本日は、書籍の紹介です。
こんな人におススメ
本書は、こんな人におススメです。
- 資本主義社会の抱える問題点を世界的な観点から知りたい
- 現在主流になっている環境政策SDGsの問題点を知りたい
- 地球環境の改善に向けたアクションを起こしたい
- とはいえ、資本主義以外の選択肢ってあるの?
私自身、政治活動する中での「もやもや」があったので、大変勉強になりました。
なぜ資本主義は限界なのか?
資本主義の限界が紹介されていますが、私なりの言葉で説明すると
- 不平等だから
- 環境への負荷が高すぎるから
の2点が大きいと感じました。
考えてみれば当たり前の事ですが、際限のない成長を目指す社会は、持続可能性が低いと言える状況です。
不平等
グローバル化した経済では、大量生産・大量消費の裏側で多くの人が低賃金や劣悪な状況での労働を強いられています。
私たち日本人は、どちらかというとその恩恵を受ける側の立場であるため、実感は薄いかもしれません。
一部の資本家数人が持つ富の量と、最下層何十億人の持つ富の量が同じであるというのは、非常に歪な社会であるとも言えます。
さらに悪い事に、新型コロナの影響で、益々その格差は大きくなっています。
こうした状態を指し、筆者は
資本による包摂が完成してしまい、技術や自立性を奪われ、商品と貨幣の力なしには生きられない
状態に陥っていると述べています。
環境への負荷
これも見逃せないポイントですが、現代の資本主義は環境への負荷が高く、修復不可能な破壊が深刻に進んでいる状態です。
そして厄介な点は、環境への負荷を「別のどこか」に押し付ける事により、問題を先送りしているという構造です。
環境問題で言えばゴミの問題が一番分かりやすいですが、どこかで排出されたゴミは漂着ごみや大気汚染物質となり、地球上で厄災をもたらすタネになります。
どんな打開策が有効か?
こうした状況を打開すべく、近年しきりに提唱されているのがSDGsですが、本書では「解決策にならない」と指摘されています。
グリーンニューディールの罠
太陽光や風力発電と言った再生可能エネルギーは最大限導入すべきとの立場ですが、それだけでは根本的な解決にはならないと指摘されています。
なぜなら、経済成長を良しとする私たちの生活スタイルそのものが変わらない限り、トータルなエネルギー量は減らないからです。
それだけでなく、再生可能なエネルギー設備を作成する過程においても、大量の資源開発が必要とされます。
経済成長を目指す限り、この開発は止まらず、資源の採掘に伴う環境への負荷は減る事がありません。
ジオエンジニアリングの罠
ジオエンジニアリングとは、科学の力で環境を制御する手法の事です。
が、これも前述の通り、問題をAからBという別の場所に移す(外部化)だけの効果しかありません。
これらの手法の問題点は、従来の手法からの
大転換を要求する裏で、資本主義を必死に維持しようとしている
点だと指摘されています。
どんな取り組みをすれば良いのか?
本書では、「脱成長コミュニズム」という概念がマルクス研究から紹介され、
晩年のマルクスが唱えた説に基づく社会の在り方が提示されています。
中でも、紹介されているアクションプランは大変有益でした。
- ワーカーズコープ(協働労働)に参画する
- 有機農業を始める
- 環境NGOに参加してみる
- 地方議員を目指してみる
など、身近な所から始められそうな活動の紹介がありました。
中でも、食の生産を取り戻すという部分から始めるのが一番手っ取り早そうに感じました。
私はまず、小さな畑から自然栽培を始めてみたいと思っています。
都会も地方も資本主義経済
私も大学を卒業してから、社会経済の本を読んだりする中で、資本主義が持続無理そうだと感じていました。
感覚的に、都会の生活はちょっと肌に合わないと感じて、自然が豊かな田舎に移住する人も増えつつあります。
五島はそういう点では、大変魅力的な場所です。
ただ、島に住んで5年で思うのは、やはり地方もガッツリと資本主義に取り込まれているという事です。
- 大型のショッピングモールやコンビニがあり
- スマホでゲームや動画を閲覧し
- 化石燃料がないと生活が出来ない
そんな島です。そうした中で、最近は
資本主義の土俵から降りない限り、地方に豊かさは訪れないのでは?
と感じるようになりました。
島の経済は「穴の開いたバケツ」と言われますが、幾らお金を稼いでも、島外に流出する構造です。
そうした構造を少しでも埋めるべく、地方から新しい経済の在り方・社会の在り方を模索していきたいと思います。