本日は、3月25日に発表された
「行財政大綱」へのコメントです。
https://www.city.goto.nagasaki.jp/s004/020/010/010/020/010/050/20200312.pdf
項目が多いですが、都道府県を旅する感覚で47項目をザーッと俯瞰し、コメントをしてみます。
目次
取り組むべき課題(主要推進項目):1)市民との協働推進
1.市民に「分かりやすく優しい窓口サービス」の推進
窓口サービス満足率 85%→87%
とありますが、殆ど誤差みたいな数値ではないでしょうか??
「漏れなく・早く・簡単に・分かりやすい」窓口の実現を目指して
とありますが、個人的には、「コンビニとは真逆」の、スローな窓口の方が、高齢者にとっても親切だと感じます。
2. 市税等のコンビニ収納の導入
短期的には利便性が向上しそうですが、二次離島や玉之浦など、コンビニがない地域もあります。
後述のマイナンバーと合わせて考えれば、
そもそも市民が「納税」しなくても、
自動で口座から引き落とされるのがあるべき姿です。
3. 「福祉・子育て・こころの総合相談窓口」の開設
現状からの変更点として、
相談窓口が内容ごとに各部署に分散 → 相談体制の構築(連携・充実)
とありますが、福祉や子育てだけに限らず、全般的に「窓口でのたらい回しは辞めてほしい」というのが、市民の方からよく伺う声です。
4.マイナンバーを活用した新たな行政サービスの提供(普及促進・有効活用)
五島市のマイナンバーカードの交付率は18.3%
(令和元年12月末現在)で、交付率が低い状況であ
る。
これを令和6年までに100%目標としていますから、かなり野心的な目標です。
しかし、具体的な普及の方法が見えないので、検討する必要があるでしょう。
5.「AIチャットボット(自動応答)」を活用した相談窓口の導入
実施項目の「1」では、「市民に優しい窓口」を目指す方針のように見えますが、ここでは「無人窓口」を想定していますので、結局はどうなるのでしょうか?
AIは24時間稼働できますが、「市民の目線」に立てるのは「市民を想う市民」だけです。久賀島の実証実験のように、「導入したけど利用されない」事を避けるための検討が必要です。
6.税金・公共料金等のキャッシュレス(電子決済)の導入
これも実施項目「2」との整合性確認が必要です。「6」が完全に実現できれば、そもそもコンビニは必要ない気がします。
7.安全で安心なまちづくりの推進(ICTを活用した緊急情報伝達システムの構築)
ここでは、スマホアプリである「インフォカナル」の数値目標を1391→3000に高める目標としています。
しかし、私もIT出張をしていて痛切に感じるのですが、多くの高齢者はスマホを持っていません。
そして危機発生時のリスクが高いのは、こうしたスマホを持たない高齢者(郡部の率が高い)です。
自助力向上のためのICT利用促進は、山間部へき地に住む高齢者向けの対策には成り得ないという点への留意が必要です。
高齢化率の高い五島で必要なのは、「スマートな自助力」よりも「地域での共助力」です。
8.ICT教育の推進による学力向上
現在の普及状況は
- ICT利活用率(6.3%)
- デジタル教科書活用率(100%)
- 全学テ正答率 (95.9%)
とありますが、今回のコロナ対応では、小学生への「プリント宿題」が配布され、それを「教員が巡回して回収する」という盛大なアナログ仕事が行われました。
本質的には、ICTの普及は学校内ではなく、学校外に拡張されるべきです。
そうすれば、物理的な空間である学校への通学の必要性がなくなるはずです。その辺りも含めた、抜本的な教育改革が求められています。
まとめ
「No1~No8」を見る限り、「ボトムアップ的な改善」と「トップダウン的な業務革新」が混在しているように感じます。
そのため、
- 「窓口を優しく VS 無人の窓口」
- 「収納のコンビニ化 & 市税のスマホ化」
- 「ICTの普及 & 自宅でのプリント宿題」
など、重複や対立が生まれている状況です。
地道な改善も、将来への種まきも大事です。
ただ、計画全体を見た時に、
どこに着地点があるのか?
を示すことは大切です。
グランドデザインというか、これらの業務が完全に達成されたときに、島がどうなるのか、その部分のビジョンが必要です。