チョイソコのビジネスモデルとメリット・デメリットの解説

チョイソコってどんなサービス?

持続的なビジネスモデルなの?

こうした質問に答えます。

持続可能な地域交通を考える上で、ヒントとなれば幸いです。

私はチョイソコサービスが導入されている五島市で市議会議員をしています。

チョイソコ関連の議案についても多面的に審議しています。

本日は、市議会議員の観点から、チョイソコのメリットやデメリットを紹介します。

チョイソコとは?

チョイソコを運営するアイシン精機の資料によると、

  • 地域の交通不便を解消し、主に高齢者の外出促進に貢献するデマンド型交通サービス
  • 高齢者の健康増進につながる外出促進の“コト”づくりを推進。
  • 日本流MaaS発展に向けたプラットフォーム

とされています。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/sankankyougikai2019/mobility/dai1/siryou6.pdf

背景

デマンド型交通の需要が高まる背景には、

人口減少と高齢化に伴う買物弱者の増加

が挙げられます。

  1. 人口減少により地域の路線バスが撤退・縮小し
  2. 高齢化により免許返納するケースが増えている

ため、全国的な課題となっています。

私が住む五島市も例外ではなく、車がないと買い物に不便します。

チョイソコのビジネスモデル

チョイソコのビジネスモデルは、

民間企業が事業主体となり、エリアスポンサーによる協賛を得る

形です。

チョイソコにとっては、「自社でモノを持つ必要がない」点がメリットとなります。

これにより、

  • 在庫(車)のランニングコスト
  • 運行に伴うスタッフの人件費

を浮かす事が出来ます。

在庫を抱えず情報の仲介だけを行うという点で、UberやAirbnbと同じモデルです。

市町村負担が3分の2以上

ただし、収入の大半は利用料ではなく、協賛金の割合です。

五島市の場合、利用者が支払う金額は1回300円と超格安です。

その分、運行に係る足りない経費に関して、自治体や協力企業が負担する事になります。

自治体の協賛金がなければ成り立たないビジネスモデルだと言えます。

https://project.nikkeibp.co.jp/atclppp/PPP/052500076/021800026/?SS=imgview_ppp&FD=1421851125

チョイソコのメリット

一番のメリットは、住民の交通課題の解消に繋がる点です。

しかも利用者からすると格安で利用する事が出来るので、

ニュースでも救世主的に取り上げられています。

https://nordot.app/684402381645317217

チョイソコのデメリット

五島市での実証実験の際は、

  • 携帯電話を保有していない住民が外出したときに電話予約ができない
  • 電話予約の方法が分からない
  • 富江半島地区の住民が対象となっており周辺の住民が利用できない
  • 午前8時から午後3時までの運行時間を延長してほしい
  • 本土との電話代が負担となる
  • ゴミ収集ボックスまでしか来てくれないので困る

といった声が寄せられました。

チョイソコの将来性

持続性

自治体が多くを支出しているとは言え、自治体の側も地域交通をどうにか維持しなければいけません。

従来の路線バスを維持する経費や、住民の移動に対する利便性を考えると、

自治体が他の課題解決方法を持たない限り、持続性が見込めそうです。

今後の発展性

アイシン精機が提供するデマンド型交通サービス「チョイソコ」は、

2021年1月時点で全国13地区で展開されています。

高齢化が進展する事は避けられず、高齢者の買い物ニーズは高まる事から、

今後も全国の自治体で導入の流れが進みそうです。

ビジネスリスク

次に、チョイソコが抱えるビジネスリスクを検討します。

自治体の理解

ビジネス展開に当たっては、協力金を負担する自治体の理解が一番重要なカギとなります。

全国的には、「導入に前向きな自治体」から先行して実証実験が進められています。

協力金を負担する自治体に対しては、丁寧な説明・費用の根拠が必要となります。

地元の理解

地元の運行業者が主体となるので、当然のことながら地元の理解がないと普及は進みません。

五島市の場合、最初は「交通空白地」である富江で実証実験がスタートしました。

ところが、次年度からすぐに「他の運行事業者が存在する」地域まで拡大しそうになったので、

私たちの会派で異議を申し立てました。

他の運行事業者からすると、1回300円の競合が現れたら、勝ち目はありません。

導入に当たっては、地元の運行事業者に対する合意・配慮が求められます。

規制緩和

現在は法律の壁で参入障壁が高いライドシェアですが、今後の法律が緩和され

いわゆる「白タク」が認められるようになった場合、

ライドシェアを手掛ける海外勢との競争にもなります。

技術革新による「移動ニーズ」の減少

5Gの普及により、遠隔医療や遠隔操作、自動運転技術による宅配サービスの普及が見込まれます。

そうなったとき、

住民の移動のニーズ

そのものが減少する可能性もあります。

まとめ

最後まで記事を読んで頂きありがとうございます。

地域交通課題を解消するサービスとして自治体の間で普及が進むチョイソコですが、

自治体からの協賛金に頼っている収益構造や、事業環境の変化などのビジネスリスクを抱えています。

導入する自治体の目線では、

住民にとって本当に持続可能な交通になり得るのか?

を考慮し、

「AI」や「デマンド型」といった言葉に踊らされず、

採算面や技術動向、他の選択肢も視野に入れながら、

慎重に導入の是非を検討していくべきだと思います。

最悪のシナリオ

  1. 自治体がチョイソコ導入を決定し、補助金をつける
  2. 地域内の他の運行事業者の経営が悪化し、倒産する
  3. チョイソコが事業環境の変化により、地域から撤退する
  4. 交通サービスを担う地域の事業者が0になる

自治体としては、このシナリオは避けなければいけません。

 

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