゆる「バズる」ような現象は起こせず、仮に「バズった」としても、それが単に面白くて見られているだけであり、票に繋がっていたのかどうかは疑問です。

それ以外の影響として、寧ろ島外の方から連絡を頂いて繋がりが生まれたり、交流できる機会が生まれました。

まだまだネットの発信が離島の選挙に与える影響は限定的ですが、確実に世の中はネット中心にシフトしていきます。

そのため、私は今回、効果は薄かったとしても情報発信をしていて良かったと思いました。

ネットの情報発信は政治に限らず、離島で商売する上でも死活的に大事なツールになります。

まだまだ登録者数やフォロワーも少ない私ではありますが、いつか大きな影響を及ぼすと信じて情報発信の勉強をして、これからも継続しようと思います。