目次
これからの電力会社の話をしよう
みなさんこんにちわ。本日は九州電力を例にとり、
これからの電力会社の生存戦略の話をしたいと思います。
原発再稼動を果たし、今後の舵取りが注目される九州電力(以下、九電)です。
本日は「九電を取り巻く環境」と、「私が社長だったら」どういう方針を採るのか、ざっくりまとめてみました。
九電を取り巻く環境 ①競争の激化
読売新聞の記事によると、2016年4月の自由化から、
- 20社以上が電力に新規参入し、
- 九電利用者の46万件(全体の7.5%)が流出
してしまったそうです。
これは「市場競争を促す」政府の目論見としては大成功と言えますが、九電から見たら会社の存続に関わるくらい大きな問題です。
顧客流出→売上減少→財務悪化→倒産
東電のような「国営企業」は別として、これが「一般的な会社」の辿る末路ですから、文字通りの死活問題です。
それとも、そのうち電力10社も国営化されてしまうのでしょうか?
九電を取り巻く環境 ②原発への反対
同じく読売新聞の記事によると、県レベル・市町村レベル・市民レベルでの反対や、安全対策強化を求める声が大きいらしいです。
県知事レベル
佐賀・福岡・長崎県の知事
→安全対策の徹底を求めています。
市町村(原発から30キロ圏内)レベル
松浦・平戸・壱岐
→再稼動の反対の決議案を全会一致で採択しています。
市民レベル
東松浦郡玄海町
→大規模な抗議活動が行われています。(参考はこちら)
九電から見れば、文字通り「四面楚歌」な状態です。
原発再稼動を祝福しているのは、地域電力の安定供給を望んでいる九州経済連合会くらいですかね。
私が経営者だったら
ざっくり言うと、大きな流れは以下の二つ。
- 競争環境の激化
- 原発再稼動への反対機運
これを踏まえて、私が社長だったらこんな方針ですね。
①料金値下げによる顧客離れの抑止
先程も紹介したとおり、顧客流出は会社の死活問題です。
電力販売は、スーパーでの買い物ほど気軽なものではありませんので、一度離れた顧客を戻すのは困難です。
市場自体も縮小していますので、顧客の奪い合いです。
しかし一方で、九電は原発停止後に「原発再稼動予定」の見積もりを誤り、電気料金の値上げ幅を少なくしてました。
結果として、原発停止後の4年間で有利子負債が1兆円以上積みあがり、現在は総額が3兆円を超えています。
原発の再稼動に伴い、収支改善効果は年間1000億円ちかくですが、現在の会社の方針は、
「料金の値下げ(顧客)」<「借金の返済(財務)」
の方針だそうです。しかし私は逆に、現在の経営の優先順位は
「顧客獲得」>「財務改善」
である気がします。なぜなら今顧客を失うことは、長期的に見た場合の売上減少に直結するからです。
私が社長だったら、まずは顧客流出に歯止めをかけるために値下げを行い、
「やっぱり大手の方が安いよね!」
という価格面での優位性を示します。
②原発の安全対策徹底と不安の払拭
価格を下げて、他社との価格優位性を保つため、原発の安定的な稼動は必要不可欠です。
まずは
「どうして安全と言えるか?」
更に
「事故の場合はどう対応するのか?」
この二つの問題に対する答えを準備すること。
更に「原発への不安」を払拭するため、県や市町村・市民団体に足を運び、客観的な事実を踏まえた丁寧な説明を行います。
これは根気の要る作業でしょうが、一人一人の納得・合意が得られなければ、原発がどれだけ安全で効率的な供給源であったとしても、意味がありません。
記事を書いた1週間後、
「九電、原発理解へ新組織 7市1町と意思疎通」というニュースがありました。
やはり住民や地域の方々の理解が大前提ですね。
③給与のカット
現在の九電の給与水準は、平均的なサラリーマンよりもかなり上の水準ではないでしょうか?
参考記事はこちら。
ましてや、「原発反対!」が市民の最大公約数であるならば、公共事業を担う社員の水準としては高すぎる印象です。
九電の利用者に対して、
- 原発再稼動に伴うコスト減少を
- 顧客への料金低下につなげ
- 財務体質を改善にも勤めている
ことを示すために、社員の給与カットを行う必要があると思います。
まとめ
いかがだったでしょうか。
九電を取り巻く環境は、市場競争が激化し、原発の再稼動を巡っては反対運動も大きいため、一段と厳しさを増しています。
そのため、
- 原発を安全に稼動している事実を市民に示し、
- その恩恵を価格転化して市場競争に打ち勝ち、
- 財務改善に向けて給与水準を下げる
ことが、生き残るための有効な戦略ではないでしょうか。
一番の理想形としては、市民に対して、
九電さんはちゃんと安全に原発を稼動して、安い電力を安定的に供給してくれるよねー。
っていう印象を持ってもらうことではないでしょうか。