地域経済活性化シンポジウムin長崎に参加しました

地域経済活性化シンポジウムin長崎に参加しました。

https://www.jfc.go.jp/n/info/info_bn/news220603.html

冒頭あいさつ

徳永.日常生活に物価高の影響を感じていると思う。こうした中で農林業は長崎の基幹産業の一つであり可能性の大きい分野。農林水産業の労働力不足が大きな課題となっているが、新たな取り組みも各地で始まっている。省力化を図りながら高品質・高収益を実現する。カンフル剤になると期待している。長崎の農林水産業の発展になる事を祈念。

大石.長崎で開催される事をお祝い。本県の農林水産業の振興に取り組み、県政に協力頂いている事に深く感謝。本県は九州の最西端であり多種多様な農林水産業が営まれており、生産額は増加傾向。高齢化や人口減少が進んでおり、基盤縮小、地域の活力低下が危惧されている。県では農林水産業を担う人を増やし、暮らしに安心を生み出すように、活性化計画、振興基本計画を策定している。人材確保、生産基盤対策など様々展開している。関係者の取り組みや優良事例を共有し、地方創生を図る事を趣旨としている。それぞれの創意工夫により発展に繋がればと期待している。農林水産業を発展していけるよう一体となって取り組んでいく。

金子農林水産大臣.閣議のために出席できずビデオにて。食料の安定供給に加えコミュニティを担う重要な役割を担っている。持続的発展のためには稼げる農林水産業が必要。飲食のマーケットが縮小する一方で世界では拡大を見据え、輸出の取り組みも重要。若者にとって魅力的にするためデジタルを活用したスマート化が必要。気候変動対策としての温室効果ガス削減、有機農業の拡大も求められる。

食料安全保障の強化が益々重要になっている。政府として取り組む姿勢を打ち出している。経営を下支えし意欲的な挑戦を後押ししていく。政府の支援策を活用しながら局面を乗り越えていく事を期待。

パネルディスカッション

「地方創生」×農林水産業~稼げる農林水産業を地方経済のエンジンに~

【パネリスト】

  • 大石 賢吾氏  長崎県 知事
  • 宮﨑 敏行氏  九州農政局 局長
  • 山川 信彦氏  十八親和銀行 頭取
  • 千野 和利氏  離島振興地方創生協会 理事長
  • 本多 幸成氏  JA島原雲仙ブロッコリー部会 元部会長
  • 新井 毅    日本政策金融公庫 農林水産事業本部長

【コーディネーター】

榎戸 教子氏  経済キャスター

地方創生の考え

大石.五島出身で養鶏場出身。長崎県は離島半島が多い中で産業構造が大きく変わる中で農林水産業は地方創生のエンジンになると思っている。情報・刺激を得て良い物を一緒に作っていきたい。

宮崎.九州は1年勤務。実家は群馬の農村でキャベツを作っていた。課題のない仕事はないし、対応していけば大きく変わるチャンス。農業の発展に向けて頑張りたい。

山川.長崎で合併して新しい銀行になり、経済構造が大きな転換点を迎えている。融資先が16000社ほどあるが、農林水産は1割ほど。いかに農林水産に支援するかが大事だと思っている。

千野.関西の阪急百貨店で30年、スーパーで18年行い、48年間小売業一本でやって来た。協会は長崎フェアを通じてパートナーシップを結んだ。シニアアドバイザーとして招聘され、離島の一次産業の衰退が厳しいと肌で感じ、小売業の立場からチャレンジしている。

本多.東町でブロッコリーと水稲栽培をする農家。農業が元気になれば他も元気になると思っている。

新井.2014年に地方創生が立ち上がった時から参画し、農村の現場を見てきた。大きく変貌を遂げて若い人がやってみたい産業になっている。将来的な持続が大事。

榎戸.世界に誇れる地方創生の起爆剤として期待が集まっている。政策金融公庫は活力発揮に向けた支援に取り組んでいる。農村のポテンシャルは大きいと感じているが、現状の取り組み、課題について情報交換したい。地方創生の現状・特徴は。

大石.離島が44%を占め平坦地が少なく消費地から離れている。いちごやミカン、肉用牛などの農林業が展開されている。トップテンに25品目入る。生産施設整備に取り組んでおり、産出額は全国が減少する中でも増加傾向。所得率は46位から低コスト化に取り組み13位に上昇して伸びている。

