帝国主義
「帝国主義」という言葉を聞いて、皆さんはどういう印象をもたれるでしょうか?
植民地、19世紀、列強、戦争・・・などなど。
教科書的に言えば、
一方的に強いものが弱いものを虐げる、暴力的な装置
という印象を持たれる方が多いのではないでしょうか。
本日は、既に始まっている、新しい形の「帝国」について考えてみます。
プラットフォーマー
Google、Amazon、Facebook、Apple、といった企業の頭文字を取って、GAFAなんかと呼ばれています。詳細はこちら。
その特徴としては、何と言っても
- ユーザー数が桁違いに多い
- 企業の時価総額が桁違いに多い
ということでしょう。
こうしたグローバル企業が「帝国」と呼ばれる理由は、企業に莫大な資金が集まり、政治的なパワーへの懸念も予想されるからでしょう。
昔と今の帝国を比べると、
- 昔の帝国:「国」が主体
- 今の帝国:「企業」が主体
であり、主体が移っているのが分かります。
帝国の特徴
今も昔も変わらない「帝国」の特徴としては、
私たちの行動・考え方を変えてしまう
ということではないでしょうか。
端的に言えば、
- 知らないことはググりましょう
- 友達とはFBで繋がりましょう
- 最安値はAmazonで調べましょう
- 優れたデザインはAppleを見習いましょう
というような、「教科書的な常識」が、知らず知らずのうちに私たちに浸透していく、という点です。
好むと好まざるとに関わらず、私たちの「当たり前」はドンドン塗り替えられていきます。
ある意味で私たちは、プラットフォーマーの提供する帝国の住民であるとも言えます。
プラットフォーマー帝国
こうしたプラットフォーマーは、SNSサービスやスマホの製品、小売仲介といった、「点のサービス」を展開し、成功を収めてきました。
そこで大きな力を持ったプラットフォーマーは、更に「面のサービス」を展開していきます。
例えばAmazonの「Amazon Go」というサービスは、完全無人の店として、リアル店舗である小売店を再設計しています。
莫大な資金とデータを持つプラットフォーマーは、こうした「社会システム」の再デザインを次々に仕掛けてきます。
他の例で言えば、
- 無人の空港が出来たり
- 無人の映画館が出来たり
- 無人のホテルが出来たり
することにより、社会そのものが「面のサービス」によって変わっていきます。
彼らにすれば、いわゆる「行政サービス」に必要なデータを管理するのも、朝飯前です。
- 住民の口座を管理したり
- 税金を過不足なく徴収したり
- 社会リソースやインフラを効率的に管理したり
そのうち、「社会実験」と称して、Amazonあたりが何処かの無人島で、社会全体のサービスを提供する取組みを始めるのではないでしょうか。
プラットフォーマー帝国のイメージはこんな感じです。
- 子供が生まれる
- 電子国民として出生登録(遺伝情報はクラウド上に管理)
- 国籍・住所・婚姻・病歴・納税のデータもクラウド上に保管
- ビッグデータを基に、個人の健康サービスを提供
- ビッグデータを基に、個人のキャリアプランを提案
これを新しい形の「支配体制」と見るかどうかは意見が分かれますが、少なくとも既存のIT帝国が、「面のサービス」を社会に浸透させていくことだけは事実です。
- 無駄が多く、非効率な社会の仕組みを是とするか
- 無駄が少なく、効率的な社会の仕組みを是とするか
プラットフォーマーは、サービスの提供と供に、こうした問いかけを私たちに投げかけて来ます。