※本記事は議会中継の文字起こしをもとに整理した議事メモです。
正式な議事録ではなく、発言の全てを反映していないほか、文字起こしに伴う誤字・数値等の誤認を含む可能性があります。正式な内容は、後日公開される五島市議会の会議録をご確認ください。
山田洋子議員 一般質問
令和8年9月議会で山田洋子議員は、主に介護、健康増進、障がいを持つ人への支援、高齢者の予防接種について質問しました。
高齢化率44%に達する五島市において、介護施設の待機状況や老老介護、介護施設での虐待、市民後見人の不足、健康寿命、高齢者向けワクチンなど、市民生活に直結する具体的な数字や課題が明らかになりました。
1.介護
議論の整理(市民に伝えるべき新事実)
- 令和8年8月末現在、五島市の人口は3万2,732人、65歳以上は1万4,408人で、高齢化率は44%。合併当初の平成16年8月は28.75%で、22年間で15ポイント以上上昇しています。
- 要支援・要介護認定者は令和8年3月末で2,824人、高齢者の19.6%。認定率自体は令和元年以降、19%台でほぼ横ばいです。
- 介護について相談できる窓口は、市直営の地域包括支援センターや各支所に加え、市が委託する在宅介護支援センターが市内10か所あります。令和7年度は60件の相談、229件の訪問実態調査が行われました。
- 令和8年4月1日時点で、ケアマネジャーが所属する居宅介護支援事業所は市内15か所。市が特定の事業所を推薦することはできませんが、地域包括支援センターでは相談内容に応じて候補を絞る支援を行っています。
- 令和8年3月末時点の施設別待機者数を単純合計すると、特別養護老人ホーム7施設で197人、介護老人保健施設3施設で54人、グループホーム17施設で121人となっています。複数施設への重複申込みがあるため、実人数ではありません。
- 介護施設での虐待について、令和3年度から令和7年度までの5年間で11件の通報があり、市の確認の結果、2法人5施設で虐待の事実が認められ、改善指導が行われました。
- 令和8年4月末の在宅系介護サービス利用者は1,392人。要支援・要介護認定者2,768人に対し、約50.3%が在宅系サービスを利用しています。
- 令和5年度のアンケートでは、在宅で介護する主な介護者のうち、60代33.7%、70代20.4%、80歳以上14.9%で、60歳以上が69%を占めました。市は現在では70%を超えている可能性もあるとの認識を示しました。
ポジティブな方向性(提案を受け、市が今積極的に取り組む事を整理)
- 介護認定は本人だけでなく、家族や地域包括支援センターなどによる代理申請が可能で、マイナンバーカードを利用したオンライン申請にも対応しています。
- 施設入所を待つ間は、ショートステイ、デイサービス、訪問介護、訪問看護、訪問診療などを組み合わせ、在宅生活を支える方針です。
- 市独自の在宅介護支援として、紙おむつ給付、家族介護慰労金、認知症高齢者の見守り機器購入補助、高齢者緊急通報事業などを実施しています。
- 家族の急病などで一時的に介護ができなくなった場合、主治医の判断などにより、市内医療機関でレスパイト入院を受け入れるケースがあります。
- 同居家族がいても、家族に障がいや疾病がある場合、未成年者が介護を担う場合などは、事情に応じて訪問介護の生活援助を利用できると市が説明しました。
- 市は介護人材不足を喫緊の課題と位置づけ、介護職員初任者研修の受講料補助、福祉系学生への奨学金、介護職員の宿舎確保支援などを継続しています。
ネガティブな方向性(提案はされたが、市が消極的なテーマ、要望)
- 特別養護老人ホームだけでも197人の待機が確認される一方、施設の新設や定員拡大など、待機解消に向けた具体的な新施策までは示されませんでした。
- 老老介護・認認介護について、市は個別ケースとして認識することはあっても、市全体の実態を継続的に把握する統計は持っていません。
- 家族介護慰労金は年額7万円ですが、対象条件が複雑です。山田議員は、市ホームページが長期間更新されておらず、申請書だけでなく制度内容を分かりやすく掲載するよう改善を要望しました。
- 令和9年度から始まる「特定地域」における新たな介護サービス確保制度について、現在示されている基準では五島市全域が対象となる可能性がありますが、市は国の制度設計中であることを理由に、現時点で実施するかどうかの判断を示しませんでした。
2.健康増進対策
議論の整理(市民に伝えるべき新事実)
- 令和5年度の五島市民の健康寿命は、男性78.7歳、女性83.5歳です。
- 平均寿命は男性80.1歳、女性86.2歳です。
- 健康寿命・平均寿命について、県内21市町の中で男性は17位、女性は19位と、男女とも県内では低い水準にあることが明らかになりました。
- 長崎県が健康的な食事を提供する店舗として登録する「健康づくり応援の店」は、五島市内にも11店舗あることが紹介されました。
ポジティブな方向性(提案を受け、市が今積極的に取り組む事を整理)
