6月1日、デジタル田園都市国家構想基本方針(案)が発表されました。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digital_denen/dai8/gijisidai.html
本日は、地方政治にどのような影響を与えるのか、分析します。
新型コロナと地方創生
2014年から政府は地方創生を掲げ「東京一極集中の解消」を目指した取り組みを行ってきました。
地方では、「まち・ひと・しごと総合戦略」の策定が義務付けられ、総合戦略として市町村の最上位計画に位置付けられました。
ところが、中々思うように一極集中が解消されることはありませんでした。
こうした中、コロナの影響もあり、
2021年、転入者数が最も多かった都道府県は「東京都」で42万0,167人。一方で転出が最も多かった都道府県も「東京都」で41万4,734人。転入した人から転出した人を差し引いた転入超過数はマイナス5,433人で、東京都では人口減を記録しました。
2021年、東京都からの転出者が向かう先で最も多かったのは神奈川県で9万6,446人。ほか埼玉県が7万8,433人、千葉県5万8,485人と続きました。コロナ禍、何かあれば都心に行けるような郊外が好まれています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e8b0621b565b5c2c9dd5f3fb19675b1a12c2de82
とされています。こうした事から、
新型コロナという外部要因によって大きな弾みになったものの、まだまだ首都圏が選ばれる傾向
であることに変りはないのが現状です。
従来の「まち・ひと・しごと総合計画」との違いは?
こうした中、地方創生(人口の一極集中解消&地方の活性化)を加速するために、政府はデジタル田園都市国家構想を掲げています。
その中で、デジタルの力を活用した地方の社会課題解決として
- 地方に仕事をつくる
- 人の流れをつくる
- 結婚・出産・子育ての希望をかなえる
- 魅力的な地域をつくる
- 地域の特色を活かした分野横断的な支援
を掲げています。①、➂~➄は従来から進めてきた政策と変わりないと感じます。
大きな違いは、②の中で「転職なき移住」を積極的に推進している点です。2014年からの振り返りとして増田氏が述べているのは、
まず、仕事から、地方での仕事づくりということがあって、そのために人の流れ、地方移住をつくろうと、まち・ひと・しごとを逆にして、仕事、それから人の流れ、そして、面的に、町、魅力的な地域をつくっていこうと、こういう戦略で取り組んできたわけですが、入り口の地方での仕事づくりというのが、非常にハードルが高かった。
と述べられています。「転職なき移住」により
転職をしなければならないというところが非常に難しかったのですが、転職なき移住が、今回のこのコロナを経験して出てきた。
という事です。
東京一極集中の解消に繋がるのか?
それでは都会で働く社員が、東京の会社に席を置いたまま、地方移住を進めて活性化に繋がるのでしょうか?
政府はそのための受け入れ態勢を整備するために、
- ハード・ソフトのデジタル基盤整備
- デジタル人材の育成・確保
- 誰一人取り残されないための取組
を行う方針を示しています。
問題なのは、結局の所、地方がデジタルを使ってどれだけ自力で人材を確保しながらやっていけるかという点ではないかと感じます。
補助金や総合計画の作成に縛られていては、結局はハコモノを整備してデジタルを活用できる人材が育ちませんでした、という結果になりかねません。
ハードやソフトの基盤整備は、予算さえあれば実現可能です。
デジタル人材の育成・確保を如何に行う事が出来るかが、全国的な課題となるでしょう。