五島市の台所事情
毎月発行されている五島市の公報雑誌「まるごとう」の10月号に、「五島市の財政事情」と題されたコラムが掲載されていました。
4ページも渡り五島市の財政事情が紹介されていたのですが、今回はそんな内容の一部をご紹介。
財政指標は問題なさそうだけど。。。
紙面の後半では、なにやら聞きなれない財政の指標が紹介されています。
要点をまとめると、
- 五島市が抱えている借金の割合は減少傾向
- 五島市の借金残高は他の21市町村と比べて上から5番目
- 経常収支比率は改善してます
- 実質交際比率は改善してます
- 将来負担比率は改善してます
であると述べられています(細かい説明は割愛)。
庶民感覚からすると、
(よくわかんないけど、改善してるから問題ないのかな?)
と思えそうですが、果たして本当にそうでしょうか。
問題は五島市の財政力指数
上記の指標の一つである財政力指数については、
標準的な行政活動を行うために必要な財源を、どの程度自力で調達できてるのかを見る指数です。
と紹介されています。五島市はこの指数がずーっと低い状態です(長崎県HPより抜粋)。
要するに、自主財源の確保に向けた取り組みが、ずーーっと放置されていると言うことです。上記の指標に対する分析として、
人口の減少や全国平均を上回る高齢化率に加え、離島という地理的に不利な条件により産業立地が困難なことから市内に中心となる産業がないため、財政基盤が非常に弱く、類似団体の平均を大きく下回っている。
などと紹介されています。更に分かりやすく、市の財政事情を一般家庭に例えてみましょう。
収入は、五島太郎さん(五島市)や妻の給料では全体の19%くらいしかなく、親からの援助に頼る割合が大きくなっています。
支出は、医療費やローンの返済、子どもへの仕送りなど節約が難しい経費が大きくなっています。
つまり、おじいちゃんの面倒を見るだけで精一杯、だから親の仕送りに頼っている、という現状です。
冷静に考えてみると
これってヤバイですよね?
親に嫌われたり喧嘩したら、仕送りが途絶えるって事ですよね?
2割程度の仕送りが途絶えるなら、まだなら何とか我慢できますが、五島市の場合は稼ぎが支出の2割です。
親のすねをカジルどころか、未だに親にオムツを替えてもらっているような状態です。
だから国に対しては、圧倒的に不利な立場(=物申せない)にあるわけです。
五島は特にこの程度が著しいのですが、全国を見渡してみても、構造的には同じで、「大同小異」であることが分かります。
交付に頼らない自治体はわずか4%!?
この地方交付税交付金、『地方間の格差を是正するために、国が国税として徴収したお金を地方に再分配する』制度ですが、要するに全体を平等化するための制度です。
そして多くの自治体は、この交付金を国から頂いており、それに頼らない「普通交付税不交付団体(財政力指数が1を上回る自治体)」は全国で67団体です。
これを全国の総数(1765団体・平成29年度時点)で割ると、
たったの4%に過ぎません。
つまり、都市への一極集中(ヒトとカネ)と言う現象によって生じた経済活動の利益は、巡り巡って「地方への予算の再分配」という構図が全国で生じているのです。
都市で落ちたお金を、国が地方に戻している訳ですね。
言い換えると、95%以上の自治体は、親(国)からの仕送りがないと、行政サービスを維持できないと言うことです。
国としても財政的な余裕はなく(≒ほぼ破綻)、こういった部分を削りたいという思惑も『地方創生』だとか叫ばれる背景にありそうです。
離島こそ自主財源の確保を目指すべし
『基本的な人権を尊重する』
という立場を固辞する以上は、社会保障の財源(=支出)は削れなそうです。
そうであれば必然的に、税収を増やす必要がありますが、やっぱり今までと同じようなことをしていても大した効果はなさそうに思えます。
ぐるっと世界を見渡してみましょう。
あちらこちらに「お金になりそうなこと」が転がっていますよね?
宝島の魅力を最大限に発揮できるような仕組みづくりが出来たら、自主財源の確保くらい容易だと思うのは私だけでしょうか?
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