- 市は「健康ごとう21」などに基づき、生活習慣の改善、健康診査、がん検診などを通じて、健康寿命と平均寿命を延ばす取組を継続する方針です。
- 広報紙などを活用し、市民が自ら生活習慣を見直し、健康づくりを実践できるよう情報発信を続ける考えが示されました。
ネガティブな方向性(提案はされたが、市が消極的なテーマ、要望)
- 健康寿命・平均寿命が県内でも低位にあることは確認されましたが、順位改善に向けた新たな具体策や数値目標を伴う対策までは今回の答弁では示されませんでした。
- 山田議員からは、飲食店やスーパーなど食に関わる民間事業者も活用した健康づくりの事例が紹介されましたが、市として新たな事業へ発展させる具体的な方針は示されていません。
3.障がいを持つ人の支援
議論の整理(市民に伝えるべき新事実)
- 障がいのある人が、自分の能力や適性に合った働き方を探すための「就労選択支援」について、五島市内には長崎県の指定を受けた事業所が1か所あります。
- 令和7年度には1人が利用し、1か月間の就労選択支援を経て、令和8年4月から就労継続支援B型の利用につながった事例が報告されました。
- 就労選択支援は原則1か月程度、本人の希望や能力・適性を整理するサービス。一方、就労移行支援は原則2年間、一般企業への就職に向けた訓練や求職活動を行うサービスです。
- 成年後見制度について、令和8年8月末現在、五島市内で市民後見人として実際に受任している人は0人です。
- 法人後見は市内2つの社会福祉法人が担っており、高齢者・障がい者を合わせて計23人を受任しています。
- 市民後見人養成研修の今後の開催時期は現時点では未定。過去には令和3年度に長崎県社会福祉協議会主催で開催され、市も協力しています。
ポジティブな方向性(提案を受け、市が今積極的に取り組む事を整理)
- 市は就労選択支援について、今後利用者の増加を見込み、関係機関と連携しながら本人の適性に合った就労につなげる支援体制を確保する方針です。
- 市民後見人について、市は担い手確保の観点から活動を有償とすることも重要な視点との認識を示し、有償化を含む支援策を研究する考えを表明しました。
- 後見人に対する報酬について、要件を満たす場合には市の助成対象となり得ることも答弁で確認されました。
ネガティブな方向性(提案はされたが、市が消極的なテーマ、要望)
- 市民後見人の受任者が0人という状況に対し、養成講座の次回開催時期も決まっておらず、担い手確保に向けた具体的なスケジュールは示されていません。
- 山田議員は、障がいのある人への偏見、差別、誹謗中傷、いじめをなくし、安心して働ける環境整備と啓発の強化を要望しました。市から新たな具体策の提示まではありませんでした。
4.高齢者の予防接種
議論の整理(市民に伝えるべき新事実)
- 令和8年度の高齢者向けインフルエンザワクチンは、10月1日から接種開始予定で、市が医療機関などと調整を進めています。
- 高齢者を対象とした主な予防接種として、インフルエンザ、新型コロナ、帯状疱疹、肺炎球菌の4種類が説明されました。
- 令和7年度の65歳を対象とした肺炎球菌ワクチンは、対象者559人のうち65人が接種し、接種率は11.6%でした。
- 令和8年4月から、高齢者の肺炎球菌定期接種に使用するワクチンが、従来のPPSV23から20価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV20・プレベナー20)へ変更されています。
ポジティブな方向性(提案を受け、市が今積極的に取り組む事を整理)
- 肺炎球菌ワクチンの制度変更について、市は広報紙やホームページなどを通じて周知を進める考えを示しました。
- 過去に従来型ワクチンを接種した人についても、追加接種を検討する際に必要な情報を市民へ周知していく方針が示されました。
- 山田議員が過去の議会でも早期の準備を求めていたインフルエンザ予防接種について、今年度は10月1日の開始に向け事前調整が進められています。
ネガティブな方向性(提案はされたが、市が消極的なテーマ、要望)
- 肺炎球菌ワクチンの接種率は11.6%にとどまっており、接種率向上が課題です。
- 市は周知を進める方針を示したものの、接種率の数値目標や個別勧奨の強化など、低い接種率を改善するための新たな具体策までは示されませんでした。
まとめ
山田洋子議員の一般質問では、五島市がすでに全国平均を大きく上回る高齢化社会に入っている中で、介護を「制度があるかどうか」だけでなく、実際に市民が利用できる状態になっているかという視点から、多くの具体的な数字が確認されました。
特に、介護施設の待機状況、介護者の高齢化、施設での虐待、市民後見人が0人であること、肺炎球菌ワクチンの低い接種率などは、今後の市政でも継続して検証する必要がある課題です。
一方で、地域包括支援センターを中心とした相談体制、在宅介護支援、市民後見人の有償化の検討、就労選択支援など、既存制度をより利用しやすくする方向性も示されました。今後は、制度の存在だけでなく、市民への周知と利用実績、具体的な成果まで確認していくことが重要です。