平均年齢は65歳と2番目に若い。畑地の好事例として

大石.水産業は多くの半島・離島など変化に富んでいる。生産量は全国3位。生産額も全国2位。全国に先駆けて個別支援を行っている。

宮崎.農村への関心が高まり移住が増えている。生業が成立する事が大事であり、文化の維持が大切。農業者数が減少する中で様々な事を手掛けたり大規模化する例がある。

農業競争力強化支援として、玉ねぎ面積をあげ高付加価値化を図っている。

規格外のトマトを加工品として活用する事例もある。体験・観光農業を多角的に展開するケースも。

後継者がいないという嘆きは少ないように感じられる。

山川.経済規模で言うとGDPの3%だが、高いポテンシャルを有する産業だと認識している。融資は1.5%しかなく、取り組み不足・関与の少なかったので、少しでも支援をしていきたい。単純に個別事業を応援するのではなく、バリューチェーン全体で対応していきたい。製造業の3分の1。

農林水産はデジタル化の支援、SDGsの支援が必要。価値のあるものを届けたい。

ふくおかFFGのネットワークを利用しながらブランディング支援・生産性の向上支援、農林水産の融資力の強化に取り組んでいく必要がある。

千野.コロナ、ロシアウクライナ、円安、物流のショートが怒っており、昨年秋から各食材の値上げ攻勢が始まっており、来年いっぱいまで続くと言われている。日本の安全保障の中で食料の確保が喫緊の課題となっている。自給率の問題も政府が取り組んでいるが、真剣にやっていかないと食料政策が厳しくなると思う。離島の状況は急変しており、32万人が12万半ばで40%が欠けている。少子高齢の中で農業・水産業の平均年齢がすこぶる高くなっており予断を許さない状況があると思う。離島における問題が色々あると実感している。①コロナの影響で寸断 ②小規模であり家内工業的・技術情報資金が不足がち ➂島の方々がマーケット情報、ライフスタイルやニーズを殆どご存知ない(良い物を作っているけど売れない)

地方創生に必要なモノは何かを考えないと厳しいと感じる。

本多.H30の農協賞で大賞。天皇杯を受賞した。評価された点を紹介。基盤整備を行い規模拡大、機械化を進めた。リーダーの後を継ぎなし得た快挙であると。大規模な集荷所、機器を整備して品質の平準化を実現。次世代を担う人材を育てないと将来がないので、力を入れてきた。楽しくブロッコリーを作っている若手同士の意見交換、ストレス発散、自己研鑽の場となっている。

課題の把握と展望

大石.農林業においては担い手の意向調査にある通り、61%が労力不足。拡大が進まない状況。H29までは増加していたが3年間は横ばい。労力不足が大きな課題。

水産業も人手不足に加えて、漁業経営体の育成(変化に強い経営体への転換)、養殖業の成長産業化(高品質化、生産拡大)

今後の展望として、少ない労力で賄うスマート農林業の普及拡大。若者を主体としたスマート農林業の開発・産地の変革を図っていきたい。労力確保の取り組みとして、「エヌ」を設立し、リレー派遣で外国人材を安定的に労力不足の解消を後押し。若者から選ばれる快適で儲かる農林業を目指す。

水産業は人材確保として、魅力発信が大事。R1~イラスト、YouTubeを活用し、新規就業者は徐々に増加傾向。幅広いツールを活用し魅力を発信していく。

経営体の育成として、水産資源の変動に強いスマート化に取り組む業者をサポート。水温や塩分を監視できるシステムを導入。基礎研修のための講座に取り組んでいる。

成長産業化は養殖の沖合進出、養殖生産体制の構築を進めている。中国市場における市場開拓。基本理念である多様な人材が活躍出来る水産業を支えていく。

宮崎.農業者は14%減少し、面積が15%増加している。今後10年は2倍の速さになるので、集積が必要。輸入に大きく依存している状況であり短期的な終息は難しい。食料安全保障の問題が生じているので、中長期的な体質改善を図らないと問題が生じる。

経営体を育てるため、政府は支援体制を充実させている。農業大学校、高校に対して最新の施設に対する支援も活用しつつ、地域のリーダーとなる経営体が育つと良い。分散している農地を集約するためには、地縁血縁ではなく地域でどうするかを議論して面的集積が必要。地域計画を立てて頂くための議論が必要。

ドローン、無人機、ハウス内の環境制御などのスマート農業をしているので実用化が求められる。今はパート・アルバイトに頼っているが、労働環境の整備も必要。農地として使えない場所に対する支援も必要。

昨年5月に緑の食料システムを策定している。燃油や肥料を有機化するなどしているが、関係者との意見では生産者からすると消費者の理解が追い付かないとの意見がある。ロッドが確保されていないと売れないとの声もある。消費者はどれが化学肥料を減しているのか、品質の違いが分からないとの声がある。それぞれの方が納得するシステム作りが必要。生産者の方には土づくりを行ってもらい、付加価値をかけて情報を消費者に知ってもらい、品質を提示する事が大事。有機は技術的に難しいので減農薬で対応出来ないかと考えている。

