五島で「令和の財政改革」を!

五島市の財政

本日は、市政を考える上で避けては通れない「お金の話」です。

まずは「五島市の財政」を簡単にご紹介。

広報ごとう より

中でも注目なのは、「自主財源比率」です。

地方交付税交付金と国庫支出金は国からの税収であり、県支出金は長崎県からの税収です。市債は借金で、これらは全て「依存財源」と呼ばれます。

一方で、市独自の収入である「市税」が約1割、「その他」が1割弱となっているため、「自主財源」は2割以下という状況です。

一方で、使うお金はこちら。

【割合が多い歳出トップ5】

  1. 民生費:子供や高齢者、障がい者福祉などの経費
  2. 衛生費:ごみやし尿の収集・処理などの経費
  3. 総務費:市の内部管理や選挙、税の徴収などの経費
  4. 農林水産業費:農業、林業、水産業の振興などの経費
  5. 教育費:学校、文化振興などの経費

これらの殆どは、「容易に切り捨てられない社会福祉的な側面」が強いものが殆どです。(総務費はITを活用して中間コストを減らすことができそうです)

合併当初からの課題

実はこの、「自主財源比率が低い」ことに象徴される五島市の財政問題は、合併当初から抱えていました。

今から10年前の2009年3月の議会における椿山議員の質問では、

俗に言う自主財源、これが47億4,035万7,000円なんですね、全部で。17.6%ですよね、予算に占める割合が。

俗に地方自治は、3割自治という言われ方をします。

五島市は、2割を切っているんですよ、もう。自主財源がですね。

実はずっと前の議会で申し上げましたように、夕張市よりも自主財源の率も悪かったし、すべての数値が悪かったんです。

さらに2009年6月の議会で網元議員は、

スタートのときの議会(2005年)で、五島市は全国の市で3番目に財政状況が悪いと、ワースト3ということをこの議場で申し上げましたことがありました。

本当にもう来年度の予算が組めない状況の窮地に立ち入ったことがございました。

と述べています。

国におんぶに抱っこ

こうした状況で問題となることを、中尾前市長が2009年6月の議会で述べています。

本当に五島市は国の交付税におんぶされているところがとても多いのでですね、どうしても国の決まりを逸脱できませんね

よその地区は、80%、130%という自主財源を持っているんですね。

生活費の100%以上に自主財源があるところなどは、本当に独自の政策が打てますけど、

うちはやはり80%国にお世話になっているわけで、国の通達の枠の中で工夫をするということが、まず第一義だと思いますので、御理解いただきたいと思います。

つまり、自治体独自の政策がしづらく、国の意向に従わざるを得ない、という状況です。

その構造は、令和の時代も構造的に変わっていません。

減らされる交付金

そうした状況の中、今後は国から支給されるお金は減らされます。

五島市の第三期中期財政見通しによると、

普通交付税の合併算定替の段階的縮減が、27年度から31年度まで5ヶ年かけて実施され、32年度には一本算定となります。

段階的縮減による減少額は約15億円となる見込みです。また、33年度には、国勢調査による人口見直しによりさらに減少が見込まれます。

合併算定替とは、分かりやすく言うと、

合併に伴うボーナス支給期間

のようなものでして、段階的に減らされ、令和2年からこのボーナスがなくなります(一本算定)。

さらに、合併特例債という有利な借金も期限が切れます。

https://nakanishidaisuke.com/2018/06/25/gomi/

そうした状況で、ボーナス期間の期限が迫っていることもあり、今の五島市は増税前の「駆け込み需要」的に、大型の建物建築を進めています。

  • 大浜ゴミ焼却場の建設
  • 市役所庁舎の建て替え
  • 緑ヶ丘小学校の建て替え

など。

そうした中で、「自治体と国」のお金の流れが変わっている状況も紹介します。

変化①. ふるさと納税

全国の自治体を見ると、国の財源に頼らずにガムシャラに資金調達に走り、かえって「交付金額を減らされた」自治体があります。

その一例が、ふるさと納税で話題の泉佐野市です。

https://www.sankei.com/west/news/190415/wst1904150022-n1.html

泉佐野市の手法(ルールの逸脱とも取れるなりふり構わないやり方)を巡っては、賛否両論があります。今後は、

6月から始まるふるさと納税の新制度の対象から外れる公算が大きい

とあるので、財源調達が不透明な部分もありますが、

国の財源に頼るだけが唯一絶対の方法ではない

事を示した好事例だと思います。

変化②. クラウドファンディング

最近は注目度も上がってきているので、説明は不要かと思いますので、事例を三つ紹介します。

一つは五島の高校生が100万円以上を集め、「ドローンを活用したレース・海ごみ課題」に取り組む事例。

https://www.makuake.com/project/gotone/

もう一つは五島市で「映画館」を作ったり「写真のストックサイト」を作ったりする「ガバメントクラウドファンディング」の事例。

http://www.city.goto.nagasaki.jp/contents/city_ad/index005_3.php

さらに、もう少し規模の大きな話で言えば、図書館も建てる事例があります。(キングコング西野さんの事例)

https://silkhat.yoshimoto.co.jp/projects/103

集まった総額はなんと62,561,500円。

スゴイですね。

余談ですが、今現在、五島市は公的なお金を投じて図書館建設に向けた会議を行っていますが、図書館建設は過去に何度も

五島市の財政状況・身の丈に合っているか!?

と批判を受けて、頓挫しています。そして今の財政状況を考えれば、同じ批判は成立します。

さらに言えば、限られた予算の中で「市民全員が満足する図書館」なんて、事実上建設不可能です。

それだけ価値観が多様化しているのだから、従来のように、「最大公約数的なハコモノ」には、人も集まない気がします。

それよりも、公的なマネーに頼らず、クラウドファンディングで

「飛びぬけたコンセプト」

の図書館建築を目指す方が、観光資源としての価値も高まり、交流人口の拡大に繋がります。

結論

令和の時代の五島市を取り巻く環境は、ピンチとチャンスがあります。

  • ピンチ:「国から貰えるお金」が減少する
  • チャンス:資金調達は「お上」に頼らなくても良い時代

そうした流れの中で五島市は

財源を「お上」から「支援者」に転換すべき

です。「支援者を増やそう」という取り組みは、そのまま

  • 五島のPR力の向上
  • 五島の認知度の向上

に繋がります。方法としては、ふるさと納税やクラウドファンディングが有力です。

いっそのこと、歳出部門を全て「五島市民へのサービス経費」という視点ではなく、「みんなが解決すべき課題」としてデザインし、

  • 世界のごみ処理に役立つ施設を作るので、資金を!
  • 世界のエネルギー転換に役立つ研究するので、資金を!
  • 日本の「新しい教育」に繋がる施設を作るので、資金を!

と謳った方が、良いです。

昭和の発想では、

「国からのお金」→「市民サービスに使う」

のが主流でした。ところが令和の時代は、

「支援者からのお金」→「市民+関係人口の拡大に使う」

事が主流になりそうです。

特に五島は「情報発信が苦手」と言われているので、これを達成できれば大きなチャンスです。