コロナで色々問題があったけど、どうして地方分権が進んでいないの?
そもそも、地方分権と地方創生の違いってなに?
このような疑問に答えます。
この記事を読むと、「地方分権・地方創生を進めるキーポイント」が分かると思います。
目次
(そもそも)地方分権とは?
選挙ドットコムによると、地方分権には6つの目的があるとされています。
①資源分散
②少子高齢化への対処
③中央政府の負担軽減
④地方と国が対等に
⑤財源の付与
⑥責任の明確化
https://say-g.com/decentralization-369#i-2
こうした目的を達成するために、地方分権は、第1次地方分権改革と第2次地方分権改革がありました。
第1次地方分権改革(1995~2001年)
従来、国と地方は「上下主従」の関係でした。
地方は「国の下請け仕事(強制的)」の割合が高く、「地域の自主性」が低い状態でした。
そのため、1995年5月に地方分権推進法が制定され、
- 機関委任事務制度の廃止
- 国の関与の抜本的見直し
- 権限移譲
が行われ、国の関与が減らされる方向性になりました。
https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/doc/st_05_dai1ji-kaikaku.pdf
さらに第一次改革の際、地方自治法1条の2に
地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く狙うものとする
と示されました。
と思いきや、第1次改革ではまだまだ不十分な点が多かったとされます。
第2次地方分権改革(2006年~)
第1次改革で「国と地方の関係性」が見押されましたが、実際の現場では「大きな変化が見られなかった」事も指摘されました。
その原因として大きかったのが、「法律の縛り」です。国が定めた法律には、
「自治体は××の事務を行わなければならない」
「××の事務を行う場合は△△の方法で行わなければならない」
など、全国一律に定めた基準が存在していました。
これでは、まだ国の仕事が沢山あるゾ!!
法律が厳しくて、地域のためになる条例が作れないゾ!
こうした事から、更に地方分権を推進するために、
- H23. 地方分権一括法(地域自主性一括法)
が制定され、法律の義務付けが見直されました。さらに継続的に法案が毎年提出され、
- H25. 第3次一括法成立
- H26. 第4次一括法成立
- H27. 第5次一括法成立
- H28. 第6次一括法成立
が行われました。時系列でみるには、こちらの資料が参考になります。
https://www.cao.go.jp/bunken-suishin/doc/jirei30_h27_hyoshi_4.pdf
地方分権から地方創生へ
安倍政権になり、アベノミクスの第三の矢として「成長戦略」が登場しました。
その中で「地方創生」が語られ、「地方こそ、成長の主役」というキャッチフレーズが叫ばれました。
この流れの中で、2014年9月に第2次安倍改造内閣が発足し、新たに地方創生担当大臣が任命されました。
そして同じ月に「地方創生法」も成立しました。
地方創生法の「新たな努力義務」
地方創生法では、
- 都道府県と市町村は「地方創生総合戦略」の作成を求められ
- その策定にあたっては、国の「地方創生総合戦略」(閣議決定)を勘案し
- 「地方人口ビジョン」も作成した上で検討すること
とされています。都道府県知事にはさらに、域内の市町村長に対し、同様のものを策定するよう求めています。
確かにこの規定は、命令であって努力義務にすぎません。
しかし、「国から都道府県さらに市町村」というトップダウンの方式のため、「地方分権とは異なる流れ」との指摘もあります。
地方創生が進まない理由
前置きが長くなりました。
ここからは、「ニュースバー橋本」を参考に、地方創生が進まない理由を解説します。
https://abema.tv/video/episode/89-77_s10_p91
なぜ今、地方分権?
福岡市長の高島氏は、今回のコロナ騒動を受け、
病床数のように、リソースが地域ごとに違うのに、(国が)一律の指針を出せる訳がない。
と述べ、国が全てを決めきれる問題ではないと述べています。その上で、
「地方でやるべきこと」は地方でする。仕事の整理する必要がある。
と述べています。橋本氏も同様に、
今は国が全てを管理しようとしているから、パンクすると思う。
と述べています。その上で、
全国の知事・市町村長の力をフル活用するような動かし方をしたもらいたい
と述べています。
それではどうして地方分権が進まないのでしょうか。番組で紹介された理由を2つ紹介します。
理由1. 憲法の壁が高いから
憲法94条には
「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。」
とあります。
橋本氏は、規制緩和を進めるために、「法律の範囲内で」の部分を変える必要があるのではないか、と提案しています。
例えば、
「法律の範囲を(多少超えてでも)条例を創る事が出来る」
となれば、地方独自で新しいアイデアや仕組みを作る事が出来ます。橋本氏は、
全国のやる気のある首長に、(ルールを)変えてもらうような仕組みにしなければ、改革は無理
と述べています。
理由2. 国が「最適化ボタン」を押していないから
高島氏は、
地方分権が良いだけではなく、中央に仕事を戻した方が良いものもある。
と述べた上で、実例として
- 住民票のフォーマットは地方任せであり、統合した方が良い
- 罹災証明のやり方が地方でバラバラ。国がフォーマットを決めた方が良い
という点を挙げています。
こうした点は、デジタル化と合わせて最適な方法を導入すべきかもしれません。
道州制の導入は?
従来の県という単位は、交通網が今ほど整備されていない時に決められた区切りです。
現在は交通が発達し、県との移動時間が格段に速くなっています。
そのため、同州という単位で考えでやっていくべきだとされていますが、
トリガー(きっかけ)がない状態。
です。
道州制が導入されると、「県の職員や知事・議員」という立場もなくなるため、政治的なコストも大きいです。
広域連合の話も出ましたが、中々改革に踏み切る動機付けがない、というのも大きな要因です。
地方行政に大きな影響を与えたレポートの紹介
より詳しく知りたい方は、こちらの書籍がおすすめです。