山川.課題として農林水産業を評価できない。農林水産業をやってみないと分からないとの声があった。経営の高度化が遅れたため、将来の姿が描けていない。今後農林水産業の生産者が必要になるが、経営への転換が大事な視点だと思う。事業経営に成功された方もいるのでマッチングもあると思う。具体的な事例としてブリの養殖企業に対して6次産業化支援。海外進出を後押しした。畜産業は規模を大きくするためのM&Aで規模拡大の支援をしている。稼げる姿を示してやってみようという姿を示す事が大事と思う。

千野.課題は3つ。各種団体が時代に適応できているか。なぜ儲からないのか突き詰める。離島の中でも今後どういう風に持っていくかのビジョンが少ない。達成するための具体的な施策を打ち出せている所が少ない。儲かれば後に続く人が出てくると思う。それなりの生計が立つのであれば跡取りは出てくる。儲かる形=持続可能な水産業をどうしていくか、一般消費者が何を求めているのかを徹底的に勉強して生産・加工する事が大事。柔軟な組織作り、具体的な方策、マーケティング情報を取る必要がある。民間のエキスをもっと導入したらよい。優秀なメーカーは2050年の日本の食を議論している。人口動態、気象変更の事も予測しながら研究している。そうした人たちの知恵を島に入れる必要があると思う。技術革新の力・資金力・知見もある。出口戦略を構築した生産計画が必要だと感じる。

①展示商談会 FSSF 大阪で実施

②物産展 自らの商品の訴求力を体験して頂き、自ら店頭に立ち直に話をしてニーズを体得する事が大事

➂ベンダー3社の事業計画(三菱、日本アクセス、ヤマエ) 時代が変わる中でトップの考えも様々。

④商品開発

業界が100社と交流しアシストしたい。芽は確実に出ている。

本多.(活動予定について短く)防除作業の省力化のためにドローンを活用。生産資材の経費が向上しており、農家数の減少に繋がる可能性がある。畜産農家では堆肥の処分に頭を悩ませている。有害鳥獣にも困っている現状。課題は多いが展望として安定出荷・価格の安定が柱になると思う。NTTと協力し出荷予測システムにも取り組んでいる。データを蓄積すれば精度も向上する。中山間地の基盤整備にも力を入れている。開墾した農地を捨てるのが勿体ないので、面積拡大中の人に貸し付けて食料自給率を上げる手掛かりになればと思う。

新井.若者に選ばれる農林水産業のためには、人脈と知恵を総動員する事が大切だと考えている。

基調講演

地方創生としての農政と変貌する農業の未来 新井 毅

全国のあちこちで成長産業になっている。農業は3K的なイメージが多いが、実際は昔のモノになりつつある。10年で変貌している。

キーワードはホワイト産業化。若者が必要との声はあったが、どういう仕事に就きたいか?所得、適正な労働、やりがいが重要な要素。ブラックな企業でも創意工夫で稼げる産業にする必要がある。

直近の10年間で農業は稼げる産業になりつつある。経営体数は減少しているが、販売規模が大きい経営体は4割近く増加している。

49歳以下の農業就業者は2010年に底を打ち、農家出身以外の方の新規就業者が増加傾向。職業として農家を選択する時代になってきた。5月末の農業白書の特集でも深堀している。

現場も大きく変わり、酪農は変化が激しい。搾乳ロボットが普通になり生産性が向上。牛の衛生管理・データに基づいた経営戦略の立案が可能に。北海道以外でも事例導入が進んでいる。

売上5億円以上の事業体は6次産業化に取り組み、高品質にブランドを付けている。加工・販売で安定的な雇用の創出に繋がっている。雲仙では基盤整備を機に人参・ダイコンなどの根菜に切り替え、若い世代も入ってきた。

農家負担0で基盤整備のメニューが用意されている。成功事例を知ってもらう事が重要。

1961年の農業基本法により、商品の販売や経営感覚・創意工夫が失われていった。兼業農家は豊かで専業農家は貧しいという状況が続いた。

貿易自由化と行財政改革により、産業としての農業を強くする方針が取られ、1999年に新基本法が制定。

2013年~農業の成長産業化路線がスタート = 地方創生としての農政

21世紀になってからも東京圏に集中。結果的に利益が地元に落ちるためには地域内発型の事業が必要との事に。2014年以降、若年層ほど地方への移住願望は高く、コロナ発生後はその傾向が高くなる。移住願望はあるが、地方には「良質な仕事がない」との認識がある。

地方に若者が付きたい仕事を作る事がテーマになり取り組んできた。

人口減少、食料貿易情勢の変化、デジタル化、脱炭素化が大きな流れ。

2030年には7割が大規模事業者によって担われる見込み。リタイヤした農家の農地をどう利活用するか、経営資源の承継が大事になってくる。日本公庫では関係方面と連携してマッチングに力を入れている。

