産油国でも太陽光発電
世界的な「再生可能エネルギー」ブームは、中東にも及んでいます。日経新聞の記事はこちら。
産油国も再生可能エネにシフト
記事によると、UAEのマズルーイ・エネルギー相は、
2050年までに国内電力の44%を再生可能エネルギーでまかなうという目標を達成するには年100万キロワット規模の事業を入札にかけていく必要がある
と述べているそうです。日本国内からは、丸紅やSBグループが大型の出資を行っています。
なぜ産油国が太陽光?
潤沢な石油や天然ガスを抱える中東資源国が、わざわざ太陽光にシフトする理由はどこにあるのでしょうか?
端的に言うと、
「その方が割に合いそうだから」
ってことだと思います。記事の中では、以下の3点が理由として挙げられています。
- 経済効果は国内消費<海外輸出
- 太陽光パネルの価格低下→安く設備できる
- 夏場のピーク時に役立つ→需要と供給のマッチ
ヨーロッパや米国が、CO2の削減を謳い
「環境への配慮」
を掲げているのに対して、産油国では
「経済の合理性」
といった素直な理由でシフトをしているように見えます。
産油国の本音としては、
別にやらなくても困らないけど、その方が都合がいいから(出資者もいるし)やっておくか。
っていう感じがします。
ドイツや日本が見習うべきスタンス
逆に言うとドイツや日本では、「環境への影響」と「経済合理性」の間で矛盾が生じていて、エネルギー事業を推進する状況が今後ますます苦しくなる気がします。
実際、風力や太陽光の再生可能エネルギー導入したけど、
- 電気料金が高くなり
- CO2削減量も減らない
という「誰得なんだっけ?」っていう状況が今後益々、表面化するのではないでしょうか。
(参考)【エネルギーは現在 #4】日独大失策か!?増えすぎた太陽光・風力発電がもたらす未来予測[H30/2/19]
https://www.youtube.com/watch?v=XncXlvJNEtI&t=914s
それはドイツや日本の政策が、「経済合理性」を二の次に置いて、
「わが国は、エコでやっていきます!」
っていう大義名分を掲げてしまっているからです。
「脱原発→再生エネへのシフト」
と言う短絡的な発想に凝り固まる前に、UAEやサウジのように、「経済合理性」をドライに考えてみるべきでしょう。
非産油国への影響は?
産油国にとってみれば、石油や天然ガスは「海外向け」の商品として、外貨を稼ぐための手段となります。
従来は、国内のエネルギー需要は原油で満たし、余剰の原油を海外向けに輸出していたみたいですが、今後は
- 国内消費:太陽光発電
- 海外向け:原油の輸出
という構造となり、産油国としての安定性が高まりそう、だと記事では述べられています。
ただ、だからと言って「資源を海外に依存」している非産油国の事情が好転するとは思えません。
なにしろ依然として、首根っこは海外の事情に依存しているからです。