五島市の財政
五島市の財政は、自前の稼ぎが2割ほどしかない脆弱な構造となっています。
市議会議員として、税収を高めるための方策について、一般質問もしています。
本日は、五島市中期財政見通しが発表されましたので、現状の解説をしていきます。
https://www.city.goto.nagasaki.jp/s010/010/010/010/060/20190313130848.html
恒常的な財源不足
前述の通り、五島市の財政は8割近くを国や県に依存しており、「歳出 > 歳入」の構造が続いています。
そして五島市では毎年の中期見通しの中で、
各年度の財源不足額をすべて基金の取崩しにより補てんした場合
という仮定の基金残高を推計しています。
このグラフだけ見ると、
五島市の貯金はR10以降に枯渇してしまうのではないか
と心配になります。ただし、これは上述の通り、全てを貯金で切り崩した場合の想定ですので、実際にはこのように減少していません。
想定以上には減っていない財源調整基金
実際、基金の見通しについては、R1年度の見通しでは以下のようなグラフが示されました。
このグラフだと、実際のR5は27億円になっていますが、実際は56億の基金が残っていますので、倍以上の乖離があります。
実際の基金残高の推移は、
という形で、トレンドとしては大きく減少しておらず、寧ろ増加している年度もあります。
実際、R2は実質単年度収支がプラスになっています。(R4年度以降は情報が未開示)
収支の黒字化が出来ているという事であり、
- 財政改革により歳入が増えた
- 財政改革により歳出が減った
という要因が挙げられますので、解説していきます。
歳入増加の要因
財政改革プランの中では、以下の項目が挙げられています。
https://www.city.goto.nagasaki.jp/s010/010/010/010/050/4jizaiseikaikaku.pdf.pdf
- 市税徴収率の向上
- ふるさと納税の推進
- 有利な地方債の活用による財源の確保
- 遊休資産に関する情報の発信と売却、貸付の推進
- 債券の運用
中でも、ふるさと納税が倍以上になった事は大きいと考えられます。
https://www.nagasaki-np.co.jp/kijis/?kijiid=990792029834461184
しかしながら、五島市財政の構造的な問題は未だに解決していない為、それ以外の税収増加策についても、更なる検討が必要と考えられます。
遊休資産の情報発信は、ここ数年で取り組みが強化されましたが、まだ十分な利活用に繋がっていないとも感じます。
https://www.city.goto.nagasaki.jp/s011/020/080/020/20230125.html
歳出減少の要因
- 人件費の抑制
- 公債費の抑制
- 物件費の削減
- 補助費等の削減
- 投資的経費の抑制
が挙げられています。
人件費の抑制に関しては、業務の見直しとセットで進めない限り、業務負担とストレスの増大に繋がるため、総合的な視点での対策が必要です。
投資的経費については、「費用対効果などの観点から必要な見直しを行うとともに、既存施設等の有効活用のほか、完成後に発生するランニングコストについても十分考慮」と真っ当な記載がありますが、今までに行われた事業を見ていると、疑問が幾つもあります。
まとめ
五島市の財政事情は、かつて中期見通しで言われるほど悪い状態ではなく、現状のペースで行けば、
令和7年度における財源調整基金残高について、47 億 64 百万円以上
は達成できそうにも考えられます。
ただし、
- 朝ドラで倍増となったふるさと納税の向上を一過性に終わらせず
- 遊休資産の活用には更なる情報発信し
- 維持費が伴う投資的経費に対するより慎重な審査すること
が求められると考えられます。