農産物の輸出は海外の需要拡大、世界的な価格上昇、日本食材の認知度向上が大きい。アメリカは輸出よりも輸入の方が大きい。

世界中同一の品質で安い日本となっている。日本は発展途上国並み以下。農産物輸出の拡大は南九州・北海道でも成長を引き上げる試算。

ロボット化による自動化だけでは農業の衰退を招く。メーカー任せではなく主体的に農家が関わる事が大事。経営効率を高める農業法人も出ている。

ベンチャー企業が農業支援を行うケースも増えてきている。

農薬・化学肥料は世界で1番多く使っている国の一つ。中長期的な環境対策が求められる。いよいよ地方創生の条件が整いつつある。

事例紹介

地域における持続可能な稼げる農業の取組み

【パネリスト】

  • 佐藤 義貴氏  株式会社アグリ・コーポレーション 代表取締役
  • 前田 佳良子氏 セブンフーズ株式会社 代表取締役

前田.17年前に父から会社を引き継ぎ、座して死を待つか討ち死にするか考え、後悔しない道を選んだ。規模拡大を20倍にしたが危ない状況にもなったが、何とか支えて貰って創業50年を超えて法人化したところ。

持続可能な資源循環型の農業を目指して養豚と野菜の生産の食品サイクルループを目指している。

佐長.関西で販売ルートを持ち、2019年に商社と連携。全圃場が有機認証を取得し、安納芋、大麦小麦を栽培し、自社工場でペースト加工と商品開発など大手との取引を行う。ベビーフードも取引頂き、赤ちゃん向けに有機栽培した商品作りを行っている。五島ではかんころ餅があり、商品化を行っている。

圃場は三井楽にあり、1500haの農地があるが、耕作放棄地が600haがある。2050年にはオーガニックをプラットフォームにした街づくりをしたいと思っている。耕作放棄地を解消し、住居がない課題を空き家再生で増やしている。産地で一次加工を行い、5億円を投資して食品工場を設立し、規模拡大の成長エンジンになっている。

司会.稼げる農業について、具体的な取り組みは?

前田.養豚から出る堆肥を完熟化し、食品工場と連携して肥料にして循環させている。現在では30社と取り組みを継続している。飼料工場を持つことにより、国産の資料米や独自のエサを作る事が出来るようになっている。飼料価格がよそよりも低い事が強み。

使えるモノは使う精神で優良なエサが作れるようになっている。今はどこからも支持されるものが作れている。

佐藤.栽培製造を現地で行い、製販を分けてプロフェッショナルな人材を採用するシステムを組んでいる。有機サツマイモを4000トンのビジョンを持っている。五島かんしょ研究会を作り、5社が加入。2030年が分水嶺になると思っている。目指すべき姿、取り組むべき事を丁寧に考えている。すぐ倍増できる面積になるだろうと動いている。地域の生産農家を含めて4000tを考えている。産地化のための組織的な活動が大事だと思っている。出口戦略も考えており、規格ごとに出口を変えている。規格外品をペーストに変えて、より儲かるためのビジネスモデルとして確立させている。

榎戸.巻き込む力があるんですね。

佐藤.得意分野で勝負をしていきたいと思っている。

榎戸.必要な事は?

前田.15年ほど活動しているが、生産技術も掘り下げて勉強会をしている。今県内は資料米農家のパートナーがいる。堆肥もループしている。生産者の皆さんが収穫時に研究会に参加する形になっている。九州・地元で地方創生に繋がれば良いと思っている。

佐藤.11年で当社が五島にしみ込んできたな、という感覚があるので有機農業をどうサポートしていくかが大事になると思う。有機のさつまいもを作る事や、全量買い取りによる雇用に繋がると思っている。耕作放棄地の解消・空き屋といった地域資源の解消に繋がると思っている。有機さつまいも以外にも声が出てくる中で、移住して農業をしたいという人に対して貸出しを行うサイクルが出来てきている。

榎戸.皆様へのメッセージを

前田.食の安全保障が国民的な議論になっている。今は探してもものが見つからない時代。農業であると考えている。今から挑戦したい人、大変だと思うがやりがいはあるので挑戦してほしい。熊本地震があったが価値観が変わった。食こそが命を繋ぐものなので、ぜひ農業界の扉を叩いて欲しい。

佐藤.関西から五島に来たがまだ11年。成長するためには自分自身の努力が前提条件だが、周りの環境が大事だと思う。農業は私が始めたころよりも、やりやすい環境になりつつあるので、他と一緒に協業がしやすくなっているので一緒にやっていきたいと思っている。